「気象観測機」
気象観測機
諸元(日本側数値換算)
最高速度:956km/h
巡航速度:760km/h
作戦行動半径:2200km
航続距離:5000km(フェリー時)
最大飛行高度:22000m
乗員:2名
固有武装:なし
気象観測機という名目で開発、配備された長距離偵察機。軍ではなく共和国対外情報局の指揮下で運用されている。
敵対国の迎撃能力を越えた高高度を飛行し、軍及び政府指導部の戦略的な判断に必要な情報を収集する専用の偵察航空機の計画自体は「スロリア戦役」前より存在しており、「スロリア戦役」前年にはすでに試作機が進空していた。試作機は懸案とされた高高度飛行性能に関しては予想以上の値を示したものの、航続距離の不足と失速特性の悪さを指摘され制式採用を保留されている。
「スロリア戦役」後、試作機は国防分野を席巻した次期装備統廃合計画の対象のひとつとなったところを、ルーガ財閥傘下のサンリクアム航空社内の航空機製造補修分野たるレイドエラ社に、プライベートベンチャーとして開発事業ごと払い下げられることになり、翌年胴体を延長し燃料搭載容量を増大させ、通信機器、偵察用カメラ類を充実させた二次試作機が完成することとなった。これが基本形状となり、後に幾つかの改良型、発展型が製作される。機は仕様の異なる複数のタイプが単価契約で製作され、その全てが共和国対外情報局の指揮下で運用されることとなった。ただし機密保持のため本機は偵察機としては扱われず、単に「気象観測機」という名称で呼ばれ、これが後に正式名称となる。運用部隊もまた、ダミー会社としてサンリクアム航空社傘下に地理探査及び気象分析を名目としたミルタズ‐エラスという航空会社が作られ、機体の運用及び乗員、整備員の教育、収集した情報の分析もこの内部で行われた。




