C5.2 勢力拡大 ― 2 ― 準備が整う間
やることは決まったが、皆に準備があるために暇になってしまった。
メイド達の話を聞いておきたかったが、準備で追われているようだ。
一段落ついたら改めて声をかけてみよう。
・・・
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手持ち無沙汰で城の中をうろついていると、気付けば星4の魔導師、最初の襲撃者の部屋の前まで来ていた。
ふむ・・・いい機会だし話をするか。
真っ白な部屋の中に入ると、妙に落ち着いた顔をした魔導師が座していた。
「随分と余裕があるように見えるな?」
「死ぬことは無いのだろう?
何を焦る必要がある。」
こいつの変化については報告を受けていたが、ここまでとは予想外だ。
「お前と話をしに来たつもりだったが拍子抜けだな。」
「俺が泣き喚いてお前に命乞いをするのを期待していたのか?
だとすればとんだ悪趣味野郎だな。」
「ふむ、その落ち着きぶり・・・何か話したいことでも思い浮かんだのか?」
「どう思う?」
「私は今割合暇を持て余している所だ・・・が、お前の言葉遊びに付き合ってやる義理は無い。」
「余裕が無いな。
・・・ところでお前は俺の事を思い出せたのか?」
「余裕が無いのではない、やることが、やれることが無いのだ。
・・・思い出せないな。」
「俺たちの接点はただの一度、模擬試合だ。
お前と俺の評価はそこで逆転した。」
模擬試合・・・?評価の逆転・・・?
「成程・・・あれか。
であればお前が私に恨みを抱いたというのが考え難いな。」
そうだ、おかしな話だ。
そいつはあの後ちゃんと修行に打ち込み、かなり腕を上げていたのを覚えている。
時折顔を合わせても悪意の欠片も感じ取れなかった。
「そうだ、俺はあの時お前に感謝すらしていたんだよ。」
「なら・・・「何故だ?」」
そこで私たちの言葉が重なる。
既にその疑問に到達していたということか。
「ならお前は「操られていた。」」
結論も一緒か。
「提案がある。」
「私の眷属になる、とでも言うつもりか?」
「・・・俺の落ち着きで感じ取ったのか?
やはりお前はどこかおかしいな。」
ニヤリと笑う星4の顔からは、嘲りも妬みも感じ取れなかった。
「目的は操ったやつへの復讐か。」
「そうだ。
そしてそいつこそはお前の事を憎んでいる奴だと確信している。
何故ならあの時の俺は、明確にお前に殺意を抱いていたのだから。
・・・それにな、メリットも考えてあるぞ。」
ニヤリともう一度見せた笑顔には、悪戯っ子の雰囲気を漂わせていた。
・・・
・・
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「・・・となるわけだが、どうだ?」
星4の話は面白かった、が
「即決はできないな。」
「だろうな、ゆっくり考えろ。
俺はここに放り込まれてから考える以外することが無かったからな。
今話したので全てだ。
・・・大体お前は何がしたかったかを思い出すべきだ。」
その最後の一言は、強く頭に残るのだった。
18/05/08 大した変更ではありませんが、文言の整理と修正をしました。
二回目の二人の会話が重なる部分を3行から1行に。
思い出したのは対戦相手であるので「こいつ」から「そいつ」に(中身が一緒でも、思い出した“そいつ”と目の前の“こいつ”がまだ完全に一致していないため)。
2度目のニヤリの表現中、感じさせ→漂わせ に。
これって読み返した時の気分の問題かなぁ。




