冬の舞踏会(冥王星)
以外に火星までの時間は短かった。
火星が右手に見え始めた頃僕らは通路に出て火星を眺めた。
そこで車掌の車内放送が始まった。
『ただ今、右手に見え始めました赤い星は太陽系第四惑星の火星です。
赤い星として知られて居ますが、表面の成分に鉄鋼石が含まれており。
酸化鉄が赤く見えるのです。
もう一つ、太陽系で一番高い山もこの火星にあります。』
と、放送した。
二人で顔を見合わせ。
『何だか授業みたいね?』と笑いあった。
物凄い速さで火星を駆け抜け木星…火星と通りすぎた。
木星は眼を見張るほど大きく、とてもメタンで出来ているとは思えず。
土星は、息を飲むほどに美しかったし、なんと言ってもあの輪が印象的だった。
天王星、海王星を過ぎた。
天王星…はガリレオが発見した。
しかし…天王星の軌道が計算と合わない。
これは…ひょっとすると、天王星の外にもう一つ星があるのでは?
この噂が飛び交い
望遠鏡の発達のすえ発見された。
冥王星についても同じ逸話がある。
そして…
遂に淳惑星冥王星に着いた。
前の車両からゾロゾロと人が降りてくる。
その中に
お父さんが居た。
俯き加減で目も虚ろ…
いくら嫌いなお父さんでも僕は咄嗟に車両を出て、追いかけようとすると、
車掌が立ちはだかり
『なりません!!
あの人達は亡者なのです。』
『でも…僕のお父さんがあの中に…』
『この特別特急のダイヤは緻密なのです。
ここで、お客様が下車されると途中下車と見なします。』
『もう…父さんとは会えないの?』
『ここは…冥王プルートが支配する星です。
生前に悪い行いをした者は、銀河鉄道の片道切符を手に、冥王星に降り立ちます。
貴方の世界では極寒地獄と呼ばれています。
生者と亡者の差は歴然としています。
亡者は戻ることは出来ません。』
そうは言っても
嫌いなお父さんでも一言言葉を交わしたい。
そんな、僕の心を読んだのか?
車掌は
『貴方はこの…
特別特急に乗りポラリス迄の乗車券をお持ちです。
しかも…特別室の…
貴方には何を優先してもポラリスに行かなければならないのでは…ありませんか?』
そうだ…
僕には、ポラリスに行き、星の女王に、お母さんを幸せにして欲しいとの、願いを伝えなければならない。
僕は渋々車掌の言葉に従い特別室に入ろうとした。
そこで車掌は
『この先は恒星間航法で、プレアデス星団まで向かいます。
危険ですので…
特別室からお出にならないように』
と、言った。
そして…遠ざかる冥王星に向かい
お父さんに、永遠の別れを告げた。