近接戦闘車及びその派生型
「転移」前より行われていた将来装輪戦闘車両に関する研究の成果を反映し、共通の車体から多様な任務に対応した装輪車両が開発された。低コストで配備が可能な事、C‐2輸送機による空輸が可能である事、新機軸の戦術通信システムに対応可能な事を主眼に開発されたそれらは、「スロリア紛争」による戦訓を盛り込むことで、さらに洗練された形で実用化が図られることになる。
近接戦闘車APC(Armored Personal Carrier)
武装:12.7mm機関銃(遠隔操作式)。
乗員:2+12名
近接戦闘車の歩兵戦闘車(APC)形態。普通科部隊の機動用で、主に96式装輪装甲車を更新する目的で開発された。銃手の保護を企図してRWS(遠隔操作式機銃座)を装備している。機械化部隊の比率が高い北海道の師団/旅団から配備が始まり、その際余剰となった従来の96式装輪装甲車の、北海道以南の部隊への移管が促進されることとなる。本車からさらに自走迫撃砲、NBC偵察車、指揮通信車が派生した。
近接戦闘車AFV(Armored Fighting Vehicle)
武装:40mm機関砲。7.62mm同軸機関銃。2連装中距離多目的誘導弾発射器。
乗員:3+8名
近接戦闘車の装甲戦闘車(AFV)形態。戦車部隊に随伴しての機甲戦闘を想定して開発された。車体上部に砲塔を搭載し、対装甲戦闘を想定し40mm機関砲及びMMPM(中距離多目的誘導弾発射器)内蔵コンテナ各1基を搭載。MMPMはReCS(基幹連隊通信システム)を介し随伴歩兵からの誘導により照準、発射を可能にしている。但し、1両あたりの価格が高騰したために北海道に配備される車両以外の、本土への配備車両に限っては、MMPMは後日装備とされた。北海道では89式装甲戦闘車の後継として一部の機械化された普通科連隊及び偵察隊に、北海道以外の部隊では87式偵察警戒車の後継として主に師団/旅団隷下の偵察隊に配備されている。
近接戦闘車MGS(Mobile Gun System)
武装:105mmライフル砲。7.62mm同軸機関銃。12.7mm機関銃。
乗員:3名
近接戦闘車の自走対戦車砲形態。普通科部隊の火力支援用に開発された。105mm軽量ライフル砲を主武装とする。ライフル砲の砲塔構造と乗員配置に関しては、「前世界」のアメリカ陸軍のストライカーMGS自走対戦車砲を参考にしている。後述する機動戦闘車と採用を争ったが、単体での戦闘力で勝るものの調達コストが高額な機動戦闘車に対し、機動展開に適した軽量さと運用の容易さ、調達コストの安価さという点から本車が採用された。搭載FCSはReCS(基幹連隊通信システム)とリンク可能であり、105mmライフル砲は随伴歩兵からの誘導により目標位置の評定、照準、発射を可能にしている。現在では全国の普通科連隊1個に付き2個小隊6両を定数として配備が進められている。
「古の60式自走無反動砲の遅すぎた後継者」と言われた。




