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虐げられた公爵令嬢、女嫌い騎士様の愛妻に据えられる~大公の妾にさせられたけれど、前世を思い出したので平気です~  作者: りょうと かえ
1-3 平穏な日々を、ウサギと一緒に

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27.換金計画

 蔓から新しく伸びたバニラビーンズを切って、ティリルに見てもらう。


「うん……。そうですね、かなりの高品質です」


 ティリルのあとのルミエも両手でバニラビーンズを顔の前に持ち上げ、確認する。


「前にあなたがもってきたのと、変わらないように思うわね」

「ええ、まさか熟成までできてしまうとは……」


 ごくりとティリルが息を呑む。


 イリスも確信があったわけではないが。でもできるかもとは思っていた。


「とりあえず、もっとこれを量産してみますね」


 これはまだ始まりだ。


 ひとつだけでは全然足りない。

 値崩れしない範囲でたくさん生み出さなくては……!


 その日、ルミエの屋敷にやってきたのは午後の早めだった。


 それから夕方、太陽がオレンジ色に輝くまでイリスは作業を続ける。


「きゅっ!」


 途中、ミラの角でビーンズを磨いてもらいながら。

 

 ティリルは完成したイリス産のバニラビーンズを点検し、色々とメモを取っていた。


「……まず北の商会に売って。そこから販路を……」

「そうね、バニラは本来温暖なところの植物だものね。南に売ると原産地を疑われるかも」

「ええ……北方山脈の諸国はどうでしょう?」

「いいんじゃないしら。あそこは今、ケーキでコンテストとかもやってるし」


 ルミエはローンダイト王国だけでない、広い視野を持っている。

 これは今のイリスにはない能力だ。


(そう、売ってもらうまでが商売だからね)


 イリスは生産に徹するつもりだ。

 まぁ、そもそもこの屋敷から出られないのだが。


 なので販売は人任せにするしかない。

 

「ふぅ……」


 バニラビーンズがかなりの山盛りになってできた頃、ようやくイリスは手を止めた。


「きゅー」


 ミラもハモハモとバニラビーンズをひとつ、かじっている。

 直接食べるのはすごいような気がする……人間には無理だ。


 しかしミラは元々、どんな草でも花でもはむるので問題ないようだった。


「お疲れ様でした……!」

「いえいえ、とりあえずはこんなところで」


 生み出したバニラビーンズは50キロほどになるだろうか。


 市場価格はかなりのモノになるはずだ。


(えーと、現代日本だと数百グラムで1万とかだっけ……?)


 前にネットスーパーで買った時は、それぐらいだったはず。


 だとすると……日本円換算で100万くらい。もし売れれば時給30万だ。


「では、まず買い取りをさせて頂きますね」

「……え?」


 ティリルは鞄の底から革袋を取り出し、ジャラジャラと金貨を並べ始めた。


「あ、あの……まだ品物を受け取ってもらうだけでは?」

「そうです、こちらは全部引き取りますので。なので代価のほうを……」


 ティリルはもう支払いをする気のようだ。


(初回で売り先も今、決めたみたいなのに!?)


 早い、早すぎる。


 イリスが戸惑っていると、ルミエがクッキーを食べながらにっこり微笑む。


「何度もティリルをここに呼ぶよりいいでしょう? 品物は確かなんだから」

「そ、それはまぁ……」


 つまりルミエとティリルで、もう合意はされていたというわけだ。


 イリスがバニラを生み出せたら、即換金。ありがたいことだが、心臓にはちょっと悪い。


(おお、どんどんお金が……!)


 この国での金貨はだいたい、日本円で10万円くらい。


 それが……何枚も何枚も並べられていく。


(ど、どこまで並べるの!?)


 イリスの想定より遥かに多い金額っぽい。


 気が付くと20枚もの金貨をティリルは机に並べていたのだった。

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