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The Islands War読本  作者: スタジオゆにっとはうす なろう支店
航空機 日本側
13/46

「T-4改修計画(ジャリアー)」

挿絵(By みてみん)

T-4改修計画


「前世界」の「環東アジア紛争」において、要撃戦闘機不足を露呈した経験から。「転移」時と前後して有事の際T-4中等練習機を補助的な任務に転用可能にする改修計画が進められる。当時現役であった170機中140機を対象に開始された。



改修点


・操縦席のグラス・コックピット化。コックピットからの偵察/観測機材の運用を可能にした。

・機首先端に赤外線測距センサーを内蔵。

・火器管制コンピューターの導入。短距離空対空ミサイル、各種爆弾、誘導弾の運用能力の付与。

・専用ガンポッドの開発。ガンポッドは25㎜機関砲一基と弾薬120発を収納。ガンポッドは着脱式で、胴体下部に装備する。

・上記の武装導入に伴う主翼、胴体等機体フレームの補強。

・エンジン換装 従来のIHI F3-1(出力16.37KN)から、「心神」開発時の実証エンジンを基に開発されたIHI F5N(出力21.50KN)に換装。技術の進歩からエンジンサイズに変更を加えることなく出力の向上に成功し、機体構造を大幅に改造せずに迅速な交換を可能にした。また、新エンジンの導入はエンジン寿命及びオーバーホール間隔を大幅に延長させ、整備性、実用性ともに改善されている。

・GPS、J-TIDS(統合戦術データリンク)の導入。両システムより得られた情報は、コックピットのMFD(多機能情報表示端末)に表示される。



追加生産。そして「ジャリアー」の誕生


「転移」後、損耗による既存の機体の退役が相次ぎ、新規開発分の予算が承認されなかったこともあり、防衛省はT-4の新規生産に踏み切ることになる。「転移」に伴い国外からの技術移転が不可能になり、今後の戦力整備の困難も予想されたことから、実施は迅速に行われた。

 幸いにも「転移」後の国内の混乱が速やかに終息し、日本の安全を揺るがす外敵も出現しなかったが、後の調査で異世界に多様な島嶼帯が点在する事が明らかとなり、同時期日本国外で頻発していた紛争の教訓を受けて、同時期すでに就役していた22DDHに固定翼機を搭載し、揚陸作戦時の支援を行わせる構想が持ち上がることになる。実戦機の操縦資格を有する者ならば誰でも操縦できる事、同時期に無人偵察機用に開発が始まっていた固定翼機用自動着艦装置の実用化の目処が付いた事が、T-4の艦上攻撃機への転用を促進することになった。

(艦上でも運用可能な小型無人偵察機開発は、結局中止される)


 艦上機転用に必要な改修として、主脚の強化、アレスティング・ギアの付与が行われ、機首にLTD(レーザー目標指示装置)を付加する。但し、予算の関係で当初は陸上からのLTD反射波を受信する装置に留まった。


 当初は外装型のFLIR(前方監視赤外線)も搭載される筈が、開発が遅延したため、AGM-65マーヴェリックの訓練弾の弾頭部で代用することになった。但し専用FLIRの調達は少数に留まり、以後も前述の状態が常態化することになる。すでに「スロリア紛争」が始まっており、現在進行形で漏れ伝わる戦況と引き出された戦訓から、部内ではすでに近接航空支援戦力の充実が叫ばれ始めていた。何より、戦線を構成する大部分を占める地上部隊将兵の損耗を抑えるべく、迅速かつ適切な支援を成し得る戦力の必要性が陸空自衛隊ともに痛感されたものであった。


(「まともな」民主主義国家に於いては、兵士とその家族もまた政府の失政に声を上げ得る有権者であり、同時に、軍事テクノロジーの進歩に伴い、現代戦に対応し得る兵士の育成には、多額の費用と時間を要するまでに至っていることに留意する必要がある。)


 本機の配備は「スロリア紛争」後に本格化し、主に陸上部隊より歓迎を以て迎えられることになる。島嶼上陸作戦において、航空護衛艦の狭隘な飛行甲板や上陸地点に急造された飛行場から発進し、前線に展開する陸上部隊に、適切なタイミングで適切な航空支援を可能にする小型攻撃機――その開発初期に、「前世界」において同様の任務を担った機体の名に因み、試作機に名付けられたジャパン・ハリアー、略称ジャリアーの誕生である。


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