珈琲
ーすごい、人だかり。
街1番の商店街へ連れて行ってくれるということで
城から馬車に乗った。
私には白と黄色のローブに
大きめな白い帽子に髪を結って帽子の中に隠した。
「これは外からみると茶色の瞳に見える眼鏡です。」
レンズに薄い色がかかっており、魔法で瞳の色が茶色に見えるという不思議な眼鏡をかけた。
フィリアの瞳の色も珍しいようで、街中でひっそり買い物に出掛ける際かけているという。
その眼鏡を譲ってくれ、フィリアは他の眼鏡をかけていた。
馬車から見える商店街はお昼過ぎということで、賑わっていた。
「お手を必ず離さないでくださいね」
リリィに念押しされ、私は大きく頷いた。
ー何があってもお守りします。
少しリリィが緊張している。
やはり、私の姿は異様なのかもしれない。
どんな本にも私のような髪の色、瞳の色は記されていなかった。
フィリアが渡して読ませてくれたニュムペー族の物語くらいだ。
それでも私は物語の一族のような力は無い。と思う。
馬車を降りる前、フィリアが私に香水を手首にふった。
「私は鼻がききます。なので万が一離れても必ず香りで見つけられますから」
そう優しく頭を撫でられた。
「あり、がとう」
馬車を降り、商店街に入ると、そこは活気あふれる街だった。
飛び交う人々の声。
見たことのない食べ物や、小瓶の中にきらきらした石が入っている物を売っていたり
少し歩くと、洋服屋へ入った。
「子供服が欲しいのですが」
にこりと微笑むフィリアに店員は目がハートになっていた。
やはり、フィリアの端整な顔立ちは珍しいのだなと再確認した。
「試着は彼女が手伝いますので、提案のみお願いします」
フィリアはリリィを前に出し、告げると店員は承知しました。と言って
洋服を次々持ってきた。
「ま、って、おおい、こんな、に、いらない」
あれよあれよと、10着ほど試着をし、その度にリリィは
「可愛い!!お似合いです!!」
と目をキラキラさせるし、フィリアは大きく頷き。
「この服に合う、靴と帽子はありますか?」
と追加で装飾品もつけるしまつ。
「では馬車をあちらに停めているので、運んでおいてください」
フィリアが会計を済ませ、指示をだしている。
試着したのは10着で、それにプラス部屋着と寝間着も追加で購入していた。
私の体は1つしかないのに。と私がゲッソリしているのに対してリリィは満足げに微笑んでいた。
「ありがとうございました~。またのご来店をお待ちしております~」
ハートが飛んでいる店員に見送られてリリィの手を握る。
「どこかで甘いものでも食べましょうか」
フィリアの提案に私は嬉しくて大きく頷いた。
「ここのケーキとっても美味しいんですよ~」
リリィが嬉しそうに街の喫茶店を指さした。
ケーキという単語は前世にもあった。もしかして、本当にケーキ?
変なフルーツとかではないよね?
「どうぞ、こちらチーズケーキです。」
目の前に出されたチーズケーキは、私の知っているチーズケーキだった。
私は手を合わせ、一口頬張る。
ー美味しい!!
この世界には、知らない料理や食材が多い。
でも中には、紅茶や珈琲、ケーキ、クッキーと馴染みある料理や飲み物もある。
調べるとどれも人族発祥の料理や食材らしい。
この世界は、もしかしたら、来世ではなく、異世界なのでは?
来世にしては、街が発展していないし、かといって過去では
前世にない人種が多い。
本当に前世の小説や漫画等で読んだことがある。街並み、景色、人種。
ここはきっと地球ではない惑星。異世界なのか。
と、この数日で答えをだしてみた。
さて、では私は何者なのか。
そこが、分からない。どの国出身なのか、家族は?名前は?
「すごい」
リリィが驚いた様子で私を見ていた。
首を傾げると、微笑んでいるフィリアが
「龍族は珈琲が飲めません。お酒は他の種族より強いので酔うことは
ほとんどありませんが、珈琲は飲むと直ぐに酔っ払てしうまうんです」
私がケーキに珈琲を合わせて飲んでいるのがリリィは驚いて羨ましがっていた。
「私珈琲の味は好きなんです。でもだめです。飲んだら直ぐ眠ってしまうんです」
そんな種族の違いというか、弱点があるんだ。
確かに人間は酒に弱いから、それが龍族の珈琲なのかもしれない。
リリィが商店街のおすすめスポットと話してくれ
フィリアが情報に補足を入れてくれる。
その会話を聞きながらケーキを食べる私。
幸せな時間だった。




