表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
虐げられた公爵令嬢、女嫌い騎士様の愛妻に据えられる~大公の妾にさせられたけれど、前世を思い出したので平気です~  作者: りょうと かえ
1-4 運命の冬

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/56

37.己の罪をもって

「各々の懸念は承知しております。今の国家財政にご不安があるのでしょう?」


 クリフォードの言葉に商人たちは……頷かなかった。

 そこまで迂闊な人間はやはりいない。


 無論、内心は違う。


 ここにいるのは才覚ある人物ばかりだ。


 国王陛下のおこぼれで美味しい思いをしていても、それがどのような結果に繋がるかわかっていないはずはない。


(まして、俺の前ならな)


「もちろん財政の不足はあってはならないこと。我が父もその点については、きちんと考えております」

「ほ、ほう? どのような?」


 商人たちがクリフォードの言葉を聞き漏らすまいと前のめりになる。


 そう、わざわざ意見を聞くためだけにこれだけの人を集めるわけがない。


 内々のナニカがあるはず……それにクリフォードは触れたのだ。


「実は、商取引にかかる税を見直そうかと」

「……どのようにでしょうか?」


 顎髭の商人長が重々しく尋ねる。


「今より5%ほど上げれば、財政への不安もなくなるかと」


 それは増税の宣言にも等しい。

 ここにいるすべての商人へと降りかかる天災のような話であった


 あまりのことに商人たちが顔を見合わせ、口々に話し始める。


「そ、それはいつから!?」

「やっと北が落ち着いたと思ったら、さらなる負担ですと……!」

「国民も疲弊しております!」


 騒々しくなる会議室で言葉を聞きつつ、クリフォードは静かに意識を集中する。


 人にも当然、匂いがある。


 他の人間は気にもしないだろうが、人間も無意識に左右されて、反映される。


 そして焦り、不満、怒り……ストレスは判別しやすい。


 クリフォードは自身の魔法と観察力で反応を見抜くことができる。


(……数人は本当に不満を持っているな)


 顎髭の商人長とティリル、その周囲は本気でクリフォードの宣言にストレスを感じているようだった。


 この者たちなら、エランの接触も無駄にはならないだろう。


 商人の言葉を聞きながら、クリフォードは明るく話す。


「ご懸念は承知しております。しかし、状況が落ち着いた今だからこそ余裕のある財政を構築しなければなりません。負担は重きものですが、後回しにすればより大きな痛みを伴いましょう……」

 

 自分で言っていて、吐き気がする。


 要は増税を飲め。

 それ以外に中身のない言葉だからだ。


 しかもローンダイト王が放蕩三昧なのは、ここにいる全員が知っていた。


 当然、こんなことをしていけば反感が広まるばかりだろう。


 今のローンダイト王とその側近は気にしないだろうが。


(これでいい。俺は大公の子として振る舞う。そして人物を見つけ出し、エラン殿下へ知らせる……)


 憎まれても構わない。


 敵味方を見分ける最良の方法は、自分が敵になることだ。


 そうすればエランの側に立つ人間は明白になる。


(悪いな、エラン。お前は反対していたがやはりこれが最短なんだ)


 このやり方をエランは決して望まなかった。

 だが、事を早めるには有効だ。


 その行く末の最期にどうなるかなど、クリフォードは気にしていなかった。


 許しなどない。許されようとも思わない。


 大公の息子として。

 自分だけがこのように振る舞えるのだから。


 ただ、正義だけがなされれば、クリフォードは満足だった。

【お願い】

お読みいただき、ありがとうございます!!


「面白かった!」「続きが気になる!」と思ってくれた方は、

『ブックマーク』やポイントの☆☆☆☆☆を★★★★★に変えて応援していただければ、とても嬉しく思います!


皆様のブックマークと評価はモチベーションと今後の更新の励みになります!!!

何卒、よろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新刊書籍『断罪される公爵令嬢』が10/2発売されます!! ↓の画像から販売サイトに飛べますので、どうぞよろしくお願いいたしますー!! 58iv2vkhij0rhnwximpe5udh3jpr_44a_iw_rs_7z78.jpg

婚約破棄から始まる物語『籠の鳥の公爵令嬢、婚約破棄をする。人嫌い皇帝に拾われて愛される(モフは大好きなようです)』 こちらからお読みいただけます!

小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ