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美少女(攻略対象)まみれのハーレム・スターウォーズ!!  作者: 呑竜
「第3部第2章:最果ての地より君を思う!!」

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Interlude:Soul-Stirring.

 ~~~スケンテイル~~~




「ったく、姉御はよおー……」


 金髪モヒカンに革のブーツ、ツナギ。

 キーラのお付き5人組のリーダーであるスケンテイルは窓際に立っていた。デジタル双眼鏡を覗き込みながら悪態をついた。


 彼らがいるのは在ケルンピアのクロスアリア官舎から2キロ先にある貸しビルの一室である。

 娘狂いの父親にしてバルバロ・セキュリティーズの社長であるゴンゾ・バルバロからの命令で、わざわざ部屋まで借りてキーラの動向を見張っているのだった。


「いきなりあんなわけのわかんねえ国の官舎に日参りとかよう。ホント、何考えてんだかわかんねえよ」


「いやー、わかるっしょ。だって姉御だもん。オレぁ、あんなに強さに貪欲な人を他に知らねえよ。昨夜だって、官舎から戻って来るなり訓練場直行だぜ? 栄養ドリンク飲んで頬叩いて。『よっしゃおらあーっ』ってなもんさ。ほんっと男らしいよなあー」


「……ちっ、知った風な口を聞きやがって」


 スケンテイルは舌打ちすると、隣にいたライオンヘアのブリックにデジタル双眼鏡を押し付けた。


「お、次オレ? ……っと。おー、いたいたっ。オレ、あの乳デカねーちゃんが好きなんだよなー。ほらやっぱ、女は乳じゃん? 乳」


「うるせーよ、きちんと仕事しな」 


 ニヤニヤと口もとを緩めるブリックの尻を蹴飛ばすと、スケンテイルはソファにどかっと寝転んだ。


 偏向グラスをかけたマーロウとトウモロコシヘッドのボゴゼクは暇つぶしの漫画雑誌を読みふけり、デブのデンゴローはお菓子類をむさぼり喰っている。


「どったん? スケさん、ご機嫌斜めじゃーん」とマーロウ。


「やめとけやめとけ、この人、お姫さんを盗られて嫉妬してんだ」とボゴゼク。


「──ああ? なんか言ったか?」 


 適当なことを言うふたりを、スケンテイルは鬼の形相でにらみつけた。


「あ、やべ……」


「スケさんマジ怒りすんのなしね、ね?」


 顔を青ざめさせるふたり。

 

「あ……兄貴とおでは……姉御に……ひどわえだのねー」


 チョコバーをもっちゃもっちゃさせながらデンゴロー。


「ひどわえだ?」


「なんだなんだ?」


「……拾われた、だよ」


 吃音症な上に物を食べながら喋るデンゴローの言葉は、こうして時折、兄であるスケンテイルにしか解読不能なことがある。


「そういやデコボコ兄弟、貧民街の出だって言ってたっけか?」


「……だったらなんだ?」


 スケンテイルがにらみつけると、ブリックは肩を竦めた。


「別にどうもしねえよ、ただ聞いただけさ。深い意味なんてねえよ。だいたいさ、そんなの普通っしょ。オレたちみてえなはみ出し者がはみ出す理由としちゃ平凡、平凡。オレだってさ、食い詰めて飛び込んだ先が辺境星のうちの事務所で、対抗組織とのケンカに弾除けとして重宝がられたのが始まりだし。マーロウとボゴゼクも似たようなもんでしょ?」


「オレ、事務所に盗みに入ったら捕まった口」とマーロウ。


「こいつを助けに入ったら一緒に捕まった口」とボゴゼク。


 大笑いするふたりは、5人の中でも一番の仲良し同士だ。


「……ちっ、なんだそりゃ」


 スケンテイルは舌打ちした。


「オレも言わなきゃなんねえみてえじゃねえか。なんだ? みんなで肩組んで仲良しこよしってか?」 


「いーんじゃん? 差し当たっては暇なんだし」


 ブリックは肩を揺すって笑った。


「あんまり難しく考えんなさんなって。スケさん普段からあんまり自分のこと話したがらねえし、デンゴローはいつもわけわかんねえし。ちょうどいいから聞かせてよ、ふたりと姉御の馴初め」


「けっ……」


 スケンテイルは頭の上で手を組み、天井を見上げた。


「てめえみたいなイモどもとは違ってよ。オレらは首都星育ちの都会もんなんだよ」


「へえへえ、そうっすか」


「ああ? 殺すぞ?」


「おっとと、どうぞどうぞ、お続けなすって」


「けっ……」


 心底めんどくさそうに、スケンテイルは話し始めた。




「──ケルンピアはよ、言わずもがな、人口1憶五千万を誇る大都市だわな。

 煌びやかなネオンサインに建ち並ぶ超高層ビル。昼も夜も、一時だって静まることはねえ。

 食料や物資が銀河中から運び込まれて、市場から物が消えることはねえ。


 だけどそういうものはさ、直接オレらのとこに来るものじゃあねえんだよ。

 税関を通って、卸売り業者を通って、さんざん税金をかけられてから流通する。

 オレらの手元に来る頃にゃあ、見る影もねえほどにやせ細ってる。

 穀物のひと握り、野菜のひとかけら、料理屋から出る残飯ゴミクズ、そういうものでオレらは育ってきた。


 親父お袋? 知らねえよ、そんな奴ら、物心ついた時にゃいなくなってた。 

 オレらはオレらだけで生きてきた。

 誰の手も借りずにな。盗み奪って……そんなの、おまえらだって同じだろ? 


 なんやかや、オレたちは上手くやってた。

 飢えることはあっても、死ぬまではいかなかった。


 だけどある時、事件が起きた。

 青空市場の地面に落ちてる小銭を拾って歩いてたデンゴローが、金持ち坊ちゃんが落とした金を拾ったんだ。

 その坊ちゃんは何をとち狂ったか、デンゴローに盗られたと騒ぎやがった。

 考えてみれば、最初から計算ずくだったんだろうな、おっかねえ顔したボディガードがすっ飛んで来た。

 デンゴローをぶっ飛ばし、助けに入ったオレをぶっ飛ばした。

 地面に這いつくばったオレらを交互に蹴飛ばしながら、憎々し気に言い放った。


 ──貧乏人の小倅こせがれどもが、人様の懐から金をくすねて、いったいどういう教育を受けてんだ、恥を知れってな。


 金持ち坊ちゃんはボディガードのズボンを掴んで泣き真似しながら、オレたちだけに見えるように笑ってた。

  

 抵抗しても勝てないのはわかってた。

 大人しく寝てりゃあ命まではとられねえのもわかってた。

 骨が折れて血が出て……でもまあ、生きてるからいいやって。

 オレらは黙ってた。


 周りの奴らも見て見ぬふりさ。

 警察も医者も呼ぼうとしねえ。

 貧民丸出しの格好してるオレらの心配なんて、誰もしちゃあくれなかった。 


 ……だけどなあ、あの人は違ったんだ。

 ああ? あの人って誰だって? おまえらこの流れでわかんねえのか? バカか? 姉御に決まってんだろうが、まだチビっちゃい頃の姉御だよ。  

 あの人がどこからともなく現れたんだ。

 親父の趣味丸出しの花柄のワンピースなんて着込んでよ、でも腰にはホルスターをつけてんだ。

 自分の腕ぐれえもある光線銃ライトニングをぶら下げてさ、今考えても冗談みたいな格好してた。


 ──うっせえなオッサン。大の大人がガキ相手に本気になってよ、バカじゃねえのか? てめえこそ恥を知れよ。


 ってな、これがまた、ガキのくせにすげえ啖呵切りやがるんだ。

 周りはぽかーん、ボディガードは大激怒よ。

 手を伸ばしてな、姉御の襟首を掴まえて持ち上げようとしたんだが……」


 スケンテイルは指で銃を形作った。


「そこへズドン、よ」


『おおおおおお!』 


「ボディガードの手をぶち抜いてな」 


『さっすが姉御!』


「『あたいに触れるにゃ、あたいの許可が要るんだ。あたいはてめえに許可を出したか?』ってよ」


『痺れるうううー!』


 スケンテイルの語るキーラの武勇伝に、男たちは夢中になった。 

 暴力や権威に屈することなく常に己を貫き通す彼女は、彼らのようなはみ出し者たちの希望の星だったのだ。


 だからこそ、キーラの前に立ちはだかった障害を、彼らは憎むのだ。

 ジーン・ソーンクロフトという名の障害を。


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