C5.12 勢力拡大 ― 12 ― 対話
古竜は私をじろじろと見回す。
とても居心地が悪い。
「ふふ、君からはわしの子達の匂いがする。
何人か居るのだろう?」
「ミノタウロスとケンタウロスの、貴方の所に居た頃は幼子だったものが居ます。」
「ほほ・・・元気かね?」
「ええ・・・最近手強い相手にしこたまやり込められて、己を鍛え上げなおしてますよ。」
「ふふ・・・牛の子は兄かな?
馬の子は・・・あの子はお調子者だからなぁ。
大方、手下になりそうな者達を屈服させようとして返り討ち、とかね。」
「彼らは貴方と面識は余りないと言ってましたが、随分と詳しいのですね。」
「わしは自分の子達を実の子だと思って可愛がってきたからね。
関心が無いと思われていたのが心外なくらいだよ。」
内心まだビビリながら会話をする。
私は何をしにここまで来たんだっけ・・・。
恐怖で頭が溶けているな・・・。
「で?君はなにをしにわしの所へ来たのかね?」
・・・聞かれてしまった。
・・・ああそうだ、助言、先輩魔王の助言を貰いたかったんだ、うん。
「先輩魔王の助言を頂きたく。」
「君とわしは違うだろう?
何の参考になれるのかね?」
・・・最もな意見だよな。
・・・えーっとえーっと・・・あ、そうだ。
「私は元・人の身で、魔族の世界に明るくありません。
ですので貴方の知識をご教示願えればと思いまして。」
「争いに敗れたわしが?どんな?」
・・・あーもー・・・。
「手を出してはならない相手等、ご存知ではないですか?」
そうして沈黙がその場を支配する。
あー・・・やってしまったー・・・。
争いに敗れた相手がその筆頭、つまり古傷に触れてしまったわけだよな、これは。
この話題が竜だけに逆鱗でなかった事を祈ろう。
「ふっ・・・ぅ・・・ふぁっはっはっは!」
何故か元・魔王は、怒るどころか大きく声を上げて笑い出した。
「未だ怯えが抜けないから!
未だ腰が引けているから!
聞いてはこないだろうと高をくくっていた!
これは予想外!」
彼はまだ笑い続ける。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ~あ。
久しぶりに大笑いさせてもらった。
礼を言おう。」
ぐっ・・・ちょっと腹立つ。
「そう気を悪くしないでくれ。
子等がわしの元を去ってから、久しく話もしておらんかったのだ。
良いだろう、君の力を基準に、危険な奴、駄目な奴、相性の悪い奴等を列挙しよう。」
おお?何故か情況が好転した?
「ただ・・・君も聞きたいだろう、わしを追いやった魔王についてはまだ話せない。
そうだな・・・今度はうちの子らを3人以上、連れて来てくれたなら話してあげよう。」
3人・・・牛の兄貴分が絶対不可欠ってことか。
「わしが何故魔王を引退したのかも聞かせてやりたいからね。
特に幼かった子らには、ね。
年嵩の子には・・・言い訳を、かな。」
何やら積もる話がありそうだな。
よし、今度は連れて来てやるとしよう。




