C5.3 勢力拡大 ― 3 ― ちょっとした騒動
私が城を一巡りして戻ってくると、犬猫の長達が待ち構えていた。
「魔王様、お話が。」
「どうした?・・・ああ良い、ここで話せ。」
謁見の間に移動しようとする二人を制止する。
「は・・・お前達。」
呼ばれてきたのは、現在私の身の回りの世話をしてくれているメイド達3人だ。
犬はピシッと背筋を伸ばし、ナ行が変わっている小柄な方の猫の娘は怯え、もう一人の猫の娘は不安そうな顔である。
顎をしゃくって報告を促すが、猫の娘達は話し始めようとしない。
それを見届けてから犬の娘が一歩前に出て、
「僭越ながらこの後輩メイドが報告させて頂きます。
近頃、妙な気配を感じておりました。
先輩方も私も気配の察知には自信が御座います。
にも拘らず違和感だけが残る有様でした。
そしてつい先日、私と瓜二つの何者かと遭遇しました。
残念ながら逃げられてしまいましたが・・・」
このあたりで小柄な猫の娘は、ビクッ!と身体を震わせていた。
「・・・事件後互いの話をすり合わせ、『その時の私は自分ではない』という不審点を多数発見しました。
魔王様、今の所実害こそありませんが、見知らぬ何かがこの城に居ります。」
まるでドッペルゲンガーとかいう奴のようだな。
あれの真の姿はスライムのような奴だったか?
・・・んん?心当たりがある・・・んじゃないか?
「今丁度、城は幽閉箇所を除き出払っているな?
私が直々に調べるので誰も入れるな。」
「「そんな魔王様!調査など我々が!」」
犬猫の長が口を揃えるが制止する。
「匂いや気配で判別不能なのだろう?
人が増えれば化ける相手も増えてしまうではないか。」
適当に誤魔化しつつ城に入ると、心当たりのある部屋の前に立つ。
「やっぱあいつかなぁ・・・」
以前、召喚で呼び出した“何か”を思い浮かべる。
調べるつもりで忘れてた。
飲食が必要な類なら悪いことしたな、とか思いながら扉を開けると・・・やっぱりあのぶよぶよの姿は無かった。
専門外とは言え、あれがちゃんとした魔物だったのは盲点だった。
腕を組み考え込んでいると、
のそのそ・・・
「ア゛・・・」
「あ・・・」
部屋に帰ってきたそいつは私に気付くと、急いで?逃げようとする。
「まてまて、お前ドッペルゲンガーだろ。」
と声をかけると、ぴたり、と動きが止まる。
「なぁぁぁあ・・・ぜぇぇぇえ?」
「メイド達に化けて混じっていたのがバレたろ?
・・・話し相手でも欲しかったのか?」
「・・・うぅぅぅう・・・んんんんんん」
非常に動き(というかしゃべり)が鈍く、分かり難いがとりあえず肯定の様だ。
「私が直々に取り成してやるからついて来い。」
・・・
・・
・
その後メイド達に紹介するも、ぶよぶよが目の前で各々の姿になったりして悲鳴が上がる。
それが落ち着くと今度は誰かと全く同じ姿なのは問題だと文句が出る。
結局三人の姿を折半する形で落ち着いた。
まぁとにかく色々あったが四人目のメイドとして居つくようになった。
★ドッペルゲンガーのメイドを得た!
やれやれ・・・。
元々この娘(?)は登場予定でした。
逆に犬の娘は登場予定にありませんでした。




