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メイドの声


ーどういうこと?


頭の中にハテナがたくさん浮かび上がる。

今3人のメイドに体を洗ってもらっている。なんて恐れ多いの!と思ったのもつかの間


ーこんなに汚れて、奴隷買収場から逃げてきた子かしら


と50代くらいのメイドが私の頭に泡を乗せ洗ってくれているときに

頭に彼女の声が響いたのだ。

彼女は声を出していない、だけど先ほど他のメイドとのやり取りで聞こえた声が頭に響く声と一緒だ。

これはさっきの馬のペリと同じ現象?!


「失礼します。痛かったら直ぐ教えてください。」


黒髪の凛々しく少しつり目の20代前半くらいのメイドが私の腕に泡を乗せて洗いはじめた。


ー年齢に対して体が細い、栄養不足、

体の至る所に切り傷、痣、古いものもあるけれど新しいものもある。

背中が1番酷いわね。この後の食事は栄養価の高いもので、体に優しいものとシェフに伝えなければ。


この方はとても分析していらっしゃる。


「し、失礼しますね、痛かったら直ぐに教えてくださいね。遠慮せず!」


まだ10代だろうか、そばかすが似合う色白のメイドが恐る恐る私の体に泡をのせた。


ーわあああ痛そう。痛そうだよ。大丈夫かな、沁みてないかな、我慢してないかな。


とても心配してくれている声が頭に響く。

ヒリヒリするけど、なんて皆さん丁寧なんだ。ありがたい。と女性に囲まれてほっとしたのか、

浴槽に入れられて、体にじんとお湯の温かさが広がる。

自分自身では気づいていなかったけど、相当冷えていたんだな。


そばかすのメイドが、愛らしい笑顔で


「このお湯は傷を癒す効果が入っているので、徐々に傷が和らぐと思いますよ」


と私の髪をタオルで巻いてくれた。


ー完全には傷を治せないけど、痛みはだいぶ減るはず!足裏も傷口は閉じるから痛みなく歩けるはず!


優しい人だなと、ほっとした。

体も丁寧に拭いてくれて、子供服に着替えさせてくれた。

なんてしっかりした綺麗な白と黄色のワンピース。ひらっと裾にレースがあしらわれていて、

首元にもレースがあり、ボタンは綺麗な銀色、動く度にふわりとスカートが躍る。


凛々しいメイドが髪を乾かしてくれている。

その方法が、


「風よ、我に力をかせ」


そう唱えると手に小さなマークが現れ、そこから温風が出てきた。


ーすごい!魔法だ。この世界では魔法が一般的なのかな。


ただ、私は皆の声が聞こえるけど、皆は私の声が聞こえないのかな。

呼びかけてみても、返事はない。

そして1つ気づいたことがある。


服を着たら皆の声が聞こえない。素肌に触れると声が聞こえるんだ。

現に今、私の服の後ろのリボンを結んでくれる、そばかすのメイドの声は聞こえない。

頭をくしゃと触っている、凛としたメイドの声は聞こえている。


ーこの後はパンさんにこの子を連れてってもらって、お食事をとってもらいましょう。


この後ご飯までいただけるのか、と思いながら乾かされていると

乾き終わり、長い髪を50代のメイドが編み込みをしてひとつに結んでくれた。


が、この人は私をあまりよく思っていないようだ


ーこの子の瞳、気味悪いわ、髪の色も、こんな色みたことない。

面倒ごとないといいけど。さっさと孤児院に連れていってくれないかしら。


そうか、それもそうだ。私は善意でここにいる。

戸惑っているのは私だけではない。

鏡に映る私は7、8歳くらいだろうか、幼いし瘦せ細っていた。



前世の幼少期を思い出しそうだ。

私の前世は親元を離れる15歳まで、地獄だったと記憶している。

両親に愛情を向けられたことがなかったのだ。

思い通りに動く人形という認識かもしれない。

それくらい冷たく、思い通りにいかないと、殴られ食事を貰えなかった。


16歳の時に父の拳が急所にあたり救急搬送されたのが、きっかけで

母の祖父母へ引き取られた。

16歳以降は幸せだった。たくさんの愛情を注がれて平凡がいかに幸せか私は知っている。


前世の記憶にふけていると、50代のメイドに手を引っ張られた。


「ほら、行きますよ」


一瞬、母が重なった。


パシ


引っ張られた手を払いのけて、思わずそばかすのメイドの後ろに隠れた。

私の初めての意志を持った行動に3人は驚いて固まっていた。

私はぎゅっとメイドのスカートを握った。


凛としたメイドが50代のメイドに


「パンさん、ここはリリィにお願いしますので、持ち場に戻ってください。」


パンは私を睨むと返事をして、浴室を後にした。


「ベラさん私が連れていきます。」


そばかすのメイド、リリィは私の手を取り目線まで体を低くして


「今からお食事をしましょう。好きなものを好きなだけ、食べて良いのですからね。」


と微笑んでくれた。握った手からも温かな言葉しか聞こえない。


ベラと呼ばれた凛としたメイドは、リリィに頷き返し私にお辞儀をすると浴室を出て行った。


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