表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
虐げられた公爵令嬢、女嫌い騎士様の愛妻に据えられる~大公の妾にさせられたけれど、前世を思い出したので平気です~  作者: りょうと かえ
1-4 運命の冬

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

43/56

43.決意

 エランが退出しても、ルミエはメイドを部屋に戻さなかった。


 なので部屋はまだイリスとルミエだけだ。


「クリフォードとは久しく会っていないけれど、どうやら大変なようね」

「……恐らく」


 ルミエは恐ろしく聡明だ。


 イリスの様子から様々なことを察しているだろう。

 本当は隠したほうが良かったのかもしれないが、無理だった。


 嫌な予感のほうが顔に出てしまったのだ。


「殿下が何をしているのか、私は知らないわ。でも――不思議に思っていることがある」


 ルミエがやや顔を伏せた。


「今、クリフォードは大公閣下の忠実な臣下として奔走しているのよ。至るところから、そう聞こえてくる」

「彼が……?」

「ティリルが出席する、商人の会合でも大公の代理人として振る舞ったらしいわ」


 イリスの思うクリフォードではない。彼は、違う。


 そんなことを本心からするような……そんなわけはない。


 だが、そう思うほどにクリフォードが何をしているのか恐ろしくなる。


 もし心を押し殺して大公に仕えて奔走しているのなら、その目的は――。


(エランが変装して会いにきたのは、やっぱり……っ)


 何か計画があるのだ。


 そうでなければ、クリフォードが2か月も顔を見せない理由がない。


 あんなことを言うはずがない。


「イリス、あなたも知っていると思うけれど……今の陛下の評判は最悪よ」

「存じております……」


 それはまともな貴族なら誰もが思っていることだ。


 今のローンダイト王はあまりに遊び呆けている。


 国政も近臣に任せっぱなしで、その筆頭がレインドット大公なのだ。


「しかも新聞では増税もするのだとか。北とのいざこざは片付いたはずなのに」

「南の諸国が騒がしい、という理由も納得する国民は少ないでしょうね」


 それはそうだろう。


 この敷地に囚われてるイリスでさえ、そんなのは建前だと思っている。


 国全体がおかしくなる中で……クリフォードとエランは何かをしようとしていた。


「ルミエ様、私……とても嫌な予感がするんです」

「そうね、私もするわ。クリフォードはいつも何かに耐えている子だけど……」


 ルミエもクリフォードのことを見ていた、とイリスは思った。


 忍耐、それこそがクリフォードがずっと強いられてきたことだからだ。


「イリス、殿下が会いに来たのはあなたなら――クリフォードを変えられるから、じゃないかしら」

「……私が」

「クリフォードは忍耐が過ぎて、それを自分への罰だと思っている。思い込もうとしている。あの子に責任なんてないのに」


 肩で笑うルミエはどことなく寂しげであった。


「もし罪があるとすれば、それは大人の……私たちのほうなのに。彼はもう十分に背負っている」

「ルミエ様……」


 イリスはルミエを心強く思った。


 彼女はやはり色々なものを見て、しかもイリスと同じように見ていた。


 エランで無理ならば、クリフォードを変えられるのは多分イリスとアシャだけだろう。


「……わかりました」


 イリスは頷く。


 エランはもうひとつの手がかりを残した。


 雪。それが恐らく何らかの――エランとクリフォードの計画の実行日だ。


 それは奇妙にもとても静かな日になるはずで、イリスの考えている脱出決行日でもある。


「きゅー」


 ミラが首を傾げる。


 そのふかふかな背中をイリスは撫でた。


 単に逃げるだけではない。

 イリスに会いに来ないクリフォードへ、会わなくては。 

 

(あれが最後だなんて、クリフォード……!)


 その次のことは、彼に会ってからだ。

【お願い】

お読みいただき、ありがとうございます!!


「面白かった!」「続きが気になる!」と思ってくれた方は、

『ブックマーク』やポイントの☆☆☆☆☆を★★★★★に変えて応援していただければ、とても嬉しく思います!


皆様のブックマークと評価はモチベーションと今後の更新の励みになります!!!

何卒、よろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新刊書籍『断罪される公爵令嬢』が10/2発売されます!! ↓の画像から販売サイトに飛べますので、どうぞよろしくお願いいたしますー!! 58iv2vkhij0rhnwximpe5udh3jpr_44a_iw_rs_7z78.jpg

婚約破棄から始まる物語『籠の鳥の公爵令嬢、婚約破棄をする。人嫌い皇帝に拾われて愛される(モフは大好きなようです)』 こちらからお読みいただけます!

小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ