石の上にも三年?
あれから三年が過ぎた。
意外なことに、俺は未だに城から追い出されていない。
ああ、そういえば言っていなかったが、やはり俺は異世界召喚に巻き込まれたらしい。
召喚されたときに後ろにいた騎士—ワンズ=クレイブが本来の勇者だった。彼はチートな異能力を所持していて「 勇者 」の称号もあったから、まず彼で確定だろう。
えっ、俺? 称号もチート異能力もありませんが?
まぁ、実を言うと「 引きこもりし者 」という称号があったのだが、これは見なかったことにしている。
この世界に来るまでの俺は別段、引きこもりだった訳では無いのだ。それなのに、この言い様は少し酷いのではないのだろうか。
朝方までネットサーフィンをし、学校には行かずに寝て、夜になったらまたパソコンと対面するという生活を送っていたのだが、これは違うよな?
学校には行く気が無かっただけで、行こうと思えばいつでも行けたもんな。
というか、学校に行っても友達どころか話す相手すらいないから行く意味なんてないんだよ。
・・・いつ間違えたんだろう。
クラスメイトに話しかけた第一声が「てか、LINEやってる?」だったのがいけなかったのだろうか。
こんなことなら「押し艦は誰?」にしておくべきだったか?
三年も前のことをグチグチ言っていてもしょうがないか。
これからのことを考えよう。
現在の俺の生活は
起きる ⇒ 朝の鍛錬 ⇒ 朝食 ⇒ 魔法の特訓 ⇒ 昼食 ⇒ 書庫で本を読む ⇒ 城の雑用 ⇒ 夕食 ⇒ 酒場で酒を飲む ⇒ 寝る
といった感じだ。
書庫は年齢制限があった為、召喚された十五歳のときは入ることが許されなかったが、十八歳になった今は立ち入りが認められている。
ちなみに、この世界は十六歳で成人を迎えるので、俺は毎晩のように酒を飲んでいるのだが、エール一杯で限界がきてしまう。
どうやら俺は酒にはめっぽう弱い様だ。
そして、次の日の朝に酔いを醒ます意味合いも含めて鍛錬をする。
鍛錬は武術・剣術・投術を主としているが、城にある武器は一通り扱えるようになった。
しかし、一つ問題がある。
この世界では、鍛錬をしたり、街の外に出て魔物を倒したりすると経験値を得る事ができ、経験値が一定量を超えるとレベルアップすることが出来る。
レベルが上がると筋力や素早さ、魔力などといったステータスが変化し、強くなる事が出来るのだ。
しかし、俺はレベルは上がっても、全てのステータスが召喚時のまま。
つまり、ステータスが変化していないのだ。
最初は気のせいだと思った。
半年経ってもまだ変化がないから、キッチンで働いていたおじさんを誘ってみた。
翌年、おじさんは兵士隊の副隊長になった。なんでも昔からの夢だったらしい。
俺のステータスに変動なし。
次に掃除係の少女を魔法の訓練に誘ってみた。
翌年、王宮お抱えの魔導士になった。とても光栄だと喜んでいた。
やはり、俺のステータスに変動はなし。
その後も色々と頑張ってはみたが結果は変わらずだった。
だから俺は声を大にして言いたい。
「石の上にも三年?なにそれおいしいの?」




