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永遠の契り、久遠の思ひ  作者: 焔涙
乱世の姫君
10/15

天狗と姫3

 「なんで・・・・・・?」

 悠と遙より若干遅れて事態に気づいた千尋が、呆然と呟く。

 それは、異常な状況だった。ほんの数分前まで、一緒に歩いていたはずの聯の姿がどこにもないのだ。もしも近くにいるのなら、悠か遙が気配で気づく。妖に襲われたなら、どんなに巧妙に妖気を隠していても、見つけられる自信が千尋にはある。だが聯はどうだ。三人の誰にも気づかれることなく、一瞬にして姿を消した。

 そして、その状況がおのずと導き出す答えはひとつ。

「・・・まさか・・・聯が自分で・・・・・・?」

悠が微かに青ざめて呟いた一言に、千尋が過敏に反応する。

「そんなわけないでしょ!?」

「・・・っ・・・ああ。そうだな。悪い。」

そう言って悠は、目にかかった髪を手でかきあげるようなしぐさをする。

 そんな二人を横目でちらと見た遙は、真っ赤に染まった空を見上げながら口を開いた。

「・・・二人とも、憶測でものを言うもんじゃないわ。」

「・・・お前に諭されるの・・・なんか嫌だな・・・」

悠が僅かに顔をしかめて言う。

「っこんの・・・しっつれいな男ね!!」

「あはは・・・悪い。・・・・・ありがとな・・・」

いつもの調子で、けれど少しだけ恥ずかしそうに言いながら、遙の頭をかるくぽんっとたたいて、彼女よりも少し前にいた千尋に向かって歩き出す。

 そして、千尋の頭を慣れた手つきで撫で、そのまま髪をもてあそび始めた。

 遙はといえば、悠にたたかれた部分を両手で押さえ、目を細めて再び空を見上げる。

「・・・反則だわ・・・・・・」

誰にも聞こえないように、そう呟いたのだった。











 同時刻。

 そこは、永遠に終わることなく続いているのではないか、と錯覚させるほど、本当に何も無い場所だった。

「・・・ここは・・・一体・・・・・・?」

「教えてほしい?」

 唐突に眼前から声が聞こえ、ハッとして顔を上げる。

「・・・・・・誰、ですか。あなたは・・・・・・」

「そうね、少なくとも、人では無いわね。そして、ここも・・・・・・」

「・・・・・・?」

「人の世のことわりからは、外れているわ。」











 髪が軽く引っ張られるのを感じ、千尋は反射的に振り返ろうとした。

 しかし、途中で思いとどまる。再び前を見る。

 何故なら、彼女にはわかってしまったから。

 今、後ろに誰がいるのか。

 今、どんな顔をしているのか。

 そんなことまで容易に予想がついてしまったから、彼女は振り返るのをやめた。

 多分、今千尋の後ろにいるであろう悠は、自分の表情を誰かに見せたくないだろうから。

 悠は、気が小さいのだ。

 さっき、千尋を不安にさせるようなことを言ってしまったのを、まだ気にしているのだろう。

 そんなこと、もう誰も気にしていないのに。

 きっと彼は、少しだけ不安そうな、そして何か物言いたげな表情で千尋の髪をいじっている。それは、悠が千尋と出会って少ししてからの、彼のくせのようなものだ。何か、言いたいけれど言いにくいことがあるときは、決まって千尋の髪に左手をのばす。

 その、決まりきったしぐさに、千尋は思わず苦笑をもらしてしまう。

 そして、それがわかっているから、千尋は自分から切り出す。

 今回ばかりは、彼女にも非がある。

「・・・ねぇ、悠。」

こういうとき、できるだけ優しい口調を心がけてしまうのは、何故だっただろうか。

「ん?」

「さっきはごめんね。」

そう言って振り返ると、意表をつかれたような顔をしている悠と目が合った。

 すると悠は、目に見えて狼狽ろうばいし始める。

「いや・・・その・・・それは俺にも非があったし・・・だから・・・えと、ごめん・・・」

それに満足そうに微笑むと、千尋はなぜか、急に元気になる。

「はい、この話、終わり!!さっさと聯をさがさないと。」

「ああ。」

「そうね。」

 いつの間にか遙も追いついてきていた。

「まず、どうするの?」

「そうねぇ・・・とりあえず、栴蘭様と閻禾様に事情を報告しましょ。」

「もう、城は見えてるしな。」

ようやく、三人のいつもの調子が戻ったのだった。


 

短い・・・・・・。

短いですね!遅いですね!!

次は2週間くらいで更新したいなぁ・・・。


感想いただけるとうれしいです!!

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