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Rise Doll Online  作者:
第一章 Play Game!
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第七話 キリアの町

 町に着き、お互いフレンド登録を済ませ別れる。

 女の子はサクラいう名前で、薬師をやっているらしい。

 今度一緒に狩りをする約束もしたし、順調な滑り出しだな。


 一先ず、収穫した薬草などのアイテムがかなりあるので、これをどうにかしたいな。

 地図を広げて街の構造を覚える。

 どうやらこの街は大きく分けて四つのエリアに分かれているらしい。


 北に装備品などを扱っている職人街。

 東に冒険者ギルドなどのギルド街。

 南にこの世界の市民が住む市民街。

 西に雑貨屋や宿屋などの宿屋街。


 そして中央広場には、屋台などで安めの装備品や食べ歩ける食べ物などの物が売られている。

 広場にはお金やアイテムを預けられるバンク、領主様の家などの重要施設もある。


 アイテムやお金を預けられるバンクに向かう。



 バンクは石造りで二階建ての立派な建物だ。

 中に入ると、銀行のように受付があり、綺麗な女性が受付嬢をやっている。


 ちょうど空いていた端っこの受付に向かう。

 愛想のいい女性が対応してくれる。


「こんにちは、今日はどのような要件でしょうか?」

「どうも。今日はアイテムの預かりをお願いしたいんですけど」

「それでは、この書類に記入をお願いします」


 差し出された書類には、名前や種族年齢などの記入欄があった。めんどくせえ…

 サッと書いて、簡単な説明を受ける。


「それでは、新規の登録なので登録料の百Dを貰います」


 百Dを受け取ると、それを握りしめて何やら唱えている。

 唱え終わると手にはドッグタグのような物が乗っていた。それを渡してくる。


「これが認証用の認証票になります。次からはこの認証票を提出していただければ、各種の手続きができます。失くさないでくださいね」

「それで、アイテムの保存の方は?」

「はい、一般の倉庫で保存できるアイテムは最大五十枠です。お金の方は上限はございません。それで、アイテムの方を預けますか?」

「はい、それじゃぁ…」



 俺は現在屋台で何かの肉の串焼きを食いながら、街の中を散策している。

 地図には記されていない裏道とかも有りそうだし、拠点となる場所の詳細を把握しておくのが癖になっているのだ。

 基本的に町の中の地図はマッピングでの更新ができないので、頭で覚えるしかないのだ。


 職人街の裏道を歩いていると、とある店が目に入った。

 その店は裏道にあるので少し暗い雰囲気で、看板には盾と鎧の絵が書かれていることから防具屋だと思われる。


 本当になんとなくその店に入った。

 店内は数個のランプに照らされていて、クラシックな音楽も流れ落ち着いた雰囲気だ。

 壁際には数点の鎧や盾などが飾られている。


「…いらっしゃい」

「こんにちは。ここって防具屋ですよね?」

「…看板見ただろ?欲しいもんあったら言いな」


 なんだか少しぶっきらぼうな人だな、きっと頑固者だろう。

 なんかそっけない割には、俺のことをチラチラ見ている気がするんだが。

 

 店内に飾り付けられている物を見る限り、他の店で売られている物よりも若干古い感じのデザインだ。

 この店の防具は渋い感じのデザインのもので、中世の騎士の鎧のようなものだ。

 しかし、そのどれもが細部まで細かく作られていて、装飾などの華やかさは無いが、防具の性能からしてもなかなかの腕だと思う。


「なかなか良い物を作るんですね」

「…分かるのか」

「まぁ、少しは。性能もいいし、見た目も好みですしね」

「珍しいな若いのにこんな地味なのが好みなんて」

「まぁ、性能に装飾品は関係ないですし。元々、ごてごてしたものは好きじゃないんで」

「…分かってるじゃねえか。そうなんだよ、最近は見た目をこだわる奴らばっかりでな、俺たち古株の鍛冶師の防具が売れなくなってるんだよ」

 

 おじさんが若干興奮気味に捲し立てる。

 確かに、プレイヤーが装備している鎧などは、初期の物でもなかなかいいデザインで、ここにあるような古臭いデザインのものを装備している人は居なかった。


「この店って、重鎧と軽鎧を扱ってますよね?他にはどんな物がありますか?」

「そうだな、言った通りに重鎧と軽鎧が主だな。他には壁盾、大楯と盾、小盾、腕盾だな」

「革鎧とか服とかって…扱ってませんよね?」

「そうだな…服なら数着はあるが。あくまでも私服程度のものだぞ?」


 そう言って、店の奥に行った。

 しばらくすると、数着の女の子用の服を持って出てきた。

 なぜこんな女の子用の服を持っているのか…趣味か?


「……」

「…言いたい事は何となく分かる。言っとくが趣味じゃないぞ」

「そうでしたか、まぁ趣味でも気にしませんけどね」

「だから…まあいい。この服はさっきも言ったが、私服程度の物だ。それでもいいなら好きなものを選んでくれ、一律3000Dにしといてやる」


 見せてくれた服は、質素ながら細部に可愛いフリルやワンポイントがある物だ。

 その中から一番地味だと思う白のワンピースとホットパンツを買った。

 他にも、右腕用の腕盾を一個買っておいた。流石に戦闘中以外は邪魔なのでしまっておく。


「そうだ、お名前窺ってもいいですか?自分はアオです」

「おぉ、俺はガイツだ。これからもよろしくな」



 ガイツさんの紹介で行った武器屋で弾丸と短銃の装備用のガンホルダーとペッパーボックスという種類の短銃を買った。

 短銃の名前はケルベロスだ。一昔前の銃で別個の弾倉を持たず、1発ずつが装填された銃身を複数束ねたものらしい。


「はい、おまちどうさま。チキンカレーね」

「ありがとうございます。いただきます」


 今はその武器屋で紹介された食堂で、食事をしている。 

 食堂は市民街の裏道を少し入った所で、この辺の市民の食事所だ。

 店内は落ち着いた雰囲気で、様々な料理の匂いで食欲がそそられる。


 運ばれてきたカレーもスパイシーないい香りで、かなりのボリュームもあった。

 値段も120Dと、量を考えるとかなり安めだ。

 スパイシーながらも、辛すぎずに食材の美味しさを引き出している。じゃがいもはホクホクで肉もホロっと崩れるぐらい柔らかく美味しい。


 食事を終え、店を出る。


「さて…もう少し回ってみるか」


 そう言って、少し薄暗い裏道に消えていった。

 

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