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永遠の契り、久遠の思ひ  作者: 焔涙
乱世の姫君
8/15

天狗と姫1

 ああ、逢いたい・・・

 願う

 どうか、いまひとたび

 貴方に・・・逢いたい












 四人が御影の城に帰り着いたときには、戌の刻を優にまわっていた。彼らは城に入ってすぐ、こけしだらけのほむらの部屋に向かった。

 「だいぶ遅くなっちゃったわね。」

部屋に向かう途中、千尋が独り言のようにつぶやいた。

「片道一刻かかったんだからしかたないだろう?」

悠がとりなすように言う。

「まあ、そうだけど。」

 そうこうしている間に、焔の部屋の前についた。

「父様。・・・千尋です。」

「ああ、千尋。戻ったか。入りなさい。」

「失礼します。」

 千尋たち四人がふすまを開けると、焔、栴桜、栴蘭、閻禾が数刻前と何も変わらぬ位置に座っていた。どうやらずっとこの部屋にいたようだ。

「おかえりなさい。随分時間がかかったのね。」

特に叱るふうでもなく、穏やかに笑ってそう言ったのは栴桜だ。

「はい。なにぶん遠かったので・・・」

 千尋は、この数刻の間にあったことを、親たち四人に話した。四人とも静かに聞いていたが、千尋の話が終わると、栴蘭が口を開く。

「なあ、それなら聯。おまえ、一年間御影の家(ここ)で剣の腕鍛えてもらうってのはどうだ?もちろん、焔たちが良ければ、だが。」

 かなり突拍子もない提案に思えたが、栴蘭は本気のようだ。

「別にかまわないぞ。なあ、悠よ。」

 問われた悠は、数度まばたきをして、

「ああ。俺は別にいい。だが、聯はそれでいいのか?」

「はい。ぜひお願いしたいです。」

 どうやら迷いは無いようだ。

「じゃあ、決まりだな。うちのをよろしく頼む、千尋ちゃん。」

 唐突に話を振られて驚いた千尋は、

「あっ、はい。」

という間の抜けた返事をしてしまい、頬が朱に染まった。

「っははは。それじゃ、俺と閻禾は帰るわ。」

栴蘭のその言葉に、栴桜が軽く目を見張る。

「兄上、本気ですか?もう亥の刻をまわります。夕餉ゆうげもまだとられていないでしょう?今晩は泊まっていかれては・・・?」

「いやー、そうしたいところなんだが、明日も朝から用があってな。」

「・・・そうですか。では、お気をつけて。」

「おう。」

「お邪魔しました。」

 栴蘭と閻禾の二人は、短い挨拶をし、御影の城を後にした。






 「それじゃあ、聯君の部屋を用意させるわね。すぐ済むから、千尋の部屋で待っていてもらえる?」

栴蘭と閻禾が立ち去ってすぐ、栴桜がそう言った。聯は、はい、とうなずき、千尋も彼とともに首肯する。

 「用意ができたら、呼びに行かせよう。」

「わかりました。」

千尋の返事と同時に、千尋、聯、悠、遙が立ち上がり、焔の部屋を後にした。






 千尋の部屋に着いてすぐ、悠と遙が妙に作り物めいた笑顔で口を開いた。

「じゃあ、あたしたちも聯君の部屋の用意、手伝ってくるから。」

「準備が整ったら、俺らが呼びにくればいいな。」

そう言って、足早に立ち去ってしまう。千尋の部屋には千尋と聯の二人だけになってしまい、ものすごく気まずい雰囲気が漂う。

 これはどういうことなのだろう。

 明らかに、二人きりの状況を強制的に作られた気が・・・。

 互いが全く同じことを思っていることなど露知らず、二人は慌てて話題を探す。が見つからず、目を泳がせる。

 千尋の場合、普段緊張することなどないのだが、今日はなぜか気恥ずかしさがあった。

 「え、えっとっ、その・・・」

沈黙に耐え切れなくなった千尋が、ついに口を開いた。

 だが、なにも話すことを考えていなかったために、そのさきが続かない。

「えと・・・・・・あ、あの、ちゃんと、あいさつしてなかったよね・・・?今更言うのもなんだけど、これからよろしくね。」

苦笑まじりの笑顔で、なんとかそう繋げる。

「う、うん・・・。よろしくね。なんか・・・急に居候いそうろうすることになっちゃったけど・・・ごめんね。・・・迷惑じゃ、なかった?」

聯も聯で、不自然な笑顔で、不自然に目を泳がせながら、不自然な口調で答える。

 遙が見ていたなら、きっと初々しいと笑うのだろうが、当人たちは気が気でない。

「迷惑なんて・・・そんなことないよ。きっと母様も、もう一人子供ができたみたい、って喜ぶとおもうし・・・」

千尋は、ようやく普通に話せるようになってきたらしい。

「そ、そっか。良かった・・・。」

「うん。」

 そんなぎこちない会話を続けていると、千尋にとっては聞きなれた足音が近づいてきた。

「あ、悠・・・」

「千尋、聯。部屋の準備ができたぞ。」

「わかりました。すぐ行きます。それじゃあ、千尋さん。おやすみなさい。」

「ええ。おやすみなさい。・・・あ、私のことは、呼び捨てでいいから。」

千尋が不自然でないいつもの笑顔で言うと、聯も見たことのない自然な笑みで、

「じゃあ、僕のことも呼び捨てがいいな。」

と答えた。

 

新章みたいなものに突入しますwww

ホント・・・つたない文ですが・・・

読んでくださりありがとうございました!


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