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謎の少女


「不思議な力を持っている、この国の人間ではないだろうな」


今日は月に1度の遠征訓練の帰り途中。

いつもの休憩場所で馬を止めた、降りた瞬間甘い香りがした。

初めての香り、皆は気づいていないようだったが、私は他の人より感覚が敏感だ。


香りを辿って着いた先は、見たことがない花畑が広がっていた。

黄や白やオレンジ色の花々の中に隠されていたように、中心に少女が座っていた。

その少女は燃えるような赤い瞳が1輪の花のように際立っていた。

銀色の長い髪が風に揺れ赤い瞳を隠す。


気付いた時には少女は走り出していた。

人間の子供か?速度は遅い。

私が一歩踏み込めば追い付いてしまう。


「木々が彼女を守っていた」


「え?どういうこと?」


少女をメイドにお願いし浴室へ案内させた。

自室へ行くと先にティアがソファに座っていた。


出会ったときの話を間接に伝えるとティアは驚いた様子だ。


「あの香りは、きっと魔物が嫌いな香りだろう、また、匂いが強かったのも人間がそこにいると、魔獣に悟らせないようにだろう」


足には枷がついていた。どこかに囚われていたのは、傷や様子を見れば直ぐに分かる。

まだ一度も声を聞いていない。話せないのか、話さないのか。

こちらの返答に応答できているということは言語は理解している。

だが、この国ではあまり見たことのない髪色、瞳。


「ん~隣国にも白銀の家系はいたかなぁ」


「土属性の魔力があるのかもしれないが、しかし見たことない花だった」


そして人間が魔力を使う際は詠唱しなければ発動しない。

少女は一度も声を出していない。それに少女の感情を大地が現し、守っているような動き、意志を感じた。


「なあなあ、エドに聞いてみるか?」


「そうだな、もしかしたら何か知っているかもしれない。」


正体が分からなければ、下手に報告ができない。

ただの人間で奴隷買いから逃げてきたという単純な話ではなさそうな気がする。

それに少女がいた場所はこの国の中だ。隣国から逃げてきたにしては、近すぎる。

あの少女の足では無理だ。


コンコンと軽いノック音の後にメイドの声がし応答してドアが開く。


「呼んだ?」


そこには同じ騎士団のエドワードが立っていた。


「お前はテレパスでも持っているのか?」


ティアが笑って言うとエドワードが微笑しながら


「ほしいねその能力。」


ソファに腰かけた。

エドワードは騎士団随時の戦略家だ、

戦闘よりも戦略を立て隊を勝利に、危機を何度も救ってくれている。

アレティア、エドワード、フィリアの3人は幼馴染であり

フィシオロゴス国第一騎士団に所属、騎士団の中でも最強の3人と呼び名が高い。


戦闘特化のアレティアは炎属性の龍人

戦略家のエドワードは風属性の龍人

龍の国フィシオロゴス国は龍人の国王をおき、

人口の割合は4割ほどが龍族、2割はエルフ族、

2割はハルブダ族(魔獣と人間のハーフ)、1割は人間族、1割は魔獣族の国だ。


龍人とエルフは必ず魔法属性があり、それ以外の族性は持っているかは分からない。

家系による。本人の突然変異というのは、まだどの国からも報告されていない。

魔法属性が無い家系は、ある家系と結婚し半分の確率で子供が魔法属性を発生させることはある。


少女は魔獣の匂いではなく、エルフでもない。

もちろん龍人でもない、人間の匂いだった。


エドが1冊の本を持ってきたようで、


「先程、ティアから軽く話を聞いて、白銀の髪で赤い瞳の族生を調べてみた。

もちろん今聞いた詠唱しないで土魔法が使えるのかは調べていないから、これが正しいかは分からない」


「さっすが~!!仕事が早い!」


調子よくティアが前のめりになると、得意げにエドが本のページを開いた。


「まあ、本当に伝説というか、空想の話なんだけどな。」


ー昔、1億年前ニュムペー族という白銀の髪が特徴の族生がいた。

瞳の色は赤や緑や黄色、オレンジなど、魔力が強いほど暖色の瞳だったという。

その力は大地を愛し、愛されており、歩けば道の花は咲き乱れ木々は生い茂る。

歌えば癒しの力まであると言われていた。

しかし、その血筋を我が家系にと国同士での戦争が起こり、争いを嫌うニュムペー族は世界のどこかに身を潜め、人々の前に姿を現さなくなった。


「という、昔話の本があった。信憑性はあまりない。

何故なら、このニュムペー族についての本は、この昔話の本のみだ。

文献も古書にものっていない。エルフのアイリに聞いたら聞いたことないとさ。」


エルフは龍族よりも長命だ。

1億年前と、はるか昔の話に思うが、エルフにとってはそこまでではない。

そのアイリが知らないのであれば作り物の昔話か。


「本人に聞くしかないと思うが、話してくれそうか?」


くい、と落ちてきた眼鏡を直すエドは私に視線を移す。


「どうだろう。

まだ一度も声を聞けていないからね。

それに酷い傷だったから回復を優先しようかと思う。」


「お人好しめ」


エドは呆れながら苦笑いをし

ティアはうんうんとエドに同調しつつも


「まあ確かに、体や心の回復の方が大切だ」


と笑った。


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