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悪い「異世界」vsおりこう「悪の組織」!  作者: べべ
最終章:ちなみに最新章
1/89

一年後の物語

 こんにちはこんばんはおはようございます!


 はじめましての人ははじめまして、お会いした事ある人はどうもどうも!


 貴方の町のべべでございます!


 性懲りもせずに作品を投稿させていただきますよ!

 今回は、『悪の組織』が異世界相手にドッタバッタの宣戦布告を繰り出す痛快アクション!予定。


 最初はダンジョン要素が強いので、しばらく生暖かい目で見ていただけると幸いです。

 ではでは、開幕でございます!

 

 

 

 人と魔が交錯する世界、『ディル』。

 剣と魔法が織り成す舞台、『サント大陸』。

 自然と文化が共生し、かつては神々によって守られていたという、美しい土地。

 しかし、今やそこに生きる者たちは、いずれも2つの勢力に加担し、愚かな争いにふけっていた。

 方や、偉大なる『統一帝とういってい』を中心に集結した、対魔族用軍隊『人類軍』。

 方や、力の赴くままに破壊を尽くし、頂点に君臨する『魔王』を支持する『魔王軍』。

 人類と魔王軍の戦いは激化の一途を辿り、互いに明日とも知れぬ命を憂いた毎日を過ごす。

 今日より明日は暗く。

 明日より明日はなお暗い。


 まさに、絶望の渦巻く、戦乱の時代。




           ◆   ◆   ◆




 人類は、今まさに狂乱の最中(さなか)にあった。

 統一国『ラキアノス』の、ひいては人類の切り札と名高い、『勇者ノア』が行方不明になって、早1年が経っているが故である。

 必死の捜索も虚しく、居場所はようとして知れない。

 姿を現さない勇者の存在は、国家間の、そして国民の中で噂となり広がっていく。


 いわく、魔物にやられ戦死した。


 いわく、魔王軍に寝返った。


 噂が一つ、また一つ増える度に、人々の心は絶望に塗り潰されていく。

 挙げ句の果てには、首都よりもリンスターの村の方が治安がいいと、国外逃亡を計る者も出る始末。

 そんな中で、国王が勇者の命と繋がっている神話級アイテム、『想いの水晶』の眩い輝きを毎日のように見せる事で、ようやく絶望と希望の均衡を保っていた。


 そんな中……ついに、恐れていた事態が起こる。


 魔王軍の、一斉侵攻。

 人間がかつて、それぞれの人生を賭けて開拓してきた土地……西部へと、軍隊が歩を進めてきたのだ。




           ◆   ◆   ◆




 魔王軍は、混沌に士気を食われていた。


 次期魔王と謳われた季題の王子、『アークシエル』が行方不明になり、もう1年が経つ。

 愛する我が子の失踪に魔王の妃は憔悴し、己の体も顧みずに捜索を続けた。

 されど、その必死な姿をあざ笑うかの如く、成果無く空振りに終わる毎日。彼女は、日を追うごとに衰弱していく。

 魔と言えど、人と同じく理知があれば、噂というものは勝手に湧いてくる。


 いわく、人間に殺された。


 いわく、魔族を裏切り、人間の王国に士官した。


 その噂はついに王妃の耳に届き、失意の中で彼女は倒れた。

 腕に覚えのある医師でもって、目を覚ます可能性は薄いと診断された。

 魔王は怒りに狂い、魔法で噂の発信源である魔族を探り、一族もろとも処刑したという。

 そして怒りのままに、最悪の一手を命ずる。


 人の国への一斉侵攻。


 もはやそこに大義はなく、怒りと、絶望に飲まれた狂王の暴走のままに進軍していく。




            ◆   ◆   ◆




 そして、審判の時。


 両勢力が、暗黙の了解で定めていた国境。大陸の中心を裂く爪痕、『ウライン渓谷』にて。

 魔王軍と、人類軍が睨み合う。

 深い深い断崖絶壁。緑薄く覗く岩肌。

 どちらかが一歩でもこの谷を越えたならば……そこからは、血みどろの殺戮演舞が幕を開ける事だろう。

 されど、両者の激突はもはや免れる事はない。


 それを止める勇者も

 それを戒める王子も

 今はいないのだから。


「「おおおおおぉぉぉぉぉ!!」」


「「オオオオオォォォォォ!!」」


 湧き上がるときの声。

 鳴り響く軍歌。

 雲海のような人、人、人。

 常闇のような魔、魔、魔。


 それらが、一斉に歩を進める。

 視界に映る怨敵を打ち滅ぼさんと、一歩一歩に殺意を込めて。

 目の前に有る宿敵を打ち倒さんと、一歩一歩に敵意を込めて。


 かの人には、故郷に残した母親があり、

 かの魔には、先日産まれた我が子がいた。

 戦争は、そんな個々の幸せを飲み込み、肥大する。


 あぁ、あぁ、愚かな戦争が

 あぁ、あぁ、止まない喧騒が

 あぁ、あぁ、終わらない殺戮が


 今まさに、幕を開ける―――――



              ◆   ◆   ◆




『あ~、あ~、テス、テス! マイクテス! んん~、良好良好!博士、完璧ですよ!』


『んははははは!! そうじゃろうとも、そうじゃろうとも! なにせこのワタシ手ずから作った試作型通信拡散しさくがたつうしんかくさんメカなんじゃからね!』


『『イェーイ!』』


 不意に、張り詰めた空気が、馬鹿げた声量と腑抜けた声に断ち切られる。

 両軍共に、困惑。思わず歩を止めてしまっていた。

 一度始まればけして止まらない死の大安売バーゲンセールりは、こんなにもあっさりと、閉店を迎える。


『首領、首領。ご挨拶を』


 もう一人、女の声が聞こえてくる。

 どこか平坦な、感情の薄い声だ。


『おぉ、そうでしたそうでした。ええと、カネコさん、ネクタイ曲がってないですか?』


『首領。仮に曲がっていても、見えないので心配はいりません』


『いやいや、たとえ見えずとも、相手には礼を持って接することこそ我々の信念でですね……かひゅっ!?』


 ギリギリと、まるで布で皮膚を締め付けるような音が響いてくる。

 何人かの兵士が、「かみさんとやることが一緒だ…」と、呟いた。


『はい首領、ネクタイを締め直しましたよ。曲がっていません。えぇ、いませんとも』


『ぁ、ぁぃが、と……ゆゆぇて、ひぬ、ひんじゃぅ……』


『かしこまりました』


 30秒程、ただただむせる声が聞こえる。

 その間、誰もが困惑から抜け出せずにいる。


『さぁ首領。ご挨拶を』


 そして


『けほっ…あぁ、あぁ、わかりましたよ。……こほん、え~、人類の皆さん、魔族の皆さん』


 今日、この日こそが、記念日となる。



『我々は、悪の組織「棋兵団(きひょうだん)」。ここに宣言します――――勇者と、魔族の王子は、我々が預かっていますことを!』



 人と魔が心を一つにし、巨悪に対する同盟を結んだきっかけとなった日。



『我々は唄います! 世界は、いずれ我らが手中に収まると!!』



 悪の組織、「棋兵団」。

 彼らが、歴史の表舞台に殴り込んできた日。



『人間も、魔族も! 恐るるに足らず! 我こそは「棋兵団」が首領、【王将】! 貴方達の……真の敵でございます!』



 そしてその日は、皮肉にも。

 終戦記念日と、命名された。

 

 あらすじにもあった通り、今作品は毎週月曜日と、金曜日に上げさせていただきます。

 前作品は思い付くままに書きなぐったので、今回はゆっくり考察を練ってやっていきたいと存じます。


 よろしくお願いいたしますー

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