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C5.appx3 帝国の少年と獣人の村

獣人の村から少し離れた場所、鬱蒼と茂る森の中、クーシーと帝国の鎧を着た大柄な少年とが対峙していた。

少年を睨みつけ威嚇するクーシーと、牛ほどもあるクーシーを前に全く物怖じせずじっとクーシーを見つめる少年。


クーシーは内心迷っていた。

先ほどの蛮行が行われた村は帝国の兵とは無関係だと聞いている。

しかし今現在目の前にいるのは帝国の鎧を身に纏う大柄な少年兵だ。

敵対すべきか否か。


「・・・お前、あの村を守っているのか?」


不意に大柄な少年がそう尋ねる。

これにもどう反応して良いか分からず、威嚇を続ける。


「・・・。」


少年は何も言わず一歩を踏み出す。

すると次の一歩は許容しないとばかりに、クーシーは更なる威嚇を少年に向ける。

それを見た少年は微笑んで踏み出した一歩を元の位置に戻す。


「すまんな、試した。

 お前が・・・お前達があの村を守っているのなら安全なのだろう。

 本来我々の仕事だがお前達に任せよう。」


そう言って無防備に背を向けてその場を去る。

何事が起きたのか分からずクーシーはその場で立ち尽くすも、直ぐに我に返って遠吠えで仲間に情報を届ける。


・・・

・・


「無事かみんな!」


「父様!」


族長らしき狼の獣人・・・と言うよりほぼ狼になった獣人が村へと飛び込んできた。

一緒について来ていたケットシーを乗せたクーシーも少し遅れて村へ戻ってくる。

更に幾人かの獣人たちが獣に近い形体で後追って村に入ってきた。

慌てて戻ってきた獣人と村で待っていた獣人は、互いの安否を確かめ合う。


「獣人の本気と言うのは思った以上に早いのだな。」


「同意する。

 我等クーシー、猫を乗せたくらいで速度は落ちぬが、不意に走り出したとは言え追いつけないとは思わなかった。」


犬猫が感心していると、人の姿に戻った族長が犬猫に向き直り頭を下げる。


「ありがとう!村を救ってくれて!」


「礼なら我々で無く、我等の・・・」


 ウォオオオォォォオオン・・・


その時クーシーの遠吠えが響き、その場のクーシーが頭を上げ、耳をぴくぴく動かした。


「何と?」


「帝国の少年兵と遭遇したらしい、が、相手は直ぐ去ったと。」


「妙な話だな。」


犬猫がひそひそ話をしていると、


「帝国の少年兵?であれば王子かも知れん。」


「王子?」


「大柄な少年で、我等とは昵懇の間柄なのだ。

 少し前、どこぞの敗残兵が野盗としてここらに居ついたことがあってな。

 その時、救援に来たのが帝国の第4王子なのだ。


 彼はとても強く、我等の中でも彼に敵うものは居なかった位だ。」


獣人の猛者相手に負けない人間?

そんな馬鹿なと思うものの、力説する族長の話を嘘だとも断じれず、とりあえず一旦流す事にした。


「それはともかく、君達の主に会わせて欲しい。」


犬猫の仕事はこの言質を取る事にあったのだから。


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