狂宴の果て、沈黙の串刺し
百合の悲鳴が、喉が潰れたことで掠れた喘ぎ声に変わっていく。僕は血と脂で滑る鉄パイプを握り直し、荒い息を吐きながら次の獲物を探した。 その視線が、部屋の隅でガタガタと震え、失禁したまま固まっているリナを捉えた。
「ひっ……! あ、あぁ……! 目が……目が合った……!」
リナが引きつった悲鳴を上げ、さらに壁に張り付こうとする。
「ねぇ、リナ。さっき、女だから見逃せって言ってたよね? か弱い女の子だからって」
僕はゆっくりと、血塗れの死神のようにリナへと歩み寄る。カツン、カツン。鉄パイプが床を叩く音が、彼女の心臓を鷲掴みにする。
「い、いや……! こないで! お願い、こないでぇぇ!! 私は違うの! 勝たちに逆らえなかっただけなの!! 本当だよ! 信じて洋一くん!!」
リナは涙と鼻水で顔をぐちゃぐちゃにしながら、必死に言い訳を並べ立てる。
「嘘つき」
僕はリナの目の前で立ち止まり、冷たく言い放った。
「お前が一番楽しそうだったじゃないか。母さんが死んだ翌日、学校で何て言った? 『燃えるゴミの日、間違えちゃったのかな?』って笑ってたよな!! 僕がそれを聞いてどんな気持ちになったか、考えたことあるのか!?」
「あ……あ……それは……ごめんなさ……」
「その汚い口、もう二度と開けないようにしてやるよ!!」
ドォォォォンッ!!
僕の怒りの一撃が、リナの顔面を直撃した。
「ぶぎゃあああああっ!!」
鼻骨が砕け、前歯が折れ飛ぶ。リナは顔面を押さえてのたうち回るが、僕は攻撃の手を緩めない。
「痛いか!? 母さんはもっと痛かったんだよ!! 熱かったんだよ!! お前のその軽薄な言葉が、どれだけ僕を傷つけたと思ってるんだ!!」
バキッ! ゴシャッ! ドカァッ!
鉄パイプがリナの体を無慈悲に打ち据える。腕を、肋骨を、太腿を。狙いなど定めず、ただ感情の赴くままに破壊の限りを尽くす。
「ぎゃあああっ! 痛いぃぃぃ! 助けてぇぇぇ! 勝ぅぅ! 誰かぁぁぁ!!」
リナが助けを求めて勝の方を見るが、勝は自分のことで精一杯で、顔を背けて震えることしかできない。
「あはは! 無駄だよ! 誰も助けてくれない! お前らはここで、誰にも知られずに処理されるだけのゴミなんだからさぁ!!」
僕は笑いながら殴り続ける。リナの服は破れ、白い肌は赤黒い痣と裂傷で覆われていく。彼女の悲鳴が、だんだんと弱々しいものになっていく。
「お、そろそろ限界か? 洋一、一回止まれ。死んじまうぞ」
龍哉さんが声をかける。
「はぁっ……はぁっ……。そうですね。じゃあ、回復お願いします」
僕は汗を拭い、龍哉さんに合図を送る。リナがかすかに安堵の表情を浮かべた。痛みが引く。助かった。そう思ったのだろう。
だが。
「いや、待てよ」
龍哉さんがニヤリと笑い、掲げた手を下ろした。
「こいつもそろそろ賞味期限切れだな。金髪、ハゲと来て、次は女か。……洋一、こいつはもう『廃棄』でいいんじゃねぇか?」
その言葉が意味することを理解した瞬間、リナの目から生気が消え、絶望が色濃く浮かび上がった。
「えっ……? 廃棄……? うそ……やだ……回復……してよ……」
「いいんですか? 龍哉さん」
「おう。在庫整理だ。それに、こいつの口、もう聞きたくねぇだろ? 永遠に黙らせちまえよ」
龍哉さんの許可が下りた。僕は鉄パイプを持ち直し、血塗れの先端をリナに向けた。
「ひぃぃぃっ!! いやだぁぁぁ! 死にたくない! 消されたくないぃぃぃ! ごめんなさいごめんなさいごめんなさいぃぃぃ!!」
リナが半狂乱になって床を這いずり回り、勝の足にしがみつく。
「勝ぅ! 助けてよぉ! 私たち付き合ってたじゃん! ねぇ!?」
「く、来るな! こっちに来るなバカ女!! 俺まで巻き添えになるだろ!!」
勝はリナを無情にも蹴り飛ばした。仲間割れ。醜い。本当に醜い。
「あはは! 見捨てられたね、リナ。……じゃあ、さよなら。母さんへの暴言の代償、体で払ってもらうよ」
僕はリナの足首を掴んで引き寄せ、仰向けに転がした。そして、彼女の股の間に立ち、鉄パイプの先端を、彼女の秘部へと押し当てた。
「えっ……? な、なに……? やだ……やめて……そこは……」
リナが何をされるのかを察し、顔面蒼白になって首を振る。女としての根源的な恐怖が彼女を襲う。
「お前は口が汚いからさ。こっちの口も塞いでおかないとね。……母さんが味わった苦しみ、その身に刻み込んで死ね!!」
僕は全身全霊の力を込め、体重を乗せて鉄パイプを一気に突き刺した。
ズプゥッッ!!!!
鈍く、そして生々しい、肉が裂ける音が地下室に響き渡る。
「――――――――ッッ!!!!!!??」
リナの口から、声にならない絶叫が迸る。目玉が飛び出しそうなほど見開かれ、体全体が弓なりに反り返る。あまりの激痛と衝撃に、呼吸すら止まっている。 鉄パイプは彼女の体内を蹂躙し、内臓を突き破りながら深く深く突き刺さっていく。
「ぎ、が、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っっ!!!!」
遅れて、喉が裂けんばかりの絶叫が上がった。股間から鮮血が溢れ出し、床を赤く染めていく。リナの手足が痙攣し、空を掴もうともがく。
「い、いやぁぁぁぁぁ!! 抜いてぇぇぇ!! 痛いッ! 痛いぃぃぃぃ!! 死んじゃうぅぅぅ!!」
「死ぬんだよ。これで終わりだ。回復なんかない。そのまま苦しんで、血を流し尽くして死ね」
僕は冷酷に告げ、さらにパイプを捻りながら押し込んだ。
ゴリョッ……。
体内で何かが砕ける嫌な音がした。リナの口から大量の血の泡が吹き出し、痙攣がさらに激しくなる。
「あ……が……か、はっ……」
リナの白目が剥き出しになり、焦点が合わなくなる。失血とショックで、意識が急速に遠のいていくのがわかる。 その光景を目の当たりにした勝と百合は、もはや悲鳴すら上げられず、魂が抜けたように立ち尽くしていた。
「あ……あ……リナ……が……」
百合がガチガチと歯を鳴らしながら、親友だったはずの女の無残な姿を見つめる。
「ひっ……ひぐっ……! えぐっ……!」
勝はあまりの恐怖に嘔吐し、自分のゲロにまみれながら震えている。
リナの痙攣が弱まり、やがて完全に動かなくなった。見開かれた目は虚空を見つめ、口からは血の泡が垂れている。股間に突き刺さった鉄パイプが、墓標のように不気味にそびえ立っていた。 事切れたのだ。
「ふぅ……。結構力がいったな」
僕は手を離し、リナの死体を見下ろした。
「お疲れ、洋一。いいエグりっぷりだったぜ」
龍哉さんが近づいてくる。
「さて、この汚ねぇ肉人形も片付けるか。見てるだけで気分が悪い」
龍哉さんが手をかざす。
「《異空間収納》」
ブォンッ……。
漆黒の闇が口を開け、鉄パイプが刺さったままのリナの死体を、ズズズと飲み込んでいく。
「い、いやだ……消える……リナも消えるぅぅぅ!!」
百合が錯乱して叫ぶ。
「ごめんなさいぃぃ! もう許してぇぇぇ! 私は消さないでぇぇぇ!!」
リナの死体は、断末魔の表情を浮かべたまま、完全に闇の中へと消え失せた。この世界から、リナという存在が完全に抹消された瞬間だった。
地下室に残されたのは、僕と龍哉さん、そして精神が崩壊寸前の勝と百合だけ。
「さて、在庫は残り2匹。ずいぶんとスッキリしたなぁ?」
龍哉さんが楽しそうに笑う。僕は新しい鉄パイプを手に取り、残された二人にゆっくりと向き直った。
「次はどっちが『廃棄』されたい? 仲良く二人同時にってのもアリだよ?」
僕の言葉に、勝と百合は言葉を失い、ただ絶望に染まった目で僕を見つめ返すことしかできなかった。




