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虐げられた公爵令嬢、女嫌い騎士様の愛妻に据えられる~大公の妾にさせられたけれど、前世を思い出したので平気です~  作者: りょうと かえ
1-3 平穏な日々を、ウサギと一緒に

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24.バニラビーンズ

 ティリル、ルミエとの会合から1週間。イリスはイリスで魔法を使いながら……ミラと戯れていた。


 数日おきにクリフォードの料理を堪能しながら。


 季節は本格的な秋から、冬の気配が近付いている。


 イリスはテーブルの上のミラを真正面から見つめていた。

 テーブルに顎を乗せての、淑女ではない姿勢で。


 だが、目線を合わせてミラと戯れるのはとても良いのでやめられない。

 

「きゅ〜」

「うーん、もこもこ……」


 しかしミラの毛はさらにふわっふわ、もこっとしていた。


 冬毛……?

 

 毛はいつも抜けたりするのだが、どうもボリュームアップしている。


「冬に備えてるの?」

「きゅっ!」


 もふんとミラが頷く。


 ちなみにティリルとの会合でめちゃくちゃ食べたミラであるが、全然太っていない。


 体積の何倍も食べた気がするのだが……どうも太らないらしい。


(私もこんなに食べて太らなかったらなぁ〜……)


 カロリーを好きなだけ摂取して、太らない体質。羨ましい以外にない。


「きゅん、きゅー」


 ミラが壁時計を見上げて鳴く。


「あ、散歩の時間だね」

「きゅっ!」


 午前11時からは散歩の時間だ。

 屋敷の周りをイリス、ミラ、レイリアで歩く。


 警備にはなるべく出くわさないルートなので、ミラも外に出ている。


(まぁ、茂みの中を歩いているから見つからないんだけど)


 警備の癖もイリスにはわかってきた。

 警備は野鳥や野良猫などには何もしない。自分の仕事ではないとばかりに、追い払う仕草さえない。


 一回、イリスの屋敷の屋根に馬鹿でかいカラスがやってきたのだ。


 そのカラスはかなりうるさかったのだが、追い払ったのはミラだった。


 いつの間にか窓から屋根に登り、威嚇したのだ


「きゅっー!」


 小さくて可愛いとはいえ、さすがは魔獣。カラスは戦う意思も見せず、退散していった。


(警備が警戒するのは、あくまで人間――)


 これは重要かもしれない。

 

 今、イリスはミラと離れて散歩している。


 茂みにいるのでよく覗き込まないとミラは見えない。


 で、警備の人間とすれ違う。

 かさごそと鳴っていても警備の人間は本当に気にしない……。


 警備のルートは数日おきに変更され、パターン化されている。


(それも掴めば、逃げ出すために必要な情報がちょっとずつ揃ってくる……)


 さらに気付いたが、警備は夜のほうが厳重だった。


 昼は見通しのきく場所も多く、双眼鏡でかなりカバーできる。

 反面、夜は警備の巡回そのものが増えている。


(……どうしたものかしらね)


 これだとエスケープするなら、昼のほうがいいんだろうか。

 悩ましい。すぐに決める必要はないが……。


 さらに数日後、ティリルの会合から10日が経過して。


 ついに連絡があったのでイリスはルミエの屋敷へと向かう。


 警備の見ていないところで軽い鼻歌が出てしまうくらいに待ち遠しかった。


「ふんふーん♪」

「きゅうきゅーん」


 ミラが小さくだがマネしてくれる。

 可愛いやつめ……。


 ということでルミエの屋敷に到着して、広間に通される。


 挨拶もそこそこに――ティリルが大きな鞄をテーブルに載せる。


「……それが例のブツ?」

「はい、手に入れて……はきたのですが」


 ティリルが鞄を開けると、ほのかな芳香が漂ってきた。

 バニラの香りだ。彼女が手のひらほどの真っ黒とした鞘を取り出す。


 さやいんげんに似たそれこそ、バニラビーンズだった。


 問題は……完全に成熟して黒く加工されていること。


 ルミエがティリルの持つバニラに目を細める。


「完全に黒ね」

「……はい。すぐに入手できるのはコレだけでした」

「もうちょっと生き生きとしたのはなかったの……?」


 苦言を呈するルミエにティリルが答える。


「バニラの開花時期は春でした。今すぐに手に入るのは、コレだけです!」


 そう、バニラが花咲くのは春。

 そこから半年かけて鞘に包まれた実が成熟する。


 使うのはその成熟した実。

 さらにそれを加工して黒ずませ、バニラビーンズにして香りを引き出す。


 だから高価なのである。

バニラの実は本当にさやいんげんに似ています!!


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