C4.10 第3の魔本の魔導師 ― 10 ― 被害者の存在
我々の目の前で生きているのが不思議な位ズタボロになった、筋骨隆々の魔導師が突っ伏している。
「・・・さて。
気はまだ晴れておりませんが、意識を失ったままいたぶってもしょうがありません。
主、こやつどうしましょうか?」
・・・まだ足りんのか。
しかしどうしようか?
魔本について詳しくなさそうだし、別に生かしておく必要もない。
「お前はどうしたい?」
私のその言葉にデスロードが言葉を返しかけるが、何故か仮面をつけた。
「お取込み中のところ、申し訳ありません。」
白い装束に身を包んだ、見るからに宗教関係です!と言った見てくれの3人組が近づいてきた。
私は見た目が人間であるので殊更顔を隠す必要もないが、デスロードは違う。
その行動に成程と納得し、新たな登場人物の二の句を待つ。
「先程のとてつもない魔法の連撃、お見事の一言でした。」
と、私の方をスルーしてデスロードに話しかける。
デスロードは困惑したのか私の方を伺うが、別に私自身が目立つ必要はないだろう。
私の事は付き添いもしくは従者と思わせておけば良い、なので軽く手で気にするなと合図を送る。
「もし宜しければ、その、見た目は魔導師に見えない筋肉質な魔導師の身柄を、我らにお引き渡し頂けないでしょうか?」
デスロードは軽く首を傾げ、質問で返す。
「何のためにでしょうか?」
「その者、方々で暴れまわっており、多分に恨みを買っております。
被害に遭わされた者達は、どうにかして復讐の機会を伺っておりました。
中でも我々“反魔の使徒”の信徒がかなりの数含まれております。
故に代表で我々がその者の動きを追い続けておりました。」
ということは先程の戦いを見られていたのか?・・・どこからだ?
場合によってはまずいことになるぞ。
「スケルトンの群れと戦っているらしい情報までは掴んだのです。
しかし群れとなると、我々も巻き込まれる可能性があり、遠くで様子を伺っておりました。
すると先程、激しい魔法の嵐が巻き起こったのです。
そう、貴方様の素晴らしい魔法がです。」
ふむ、これは大丈夫そう?か?
ネクロマンシーは余り人に受け入れられない類の魔術だ。
その相手に好意的な語り口調であるのは、その魔術の主が魔法の主と同一とは思っていないようだ。
まぁ、デスロードはここへ来てからスケルトン達を従えていたので、作った所を見たわけではないだろうしな。
スケルトン達を操っているのを見たとしても、そういう魔法か何かだと思ったのだろう。
デスロードがこちらを伺うので許可を出す。
「良いでしょう。
ただ、引き渡す前に2~3やることがあります。」
「心得ました。
我々は、我々の手で始末をつけることさえ叶えば何も文句はございません。」




