C0.1 事の発端 ― 1 ― 焦燥
初投稿となります。
色々な状況によって少し長めになったり、極端に短くなったりします。
その辺はご容赦を・・・。
「・・・くそっ!くそっ!くそおおおおおおおお!
なぜっ!あんなっっ!大物がっっっっ!」
一人荒れまわる長身の痩せ男。
余こそ・・・いや私こそ本作品における主役である。
現在部屋の片隅には、私の勘気に触れまいと縮こまるメイド達が居る。
が、今の私はそのような些事に気をまわしてやれるだけの心の余裕は無い。
・・・なぜこうなった・・・!
・・・
・・
・
時はさかのぼり、まだ私が一介の魔導師だったころ。
この世界は高密度のマナが満ち溢れていて、魔法と言う物は単なる自然現象でしかない。
程度の差こそあれ、戦士や盗賊どころか子供に至るまで誰もが扱えるありふれた物だ。
中でも特別に大きな力を引き出すことが出来る才を持つ者は魔法使いと呼ばれる者達になる。
更にそこから、高度な技術や儀式を用いてより高度に編み上げられた魔法:魔術を使えるようになったものは魔術師と呼ばれる。
最後に魔導師とは、魔法と呼ばれるものの根源たるマナの本質の理解に近づいた者達のことで、前の二つとは一線を画す。
根源に近づけただけあって、魔法を分解・解読したり0から組み上げ直すことさえ出来るのだ。
先ほどは自分のことを一介の・・・等と言ったが、これでも選ばれし側の存在なのだ。
それもこれも良き師に巡りあえたお陰と言える。
・・・今はいずこか経旅立ち行方知れずだが。
話がそれたな。
魔法はありふれた物ではあるが、使い方によっては危険極まりない物であるので、魔法に関わる者達の互助会のような物がある。
それが大魔法協会と呼ばれる組織だ。
互助会とは言ったが、実際のところは危険分子を監視する組織だ。
私もただの魔術師であった頃までは大魔法協会に所属していたが、協会には師以上の存在を見出せなかったため、魔導師を目指す辺りから独立した。
自らの研究に没頭する上ではただの枷にしかならなかったからだ。
もっとも私は品行方正で危険視されるような枠には入っていなかったがね。
魔導師の道に足を踏み入れた私は人里はなれた場所に庵を構え―たまに貴族などの依頼をこなしたりもしていたが―魔導の研究に没頭していた。
そんな生活を何年か過ごし、既に魔導師の領域にどっぷりと浸りきっていた頃の話だ・・・。
物語が大分進まないとこの頭の部分には戻ってきません。