高校生編
「おーい衛、俺の香水しらね?」
「…知らねえし、テメェなんつー格好で出歩いてやがる。服着ろハゲ」
「ハゲてねえし!!つか下は履いてんだろうが!」
「精神的なハゲだよハゲ。上は着てねえだろうが。風呂から上がったらまず服着ろって何千回言やわかんだハゲ」
「だから!!やめろよ!!俺の爺ちゃんがハゲてんの知ってんだろ!デリケートなんだよその話題は!!ーーわぷっ」
「うるせえ。それ着るまで口開けんな。開けたらぶん殴る」
「っ……!……着ました」
「で、香水がなんだって?」
「なあ、俺と衛って、俺が主人だったよな?」
「若えのにもうボケたのかよ。質問に答えろハゲ」
「なんだよもう……なんでそんな怒ってんだよ……。だからー、俺の香水知らね?って。去年何かんときに衛からもらったやつ」
「人の気も知らないで好き勝手にしてるからだ」
「え?なに?」
「おまえ、人からもらったもん失くしたのかっつったんだよ」
「ちっげーし!置いといた場所から失くなってたの!!もー、いーよ知らねえなら。もっかい探すかぁ」
「……統一郎」
「ん?うぉっ!」
「探させて悪かったな。俺が持ってたんだよ」
「な、投げんじゃねーよ!落としたら割れちゃうじゃん!」
「さっさと準備してこいよ。見てのとーり俺は準備できてるんでー。先に出てるからな」
「俺もほとんど終わってんだよ!おまえが香水隠さなければっ……あれ?アイツなんで俺の香水…」
「アラ、統一郎坊ちゃん、お出かけですか?」
「あ、おトメさん。ハイ、今から父さんの付き添いで食事会に行くんですよ」
「そうですかそうですか。楽しんでいらっしゃいましね。………!アラ、それは……」
「ああ、これ?香水です。去年、衛からもらったもので……あれ?おトメさん、なんか顔色が…」
「い、いえ、そのような。ほほ、それでは、気をつけて行ってらっしゃいまし」
「大丈夫?無理しないでね」
「ハイ、ほほ………」
「よう、トメ」
「……!!ま、衛さん……っ」
「運が悪かったな。ありゃ俺がやった物だったんでね、おまえが持ってるのを見てすぐわかったよ。お前が統一郎の部屋から盗ってきたんだろうってな。俺が言いたいことはわかってんだろ。今夜までに出ていけ」
「………どうか……どうか衛さん、どうかお慈悲を。ほんの出来心でございます。このことはいま、貴方と私しか知らないはず……どうかお許しください、ね、私ももうこのお屋敷に仕えはじめて3年にもなりましょうか、長い付き合いではございませんか……」
「ははっ」
「え……」
「笑わせんなよ。おまえ、旦那様や奥様、それに長女の祥子様の物も相当やってんだろうが」
「……なっ、」
「コソ泥ババアが、見苦しいんだよ。これまでは統一郎に関わらねえから無視してただけだ。統一郎の物に手をかけた以上、俺ぁいまテメェを殺してやりたいくらい腹立ってんだよ。もうあの世に行きてえのか?オイ。さっさと出て行け。二度と統一郎に関わるな。わかったか?
で て い け」
「ひっ……!」
「あ、衛!悪い、待たせた!」
「本当にな。さっさと行くぞ、旦那様はもうお待ちだ」
「だ、だってこういう大切な場面ではこの香水って決めてたんだもん……!」
「……」
「ま、待てよー!」
人の気も知らないで。




