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よろずや部  作者: 遥胡
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1/6

活動内容・よろずや部にて…

 桜が満開をむかえ、ひらひらと風に乗って落ち始める頃。

 それを、教室の窓から静かに眺めている少女がいた。

 さらさらの黒髪を腰ぐらいまで伸ばし、可愛いとも美人ともとれる、とても整った顔立ちをしている。

 しばらくそのまま眺めていると、突然ガラッとドアが開いて一人の少年が入ってきた。

「こんちはー!って・・・あれ?千佳(ちか)ちょ、一人〜?」

 少年は、ちょっと語尾を延ばし気味で周りをキョロキョロと見回した。

「こんにちは、太郎(たろう)君。今日は遅かったね」

 少女、千佳ちょこと村上(むらかみ)千佳(ちか)はゆっくりと少年の方を向いて微笑み近くの椅子に座った。

 少年、渡辺(わたなべ)太郎(たろう)も千佳の近くに行き、机の上に荷物を置いて椅子に座る。

「それがさぁ、数学の課題するの忘れてて、居残りさせられちゃったよ〜。この前のもしてなかったのが不味かったみたい」

 と、言いながらケラケラ笑っているところを見ると、不味かったと言うわりに本人はまったく気にしてないようだ。

まぁ、それで落ち込んでいる太郎君も想像できないけど・・・。

 千佳は、まだ笑っている太郎を見て苦笑した。


 千佳にとっての彼は、元気で明るくて活発で、一言で言うなら小猿だ。いや、これは別の人の言葉だ・・・。しかも身近に、小猿といえる人物がもう一人いたりする。

 話を戻すが、意外としっかりしていて頼もしい一面もある。それが、渡辺太郎の印象だ。

「ところで、部長達は〜?」

 太郎は机に顎(あご)を乗せて首を傾(かし)げる。

「海都(かいと)君は生徒会で遅れるらしいけど、依実(いさね)は聞いてないの。どうしたのかしら?」

「依実も先生に捕まってたりして〜」

 太郎がニヤニヤしながら言うと、千佳は考える風にして言った。

「でも、捕まるような事は特になかったと思うんだけど・・・」

「じゃぁ、今日は部活ありませんってオチだったらどうするぅ?」

 太郎が、言い終わると同時に、ドアが開く音と「悪い、遅れた。」という声が聞こえた。

 そこには、誰もが認めるであろう美少年が立っていた。

 長身で、少しツリ気味の目はキツイ印象を与えるどころか、凛々しさが増し、彼の落ち着いた雰囲気にとてもよく合っていた。

「あっ、海都!生徒会の方は終わったの〜?」

 太郎は顔を後ろに向け、歩いてきた彼、羽橋(はばし)海都(かいと)に訊いた。

「あぁ。とりあえずはな」

 海都はため息をついて、太郎の前の席に座った。

「お疲れ〜♪生徒会ってただでさえ忙しそうなのに副会長だもんな〜。大変だろぉ?」

「あら、大変だからこそ私たちの部活が活躍するんでしょう?」

 千佳がにっこり笑って言った。


 今までの話でも分かるように、彼女たちは部活でこの教室に集まっているのだ。

 ちなみに、書記・渡辺(わたなべ)太郎(たろう)、会計・村上(むらかみ)千佳(ちか)、副部長・羽橋(はばし)海都(かいと)。

 そして―――――――


 バンッ!!!


「部活勧誘〜!!」

「「「・・・はぁ?」」」

 勢いよくドアを開けて、突然意味不明なことを言った、年のわりに小柄な彼女が、部長の三浦(みうら)依実(いさね)。そして、もう一人の小猿。

 この四人がしている部活とは、『万屋部(よろずやぶ)』いわいる『何でも屋』だ。

 『暇ならみんなで楽しく過ごしましょう☆』ということで、お喋りをしたり、ゲームをしたり、他の部活や委員会の手伝いをしたりと、好きに過ごしているのがここの部活内容。

「だ〜か〜ら〜、部活勧誘だよ!春だよ!?春といえば新入生!勧誘しないでどうすんの!?」

 依実は、腕を振り回しながら足をバタバタさせている。

 千佳と太郎が、依実の急な発言に不思議がっていると、その横から、静かだが厳しさも混ざった声が聞こえてきた。海都だ。

「お前、生徒会室の横に立っている木に登ったな」

 ビクッ!

 その、質問というより確認のような声に、依実は顔を強張(こわば)らせて動きを止めた。

「えっ!?生徒会室の横のって・・・すっごく高くなかった?」

「たけぇよ。三階にある生徒会室と同じくらいだからな」

 海都は、口調をそのままで依実に近づいていく。

「大方、あの木に住み着いてる鳥に餌でもやろうとして登ったら、生徒会の話が聞えたんだろう。今日は、部活紹介会の話もしてたからな」

 すると、依実はバッと顔を上げて海都を見上げた。

「すごい!海都、大当たりだよ!」

 グィィ〜〜〜〜〜〜!

「お〜ま〜え〜は〜、あれほど危ないから登るなと言ったのに、何度言えば分かるんだ!!?」

「いひゃひゃひゃひゃ!」

 海都が、依実の頬(ほう)を左右におもいっきり引っ張ったのだ。

「さすが幼馴染〜、何でもお見通し〜」

 太郎がケタケタ笑っていると、千佳が「何度も・・・」と、呟き依実に近づいて手を握った。

「依実、あの木は本当に危ないと思うの。何度も登っているから大丈夫と思っているのかもしれないけど、もし落ちてしまったらどうするの?そんなことになったら、私・・・」

 真剣な目は、少し潤んでいる。

「わ、分かった。あたし、もうあの木に登らない!だから、心配しないで」

 依実は、千佳の言葉に感動したようで、同じように瞳を潤ませて、手を握り返した。

「おぉ〜、さすが千佳ちょ〜。依実の扱いに慣れてきたなぁ」

「いや、あいつが単純すぎるんだろう」

 後ろで、こんな会話があったことを依実と千佳は知らない。

「で、部活紹介どんなことする?やっぱり、インパクトがあるのがいいよね!」

 友情を再確認した依実は、生き生きと話を戻した。

「えっと、そのことなんだけど」

 千佳は言いにくそうに目を逸(そ)らした。

 太郎も視線を上に向けて目を合わせない。

「?千佳ちょもタロンもどうしたの?」

「気まずいんだろ。お前が何も知らないで、無邪気に張り切っているから。」

「え?」

「部活紹介会は、もう三日前に終わってる」

 海都の、なんともないという感じのあっさりとしたもの言いに、依実は、何を言われたのか理解するのに数十秒かかった。

 やっと出た言葉が、

「・・・・うそぉん」

 これだ。

「な、な、なんで言ってくれなかったの!?あたし達の部活、紹介してないじゃん!」

 依実は机をバンバン叩き、喚(わめき)きだした。

 海都は、ため息をつくと依実の頭に手を置いて、落ち着かせるようにポンポンと叩いた。

「仕方ないだろ?紹介会があった頃は猫探しの依頼で忙しかったから、今年は止めたんだ。別に、紹介会でじゃなくたって勧誘の方法はいくらでもあるだろ?」

「うぅ〜。そぉだけどさぁ」

「まだ、不満なのか?折角、生徒会からの依頼持ってきたのに、断ってもいいのか?」

 海都はニヤリと笑って言った。

「えっ?依頼!?やるやるやるやる!やるよ!!どんな依頼!?」

 依実は、「依頼」と聞いて目をキラキラさせて飛び回った。

 どうやら、紹介会のことは忘れたようだ。

「やっぱり、幼馴染なだけあって扱いはプロだな〜」

 依頼内容を楽しそうに聞いている依実を見て、太郎が感心したように言う。

「違うわ。依実が単純だから、扱いやすいのよ」

 千佳がニコニコしながら言った。

 その表情は、本当に楽しそうだ。

 太郎は、さっき似たようなことを言った奴の方を見てクスクス笑った。

この二人は似たもの同士なのか〜。

「お〜い。仕事行くよぉ。依頼場所は、第二会議室♪」

 依実は、こっちに手を振りながら、うきうきとドアの方に歩いていく。

 海都もその隣で二人を待っている。

 千佳と太郎も二人に向かって歩き出した。


   さぁ、暇なら私達と楽しく過ごしましょう!


         ☆天川学園高等部生☆


三浦(みうら) 依実(いさね)  

『よろずや部』部長。2年A組在籍。2月17日生まれ。

身長144cmと年のわりに小柄だが、超元気で、超明るくて、超身軽な、考えるよりまず行動の超突進型。

天然なところもあり、幼馴染の海都(かいと)によく世話をやかれる。



羽橋(はばし) 海都(かいと)  

『よろずや部』副部長兼生徒会副会長。2年C組在籍。5月8日生まれ。

凛々しい顔立ちに落ち着いた雰囲気で、誰もが認めるであろう美少年。

そのうえ、スポーツ万能、成績優秀、クールだが優しい性格のモテモテ君だが、幼馴染の依実(いさね)の保護者的存在でもある。



村上(むらかみ) 千佳(ちか)  

『よろずや部』会計。2年C組在籍。9月29日生まれ。

腰辺りまで伸ばした長い黒髪と、可愛いとも美人ともいえる整った顔をしている。

しかし、そのせいでいろいろ大変な事もあったらしい。海都(かいと)に似て、落ち着いていて、依実(いさね)のことが何かと心配。



渡辺(わたなべ) 太郎(たろう)  

『よろずや部』書記。2年E組在籍。10月26日生まれ。

元気で明るく、活発的。依実(いさね)のいたずら仲間。

だが、結構しっかりしていて頼もしい一面もあり、女子からの人気も良い。語尾を少し延ばすのが癖。

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