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虐げられた公爵令嬢、女嫌い騎士様の愛妻に据えられる~大公の妾にさせられたけれど、前世を思い出したので平気です~  作者: りょうと かえ
1-3 平穏な日々を、ウサギと一緒に

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30.グラタンと北国

 イリスは熱々のグラタンを頬張る。


「ん〜〜……!」

「……熱くない?」


 ぶんぶんと首を振るイリス。

 チーズをたっぷり使った料理は、熱いうちに食べるのが良い。


 甘みのあるチーズに、崩れやすくゆでたジャガイモ。


 イモ特有の濃い味にチーズの濃厚さが絡み合い、旨味が口内を駆け巡る。


(グラタンとしてはフランス流のタルティフレットが近いかな?)


 んふー、となりながらイリスは幸せな気分に浸る。


 油とカロリーの奏でる美味しさ。


 2口目は……玉ねぎとベーコン多めのエリアだ。


 ジャガイモと違い、シャキッとした食感にベーコンの塩味が乗る。


 玉ねぎの主張は決して強くない。

 絶妙な固さと大きさで、チーズとよく調和している。


(玉ねぎって難しいのよね〜)


 玉ねぎは個性が強い。「これって玉ねぎの味しかしなくね?」というオチを回避するのは中々に難しいのだ。


 ベーコンは軽く、唐辛子か何かのスパイスと合わせたのだろうか。

 ほんのり香る辛味がさらなるレベルにこのグラタンを引き上げていた。


「もきゅ!」


 サラダを平らげたミラへ、イリスが専用スプーンでグラタンを口元へ運ぶ。


 さすがにグラタンに頭を突っ込む勇気はミラにもなかったらしい。


「熱いからね〜、大丈夫?」

「……きゅう!」


 こくこくこくと待ち切れないように

頷くミラ。可愛い。


 差し出されたグラタンを、きらきらした瞳で見つめたミラがもっしゃもっしゃと食べていく。


「きゅう〜!」


 頬にグラタンを詰め込んだミラ。

 ミラはそのまま、もにもにと両前脚で頬を揉む。


 ハムスターみたいな仕草。

 とっても可愛い。


「どう? 美味しい?」

「きゅー、きゅ!」


 いつもはかなりの速度で飲み込むミラがゆっくりと味わっていた。


 だいぶ高評価のようだ。


 このグラタンについては、全然何も……原材料から何もしていないのだが、クリフォードの料理が褒められてイリスも嬉しくなる。


 クリフォードも自分のグラタンを食べて頷いている。


「うん、今回のチーズはフレッシュで甘めのやつだけど……結構上手くいった」

「本当に美味しいよ、クリフォード」


 イリスも食べる手が止まらない。


「このチーズは北の諸国からなんだ。情勢が落ち着いてから、早速入ってくるようになった」

「ああ、なるほど……じゃあ、今後も食べれるみたいな?」

「価格も下がるだろうね。北の国々はチーズを売りたくてたまらない。俺たちはそれを味わいたくて、たまらないんだから」

「違いないわね、ふふっ」


 チーズは温度や湿度、環境が大切だと聞く。


 現代の地球でもチーズの名産地は何百年も前から……というところが多い。


 今の国王陛下が即位してから不穏だった北の国々とも、安定した関係を築ければ……。


 そうして話をしながら、グラタンとサラダを交互に食べる。


 クリフォードとこうしている時間がとても愛おしい。


 しかも何時間も魔法の作業をして疲れた身体にチーズ(暴力的なカロリー)が浸透してくる。


 で、最後に出てきたのがバニラプリンだ。


「冷やしたけど、どうかな。まだ冷やし足りないかも」

「大丈夫よ」


 この世界ではもう飛行機もある。

 なので家庭にも冷蔵庫みたいなものがちらほらあるわけで……プリンも急速冷蔵でお出しされてきた。


 黒く艶のあるカラメルソース。

 豊かなバニラの芳香、やや硬めっぽいクラシカルなプリン本体。


 ちょっとお行儀が悪いかもだが、スプーンでつんと触ってみる。


「きゅ……っ!」


 揺れるか揺れないか。

 ぎりぎりの硬さで、プリンが鎮座している。


 ごくり。絶対に美味しい。


 すっとスプーンを入れると反発がある。そこに少し力を入れて、プリンをすくう。


 口元の前まで持ってくると、強くバニラの香りがする。


 このプリンの99%はクリフォードの料理だ。


 でもそこにイリスの魔法が1%含まれている。それにイリスはとても大きな喜びを感じていた。

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