第十四話 ゴブリンの王 始
遅くなりました。今回で終わるかと思いきや終わらなかった…
扉が重い音をたてながら、ゆっくりと開く。
全員で固まって中に入ってみると、中はかなり広く豪華な作りだとわかる。天井には豪華に光るシャンデリアが有り、壁には絵画らしき物も飾られている。
扉の前から続くレッドカーペットの先に、目的の魔物が大きな玉座に鎮座していた。
そのゴブリンは普通のゴブリンの三、四倍はありそうな巨体に豪華な金属の鎧、頭には宝石の埋め込まれた王冠を輝かせている。
俺たちが中に入ったのを確認したかのように、扉が勢いよく閉まった。それが合図だったように、玉座から大きな声が聞こてくる。
『やはり、あの者の差し金だったか…だが、あのお方のためにもお前たちにはここで死んでもらうぞ』
そう言うと玉座から立ち上がり、腰から大きな曲刀を抜きこちらに向かってきた。
「何言ってるのかいまいち分からないが、早速やる気らしいな」
「それじゃあ、基本通りでね」
「アイ」
「了解っす」
「あぁ」
迫りくるゴブリン・キングはLV25だ。俺のLVが16で三人が20だったので、かなりLVが高く設定されているようだ。
部屋の中に響く重い足音を立てながら進んでくるキングの前に、一歩前に出てスズが盾を構えて立ちふさがる。
「アリス、補助お願い」
「アイ…ファイアー・エグ、ウインド・ブーツ」
アリスが皆に補助魔法をかけてくれる。丁度魔法がかかり終わった時に、キングの一撃がスズの盾に打ち込まれる。「ガキンッ」と金属のぶつかる音がして、スズが攻撃を受け止める。
「うぅ…重い」
「大丈夫か?」
「うん、これくらいで音を上げたら盾なんかやってられないもん」
そう言いながらも、次々と振り下ろされる攻撃を防いでいく。それでも僅かに削りダメージが入り、少しずつスズのHPが減っていく。
「準備良い?」
「おう、いつでも良いぜ」
シュリとコウがお互いに合図して、スズの両脇からキングに向けて走っていく。
「スズ、チェンジ!」
「うん…シールド・バッシュ!」
コウの合図でスズがキングの斬撃を避けると、キングの曲刀が地面に刺さり一瞬動きが止まる。その隙をついてスズが懐にステップで近寄り、足にアーツを放つ。
アーツにより、キングの体がよろめく。それを確かめてからバックステップで素早く距離を取る。
「クロス・スラッシュ!」
「アース・ブレイク!」
二人のアーツがキングに命中する。すると、キングの視線が二人に向く。
「大体の攻撃パターンは読めただろうし、こっから攻勢に出るよお兄ちゃん」
「アイ、攻撃してタゲ回しながら攻撃。後衛は攻撃と支援」
「おう」
どうやら此処からが本番のようだ。今までのスズの役割は敵の攻撃パターンを調べるためのものらしい、それによってコウ達アタッカーが安全に攻撃しやすくなるのだ。
アリスの魔法クラスの後衛は高威力の攻撃力に、属性に合わせた状態異常がある代わりにヘイトが高いためタゲの調整が難しい。
俺の物理系の後衛は安定した攻撃ができ、尚且つ回避が適度にタゲを取って前衛の負担を減らすことも仕事だ。
コウ達前衛職はタゲを回しながら、回避をしながら攻撃に専念する。アーツやスキルを多用することもあるので管理が重要だ。
そして、パーティの大黒柱のタンククラスはその防御力を生かして積極的にタゲを取る。しかし、盾で攻撃を防ぐ時に腕にその衝撃が伝わるため回復の時間が要るのがネックだ。
今はスズは俺達の横で疲労回復ポーションを腕にかけている。ポーション類は飲む以外にダメージの多い部分に直接かけることで効果を上げることができるのだ。
でもこれって、鎧の上からでも効果ってあるんだな。てか、錆びないのかな?
そんな事を考えている間にも、コウとシュリの攻撃は続いている。今タゲはコウが取っていて、攻撃を避けながら足に攻撃を当てている。
シュリの方はなんと大剣を棒高跳びのように地面に突き立て、思いっきりジャンプして腰から片手剣を抜いて顔に向かってアーツを放っている。
シュリの放ったアーツは丁度キングの右目に当たる。空中で無防備になったシュリにオークの腕から繰り出されるが、間一髪で体を捻って避ける。
キングはシュリの攻撃で視界が制限されたのか、やたらに剣を振っている。コウとシュリは動きが読めないからか攻撃できないで少し離れている。
「ファイヤー・ランス」
隣で魔法の詠唱をしていたアリスが魔法名を口にすると、キングの目の前に四本の火の槍が現れキングの体に突き刺さった。
ほんの少し槍の刺さった部分が炎上するが、金属の鎧に阻まれ直ぐに消えてしまう。
魔法にはそれぞれの属性で、追加の効果がある。例えば火属性魔法は炎上による追加ダメージ、水属性魔法は体が濡れることにより動きが鈍くなったり雷属性のダメージが上昇など、組み合わせることでより効率よくダメージを与えることができるのだ。
「シィ、あんまり効いてない…ウインド・カッター」
今度は風属性の薄い透き通るような緑色の半月状の魔法がキングに向かって飛んでいく。しかし、又もや鎧に阻まれ少しの傷をつけただけで霧散する。
どうやら魔法防御力の高い鎧らしい、まったく面倒だな。
隣でアリスもその事に気が付いたようで苦々しい顔をする。
「シィ、魔法が効かないから、支援しながら、考える」
そう言ってMPポーションを飲みながら、キングをじっと見つめている。
キングはアリスの方を見たが直ぐにコウに向き直り反撃している。その反撃は大振りだがかなり強い攻撃だ、空振りした曲刀が地面に亀裂を作ることからその威力が窺える。
コウの武器は長剣の二刀流だ。アーツは手数の多いものが多く、総じて瞬間攻撃力は高いがTPの減りが多い。
今のコウの攻撃方法はアーツの合間に普通攻撃をする感じだ。アーツをいくつか繋げながら威力減退が無くなるまで普通攻撃、またアーツのコンボという感じだ。
一方シュリは大剣をメインにしている。大剣は重量が有り一発の攻撃力が高い。しかし、重いのでそれなりに振りが遅く、アーツも攻撃までの隙が大きい。
今のシュリは一撃離脱で堅実に攻撃している。タゲがコウに移っている時に隙を見てアーツを撃ち、自分がタゲられている時は大剣をしまい回避に専念している。
「こいつ硬すぎだ。TPが無くなりそうだ、少し回復するから下がるぞ」
「分かった、私が上がるよ。シュリはまだ大丈夫?」
「うん、まだいけるっすよ」
そう言ってコウがキングから離れ、代わりにスズが走り寄っていく。
コウはTPポーションを飲みながら、武器を確認している。コウは攻撃重視だたため、回避は最小限にして剣での受け流しなどもしていたので消耗が激しいのだろう。
スズがキングの正面に立ち、スキルの「挑発」を使いタゲを自分に移す。
今度は盾で受けるだけではなく、攻撃を見極めて強い溜めのある攻撃は盾で逸らしたり回避して、ダメージを抑えている。
シュリはここぞとばかりに大剣のアーツを連発している。アリスも魔法を撃ちこみながら、スズの回復と前衛二人の補助魔法のかけなおしをしている。
スズの使ったスキル「挑発」は相手のタゲを強制的に自分に向かせ、尚且つ三十秒他のメンバーの行動によるヘイトをゼロにするものだ。なので今が攻撃チャンスだ。
俺もケルベロスで鎧の隙間を狙って撃つ。コウも復帰してきて攻撃に加わる。
すると、ようやくキングのHPが四分の三ほどに減った。
この調子で行けば何とかなるかもな。
その考えが甘かったことに直ぐに気づかされることになるとは知らずに、今晩の夕飯のメニューを頭の隅っこで考え始めるのだった。
おさらいです。
スキル:TP、MP、HPなどを消費して特定の効果を得る。しかし、発動時間や再発動までの時間が有る。
アーツ;TPを消費して武器による高威力の攻撃をする事が出来る。再発動時間は決められていないが、あまり短い間隔で同じアーツを使うと威力減衰が起こり、TP消費増の威力大幅減になる。
魔法:MPを消費して魔法攻撃を行う。発動までに詠唱時間が必要だが、総じて火力は高い。それぞれの属性ごとに特徴があり、うまく組み合わせて使う事で威力も変わる
火属性魔法:補助効果・攻撃力補助。攻撃時効果・炎上による追加ダメージ。
水属性魔法:補助効果・防御力補助。攻撃時効果・濡れによる行動力低下、雷属性ダメージ増加。
風属性魔法:補助効果・行動補助。攻撃痔効果:裂傷による追加ダメージ、穂脳属性ダメージ増加
土属性魔法:補助効果・特殊行動補助。攻撃時効果・行動制限。
光属性魔法:補助効果・回復系。攻撃時効果・アンデッド系に追加ダメージ。
闇属性魔法:??? (現在プレイヤーは使用できない仕様です)
炎・氷・雷・岩はそれぞれの上位魔法なので今は伏せます、いや考えてないとかじゃないんだからね。
ちなみに、アオの成長した?ステータスとかも次に見せます。まぁ、ステータスは一も上がってないけどね。




