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プロローグ

普通とか偏見とかそんなのが嫌いだった。


家柄とかはもっと嫌いだった。


今、後ろから車に突き飛ばされ、踏切の上で動くこともできなくなった俺は冷静に回想する。


西坂竜一、なんの変哲もない家庭に生まれた俺は昔からそうだった。

学生時代は偉くもないのに偉そうにしゃべる教師や、親を自慢する同級生に心の底から腹が立った。

そんな奴にかみついたら奴らは自分の力じゃない力を自らの手で行使する。


反吐が出た


だから、できることはした。

奴らを凌駕する学力、運動能力を手に入れた。

俺はきっと奴らがこれで懲りると思ってたんだろう。


同級生に大差をつけ、神童と呼ばれ一流大学、大学院まで進み就職を決めた。

大学に入ってからは自分にないものを自慢するような奴はいなくて、あんな奴らがいるのは高校生までなんだと勝手に思っていた。


だが、その先に奴らはいた。

会社に入った。今思えばきっとここが間違ってたんだと思う。

上司は命令するだけの無能ばかりだった。そして、自分のわがままをひたすらに実行する、まるで赤子だ。

彼らが作った問題は全て俺に降りかかった。


気が付けば俺は生きながらにして死んでいたんだ。


賃貸のアパートは解約し、会社で寝泊まりしなければ終わらない量の仕事

休みなどあった記憶はない。食事もろくに取らず、パソコンに文字を打ち込む人形だった。


上司の中でも一段と無能な奴がいた。そいつは社長の息子だったらしい。

オフィスでは一人遊び、平日から遊びに出て休日は旅行やゴルフに行っていたらしい。

会社内でも評価が最悪な彼は知った顔だった。


元同級生だったのだ。


彼は知っていて俺を酷使していたのだろう。そして彼は常軌を逸するバカだったのだ。

遊ぶために会社の金に手を付けていたのだ。彼に呼ばれた俺は驚愕した。


「会社の金に手付けて取り返しつかなくなったから代わりに責任とって死んでくれない?」


彼の筋書きはこうだ。彼から金を預かった俺が豪遊し、使いきったことにして後悔して自殺する。

ふざけるな、誰が無能のために死ぬか。そう思うと同時にこれ以上こいつの近くに入れないと思い、

辞表を出した、今日の昼だ。現在時刻は18時頃、雪も降るような冬の季節。


十分すぎるほどに暗かった。


一度実家に帰って考えなおそうと思い駅へと向かった。その途中で目の前でなり始めた踏切。

遮断機が下りておらず、少し急げば渡れただろう。だが、もう私に急ぐ気力などなかった。

遮断機が下り切ると同時に私の視界は回った。後方から車に突き飛ばされ、線路の上にいると理解するのにそう時間はかからなかった。そして最初に出た私の答えは


「なんだ事故か、」


なら運転手が緊急停止ボタンを押して助かる。浅はかにも私はそう考えたのだ。

運転手がボタンを押す姿を見ようと体中が痛む中、首を回した。


「なんだ嵌められたのか。」


バックで走り去る車は見覚えがあった。少し視線を上げるとそれは確信に変わった。

彼の車に、彼が乗っていて、今まさに走り去っていく。


「ああ。畜生、、、、」


今思えば勝ち目などない戦いだったのだ。彼ら、家柄も権力もある家庭の子供と私のような一般人には雲泥の差があったのだ。財力、権力、人脈、本人の実力などこの社会に必要なかったんだ。

もう少し早く気づいてたらなぁ、、、、


「ふざけるな、、、、、」


命を奪われようとも自分を変えるのはまっぴらごめんだ。


「俺は認めねぇ!!お前らみたいなやつがまともな奴らを酷使するのを!!俺は死んでも認めねぇぞ!!」


精一杯の叫びにして、声でだけ遺された遺書だった。

迫りくる電車が時間を守ろうと必死に急ぐようにも見えた


「ああ、ほんとに畜生、、、、お前らみたいなのこそ、、、」


死んじまえよ、言葉にならなかった。私がミンチになるのが先だった。

死んだのか、私の死に対する私の感想は割と冷めていた。

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死んだ、それは確信していた。目の前に電車の車輪が見えていたから。

なのに私には意識があった。気になって体に力を込める。

しかし、体は動かない。不思議な感覚だ、体は動かないのにだんだんと意識は冴えていく。

視覚は良好、なのだろうか、一度も見たことの地平線が目の前に見える。

俺は目が壊れてなければ、ただ何もない真っ白な空間が広がっているようだ。

なんだココは?


「三途の川ですよー」


何もなかったはずの場所から声がした。俺は訳が分からなくなり、目を閉じようとした。


「ちょ、ちょっと、そこおどろくところじゃない?」


知るか。声を出した、、、つもりだった。異変に驚き目をしっかりと開く、すると声の主と思われる少女がいた。


「声は出ないですよー。あなたほんとに粉々になってましたからー。あ、あなたの思考は読めるんで考えてくれたら会話になるんでそれでお願いしますねー。」


それで?ここは?お前は?何の用?


「えーっと、、いきなり質問ラッシュですか、、、

 説明をさせてもらっていいですかね、、、?てか、時間ないんでさせてもらいますね。」


「私は神様です!崇めなさいや!」


はっきり言って訳が分からない。電車に轢かれたと思ったら、見たことのない場所にいて、

目の前の金髪ちびっこが神を名乗っている。


「神に向かって失礼な方ですね、、、、、、。あなたが一般人なら地獄に落としてますよ、、、」


それで?俺は死んだんだろ?さっさと天国なり地獄なり送れよ。


「そういうわけにもいきませーん。あなたにはまだ命力が残っているんですよ。」


命力?命の力?まだ生きろってか?体粉々で?


「あなた、漫画とか読まない系の人ですね、、、あきれますよ。それはさておき、あなたには転生、生まれ変わってもらいます。よかったですね、一般人にはできない系の経験ですよ!ただ転生先は選べないんでそこのところはご了承くださいねー。神に選ばれた系の男の子として0歳からやり直してもらいますねー。一応能力を身につけて転生でき、、」


、、、、、、、、、、、、、もういい。


「はい?」


このまま殺してくれ、それが俺の望みだ。生きる意味なんてない。


「それはもしかしてあれですか?前の人生でひどい目にあったからですか?」


そうだよ、家柄とか生まれつきの何かで決められて死んだようなもんだ。

俺が生まれつき恵まれてる側になる気なんてない。殺してくれ。


「神とはいえこんなかわいい少女に殺してくれとかお願いしますか、普通、、、。」


黙って神様は俺の方へ寄ってきた


「弱いですね、あなた。恵まれてきた人なんかより。」


あいつらより?俺が?弱い?


「弱いですよー。だってあの人たちは諦めが悪いですから。あっさり諦めるあなたは弱いですよ。」


諦めて何が悪い。もう疲れたんだ。


「実は諦めてないんでしょ?命力の残ってる人間って未練があったり、強い恨みのある人間なんですから」


「あなたは憎いんでしょ?生まれつきの何かで決まる世界と。憎くって仕方がないんでしょ?」


少女は顔を寄せて喋った


「なら、戦え。戦わないやつがそんなことを語るな。自分を隠すな、憎いと思うならすべてを創り変えて見 せろ。それができるだけの力をくれてやる。」


きっと普段の俺なら聞く気もなかっただろう、、

だがなぜだろう。なぜかその言葉を聞いて俺の何かが燃え上がった気がした。


「準備はよさそうだね、鏡ないから見せれないけどすごくいい顔してるよ。じゃ、またね」


              

               二度目の人生楽しんでいってらっしゃい


その白い空間が光ったのだろうか何も見えなくなった。ここからが第二の人生ということらしい。

俺に何をさせたいのかはわからない。だが、俺のすることは決まってる。


どんな世界に行くことになったとしても


まったく考えたことのなかったような世界に行こうとも


理不尽な世界は変えてやる!


そう思って叫んだつもりの言葉は赤子の泣き声に変っていた。

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here is start line/to be continue



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