赤い花
ーわあ、綺麗な花。
喫茶店を出て商店街を歩いていると、小さな花屋が横目に見えた。
そこには真っ赤な花が置かれていた。
何故か、その花から目が離せなかった。
ドン
急に立ち止まった私のせいで、人の波が乱れリリィと手が離れてしまった。
「あ!!」
リリィの大きな声にフィリアが直ぐに人の波からリリィの腕を救い上げる。
「申し訳ございません。手が離れてしまいました。」
焦るリリィに
「落ち着いて、探しますよ、集中してください。」
フィリアは静かに言う。
龍族は他の種族より感覚が鋭い、リリィは目を見開き視界を広げた。
フィリア匂いを辿る。
「綺麗な花でしょうお嬢さん」
花屋の女性が声をかけてきた。
こくりと頷く。
「よかったら1つサービスしてあげよう」
大きなフードのローブを身にまとった女性は1輪の真っ赤な花を差し出してきた。
思わず受け取る。
「え、」
受け取った瞬間花が、かすかに銀色に光った。
「この赤い花は、同じ瞳の色を持つ人を待っているんだよ。」
「ま、ってる?」
「そう。待っているの、長い年月を経ても尚、ずっとー」
女性の声が遠くなる。なんだかとても眠たくなってきた。
「やっと出逢えたね」
女性は倒れた少女を自分の大きなローブの中に隠し抱きかかえた。
路地裏に入り転移魔法の呪文を唱えようとローブから手を出した
ーっつ
ボト
その手が無残にも地面に転がった。
痛みの拍子に少女を落としてしまった。
ドサ
ーっつ
女性の首には鋭い氷の先端が突きつけられている。
落ちた少女が地面に着く前に救い上げたフィリア。
女性は下からこの世の者とは思えぬ殺意で睨まれている。
体が動かない。恐怖で震えている。
「お前は誰だ」
フィリアの低い声に女性は、ふっと笑ってみせた
「その子は16歳に死ぬ、あと6年だ」
「説明しろ、この子は何者でお前は誰だ」
「神に好かれた子よ」
そう言い残して、女性は自ら氷の先端めがけて自分の首を突き刺そうとした。
フィリアは直ぐに氷を解かすと、その隙に地面に落ちた自分の腕を拾い上げ転移魔法を唱えた。
「待て!!」
少女を抱え直さなければ追えない。が間に合わない。
フィリアの声は虚しく空へ散った。




