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永遠の契り、久遠の思ひ  作者: 焔涙
乱世の姫君
9/15

天狗と姫2

 聯が御影の城に居候しはじめてから一月ほどが過ぎた。もう葉月も後半に差し掛かろうとしている。しかし、秋になったとはいえ、体にまとわりつくような蒸し暑さが続いていた。その間、聯はほぼ毎日悠に稽古をつけてもらい、剣の腕もかなり上達したらしい。

 そんなとき、聯の親たち、つまり、にのまえの城から文が届いた。

 その内容はこうだ。

             最近、一の城下で神隠しが多発している。

             我らではどうやっても尻尾しっぽがつかめない。

             もしかしたらあやかしの仕業かもしれない。

             御影家に調査を依頼したい。

 もちろん焔も栴桜も、すぐにでも助けに行きたかったが、御影家の当主とその妻が、簡単に城を離れるわけにはいかない。

 そこで、千尋と聯に白羽の矢が立った。彼女たちに断る理由があるはずもなく、知らせを受けてすぐ、悠、遙とともに一の城下にやってきた。






 一家の城下は、人通りが異常なほど少なかった。そして、皆何かを恐れているようだ。やはり神隠しが原因なのだろうか。

 「僕が居たときは、もっと活気のあるところだったんだけど・・・」

聯が少し寂しそうに言う。

 そんな聯の表情を見た千尋が、一瞬つまらなそうな顔になって、でもそれをすぐに掻き消して笑う。

「それじゃ、活気を取り戻すためにも、早く神隠し事件を解決しなきゃね。」

「うん。」

 二人のやり取りを目元をほころばせて見ていた悠が、頃合いを見計らって口をはさんだ。

「詳しい事情が全く分からないし、一度城を訪ねたほうがいいだろう?」

城下ここの地図か何かも欲しいね。」

遙がそう付け加える。

 「じゃあ、僕が案内するよ。少し歩くけど・・・」

「ええ。もちろんお願いするわ。」

少し自信なさげだった聯だが、千尋の即答を聞いて安心したようだ。はにかんだような、それでいて嬉しそうな表情で笑む。

 はたから見れば初々しすぎる二人を、後ろから肩をすくめて微苦笑で眺めていた悠と遙だったが、

「・・・っ!?」

微かな妖気を感じて、体を強張らせた。

 強張った体のまま、千尋に呼びかけようと前を見ると、彼女も妖気を感じたらしい。鋭い目つきで辺りを探るように首をまわしている。

 「・・・あの、これは一体・・・・・・?」

一人だけ状況が把握できずにいる聯が、少し間の抜けた声音で誰にともなくたずねた。

 しかし、あとで話すという目顔が返ってくるばかりで、誰も明確な答えを提示してはくれなかった。

「・・・???」

 その後数秒、千尋、悠、遙の三人が緊張で鋭敏になった感覚を研ぎ澄ませ、聯だけがわけも分からず立ち尽くすという状況が続いた。だが、それもわずかの間だけで、三人はすぐに緊張を解き、

「もう・・・なにも感じないわよね?」

「ああ。一体何だったんだ。」

「聯には悪いことしたわね。」

と、今妖気を感じたということを彼に説明してくれた。

 説明を聞いている間、聯がわずかに顔をしかめたことには、誰も気づかない。

 「とにかく、感じなくなっちゃったものは仕方ないし、とりあえず城にむかいましょ。」

「うん。」

千尋の言葉を合図にするように、聯が案内を再会した。







 そうして、かなりの間歩いたように思う。千尋は何食わぬ顔をしているが、普通の姫にとっては、かなり辛い距離だろう。ようやく城が見えてきた。正確なことはわからないが、もう、がれと言ってもいい刻限のはずだ。誰そ彼は、人の見分けがつきにくく、妖が最も人と交わる時間帯である。先ほどの妖気のことを考えると、急いだほうがいいかもしれない。

 その考えをほかの三人に伝えようと、千尋が自らの思考の海から意識を引き戻した、まさにその瞬間。

 一人の女とすれ違った。

 もちろん普通の女ならば、気にすることは無い。ただ、女とすれ違ったとき、なにか胸騒ぎのようなものを覚えたのだ。

 女の背丈は、普通より若干高い。美しい黒髪を膝まで伸ばし、綺麗に化粧をしている。そして、緋色の袴、小袖五ツ衣、薄絹という格好だ。

 ひどく美しい女性だと思った。

 だが、そんな思考は、遙の動揺した声に掻き消された。

「・・・え・・・?ど、どういうこと!?」

「・・・どうしたの?」

千尋が怪訝な顔でたずねると、悠が焦燥を隠そうともしない表情で応えた。

「何言ってる!聯がいないだろう!?」

「・・・・・・え・・・・・・・・・・?」

 どこか上の空だったから気づかなかったのか。はたまた別の理由かはわからないが、確かにさっきまでそこにあったはずの聯の姿が、忽然と消えていた。

はい!

いつものごとく文章力なんて欠片もありません☆


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