愛のムチ
隊長 長門の親衛隊長。いいやつ。
「お呼びですか、長門様!」
「ああ、隊長。悪いな、呼び出して」
「いえ!長門様、おケガの具合はいかがですか?」
「いや、たかが捻挫だからたいしたことはないんだが…やっぱり、松葉杖が無いと歩けないというのは不便だな」
「僕たちは、長門様が体育でおケガをされたと聞いて、生きた心地がしなかったですよ……大ケガにならなくて良かったです…」
「はは、悪い悪い。さっきも言ったが、たいしたことはないから、すぐに良くなるそうだ。心配してくれてありがとう」
「当然のことです!我々は長門様の親衛隊ですから!ところで、今日はどんなご用事でお呼びですか?」
「ああ、そうだった。ご覧の通りだから、なかなか素早い動きができなくてな」
「はい」
「これを、瀬田に届けてくれないか?」
「……これは」
「今日の昼飯だ。メンチカツサンドとチョココロネ。飲み物はオレンジジュース」
「……えーと」
「急いでくれ。早くしないと瀬田が体育から帰ってきてしまう」
「…………えーと、長門様」
「なんだ」
「瀬田くんを直接呼び出して渡せばよかったのでは…?」
「は?どうやって言うんだ」
「え?どうやってって、普通にLineとか電話とか……ていうか長門様、瀬田くんは長門様がケガをされたこと知ってますよね?」
「言うタイミングが無いだろう。いつも俺が瀬田を一方的に見ているんだ。聞いてもいるがな」
「あ、やっぱり盗聴もしてるんだ……。て、ていうか、長門様!それじゃ長門様はただのストーカーですよ!!長門様は瀬田くんの彼氏なんでしょう!?恋人同士は、双方向のコミュニケーションをとるものですよ!」
「……ハッ!」
「長門様、いますぐ連絡してください!ケガして大変なんだと、いろいろ助けてくれないかと!」
「そ、そんな、なんてハードルの高い…!顔を合わせて喋ったことすら、まだ一回しかないんだぞ!」
「…一緒にいるお姿を見ないと思ったら…!会ったというのは告白したときのことですね!?付き合い始めてもう一週間ですよ!?遠距離恋愛してるんじゃないんですから!」
「うう……」
「……瀬田くんのお昼ゴハン、僕は持って行きませんよ。瀬田くんに連絡して、取りに来てもらうことですね」
「た、隊長……!」




