C5.1 勢力拡大 ― 1 ― 情報の整理
魔本の持ち主のうち二人の所在は知れている。
一人は自発的に、一人は受動的に敵対した者達で、今はこの魔王城に幽閉されている。
・・・片方はもう末路が決まっているが。
もう一人の方とはまた話をしなければならないな。
長く放置しているから相当に焦れているだろう。
「皆を謁見の間に召集せよ。」
普段から近くにいるデスロードやメイド達に言い渡す。
・・・メイド達の様子がおかしいな?
後で何があったのか聞いてみるか。
・・・
・・
・
「よく集まってくれた。」
ミノタウロスとケンタウロスの筋肉ズ、そして犬猫達の部族長・部隊長クラスが謁見の間に集まった。
ケットシーとクーシー達は地味に数が増え続けていて、もう全員入るのは無理だ。
「私はとあるきっかけで魔王になった。
しかし今の所敵対した者への報復しかしていない。
勢力も殆ど増えたとは言い難い。
ここで本腰を入れて勢力を拡大しようと思う。」
おお~~、と特に必要の無い合いの手が入るが、もうこの辺りは流れなんだろうな。
デスロードあたりは必要だと言い張るだろうが。
「具体的にはどうされるおつもりですか?」
「筋肉ズ、お前たちを重点強化し、それぞれの相手を我が陣営に迎え入れようと思う。」
「ぶひんっ!?」「しゅるっ!?」
「・・・何だ?不服そうだな。」
「めめ滅相もないでひひん!
・・・ですが何とか自分で片を付けたいのでぶるる。」
「同じくでしゅるる・・・。」
なんだ、割と芯はあるのだな。
なら見守るほうが良いか?
「良いだろう。
そうだな・・・1ヵ月、ないし2ヵ月のうちにどうにかしろ。
できるか?」
「「おまかせで」」「しゅるる!」「ひひん!」
「ではケットシー達。」
「はっ!」
「黒・闇エルフの新しい情報はあるか?」
「丁度狩猟で小さな部隊に分かれて散っているそうです。
お目通りが叶うのは少し先になるかと。」
「むぅ・・・どれもタイミングが悪いものだな。」
今まではやることが決まっていたので迷う必要もなかったが、ここへ来てやれることに選択肢が無くなってしまうとは。
「でしたら主、引退した魔王と言う方に会われてみてはどうですかな?」
「伝手はあるのか?」
デスロードが筋肉ズに視線を送る。
筋肉ズは顔を見合せ、
「以前いた所の王様の事でシュルルか?」
「直接お会いしたことがあるわけでは無いヒヒン。
・・・居る所は分かるでブルル。」
ふむ、他に出来ることもないからな、行ってみるか。
「よし、会ってみよう。」
「では今動ける我等ケットシーの一団と犬達の一団を見繕っておきます!」
「主、私の方も色々用意したいことがあります。」
「なら数日準備期間を設ける。
準備出来次第出発するとしよう。」
こうして引退した魔王に会うことを決めた。
果たしてどんな人物だろうか・・・。




