APF――洋上事前集積船
図中の装備運搬船の他、車両運搬船も存在する
排水量(満載時):30,000~50,000トン
船速:20~25ノット/時前後
「事前集積船の保有及び運用に関する特別法」に基づき、合計17隻が建造された特別用途の高速輸送船。
船体は当然商船構造であり、非武装。戦闘海域での運用は当然護衛艦の随伴を前提としている。
平時の乗員は3~40名であるが、有事の際は自衛隊からの派遣人員を受け入れるため最大300名
に拡大する。しかし、船長を始め船舶運営の要員には海上自衛隊OB……いわゆる「天下り組」
が充てられているようである。
事前集積船の建造は、その当初から政府による「公共事業」的な要素が大きかった。これは
「環東アジア戦争」や「転移」により事業の縮小と閉鎖の危機に直面した国内造船産業の救済
という面も当然存在する。事前集積船は四隻で一個船隊を構成する。
一個船隊は基本的に
各種重火器(79式対舟艇対戦車誘導弾~155ミリ榴弾砲)50~100セット
大型トラック300両
戦車50両
各種装甲車両200両
小型車両200両
一個旅団相当数の兵員が30日間継戦可能な武器弾薬、燃料、食料
をC+30日(作戦開始日から30日)以内に紛争地域へ輸送することが要求されている。
(ただし、日本本土から5000キロ以内の地域に限った場合)
大規模な有事の際は、このAPFに民間からのチャーター船、外国籍船舶が加わる。
※「事前集積船の保有及び運用に関する特別法」(主要部分)
・平時に於いて、事前集積船は政府より認可された船会社の所有とし、通常の運送業務に付かしめるを得とする。
・政府は、事前集積船の維持及び運用に必要な経費の40パーセントを負担する。
・有事とは、我が国国内外の災害発生時及び大規模な紛争に、我が国が巻き込まれた状況とこれを定義する。
・平時に於いて、該当する商船会社は、定期的に有事の際の事前集積船の運用スケジュールを作成し、国土交通省及び防衛省にこれを提出する義務を負う。また、有事の際にスケジュールを履行する義務を負う。
・政府は、事前集積船を建造する造船会社に全建造費の最大70パーセントを負担する。
・有事の際、該当する商船会社は、速やかに事前集積船及びその運用に必要な人員を政府当該機関の指揮下に供する義務を負う。
・事前集積船の、有事における使役期間は、政府と事前集積船を所有する船会社双方の折衝により改めてこれを定める。
・事前集積船及びその乗員の、有事の際の使役期間中に要する費用の一切は、国がこれを負担する。
・事前集積船を所有する船会社は、紛争当事国に事前集積船を供与、もしくは貸与してはならない。また、紛争当事国の戦争遂行に必要な物資の、当該地域への運搬業務は事前に政府関係機関の承認を得ることとする。




