C4.appx3 筋肉ズ、ミノタウロスの場合
― ミノタウロス視点 ― 魔王出撃後
自分には兄者がおった。
以前いた所では、自分はまだ子供だったのでやることがなかった。
兄者とは血がつながっているわけでは無いし、血族なのかも分からん。
ただ、とても良く面倒を見てくれていたのを覚えておる。
クーシー達が兄者を見つけたと報告をくれた時は大喜びした。
大好きな兄者にまた会える!そう、喜びで一杯だった。
勿論魔王様のお役に立てる、そういう下心が無かったといえばウソになる。
しかしその時の心の中は喜びが殆どを占めていた。
・・・甘かった。
兄者と別れた時のことをすっかり忘れていたのだ。
・・・
・・
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「泣くな弟よ、力強き我等ミノタウロスに涙は似合わん。」
「し、しかしっ・・・兄者・・・別れるなんて嫌ッシュルル!」
「また気持ちを落ち着かせられていないのか?
鼻息が荒く漏れているぞ。」
「フシュッ!?」
「いいか?今は確かに別れの時かもしれん。
だがこれから我等は己を鍛え続け、誰になびくことなく己を高めよう。
もし再びまみえた時、その時には我ら兄弟でこの世を獲ろうぞ!」
・・・
・・
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そんな約束をしていたのをすっかり忘れていた。
兄者はそれからずっと、自らを高めるため武者修行の旅をしていたそうだ。
なのに自分はどうだ?
当時あの場所では同じ子供で息の合っていたケンタウロスとつるみ、従順なクーシーを従え、ただ欲望のまま暴れまわっていただけだ。
何とも・・・詰まらない生き方をしていた。
「詰まらん奴になり果てていたようだな。
もはや兄弟とは思うまい。」
「フシュッ!?」
「未だ心の揺れを制御出来ずに鼻息が漏れているのか?子供だな、下らん奴め。
魔王だと?お前のような下らん奴を抱える程度の俗物に、我が頭を垂れると思うてか!?」
そう・・・自分は確かに下らん。
だが、自分が見捨てたクーシー達の命を取らず、我らの謝罪を受け入れた器の大きい魔王様を俗物!?
兄者といえど許せん!
「兄者!決闘でしゅるる!」
・・・
・・
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結果は・・・惨敗・・・。
力比べも、我慢比べも、技も魔力も何もかも・・・。
何一つ勝てなかった。
このままでは駄目だ。
鍛えよう・・・鍛えよう!鍛えに鍛えるでシュルル!!!
「クーシーども!もっと全力で引くでシュルル!
こんなんじゃ兄者に到底敵わないでシュルル!」
そうだ、こんな詰まらない自分をまだ慕ってくれるこいつ等のためにも、負け牛でいつづける訳にはかないんでしゅるるぅっ!
「次こそは絶対魔王様の元に引きずって帰ってやるでシュルル!
兄者!首を洗って待ってるでシュルル!!」
牛と犬達の鍛錬は続く・・・。
筋肉ズでまとめるつもりでしたが分けました。




