プロローグ
久しぶりに書きました。最後まで書けるように、ぼちぼち頑張りたいです。
六月二三日午後五時半、都内の交番にある女性が人を殺したと自首をしてきた。その女性の名前は安藤静香二七歳。安藤静香の身なりは清潔で口調や顔色も普通で人を殺してきたとは思え無いほど落ち着いていた。丁度その時いた警察官は悪戯かと思い軽く聞き流していたが、女性の話が進むごとにだんだんと顔を青くした。それとは逆に彼女の顔色はよく、嬉々と話をしている。警察官の背中に冷たい汗が流れた。彼女は少し興奮しているのか、顔が赤くなり息もだんだんと上がっていく。警察官は体を震わせた。それに気づいたのか安藤静香は一息つき「大丈夫ですか?」と心配そうに眉間にしわを寄せながら聞く。警察官はゆっくりと頷き「少し待ってください」とだけ言い電話を掛けた。女性は鞄の中からお茶の入ったペットボトルを取り出してごくごくとお茶を飲む。喉が渇いていたのか、半分ほどあったお茶が全て彼女の体に入り込んだ。彼女は空になったペットボトルを見つめ小さく微笑む。それを机の上に置き警察官をじっと見つめた。警察官は電話を置き一息付き、重たい唇を開いた。
「…自首をしてきたということは、罪の意識があったということですか?」
女性はそれにアハハと手を叩きながら笑う。
「いいえ、いいえ、罪の意識なんてあったら殺人なんて起こしません。」
女性はまるで幼い子供のように笑う。後ろからパトカーのサイレン音が聞こえた。どんどんこちらへと近づいてくる。すると女性はますます顔を明るくして、嬉しそうにサイレン音が鳴る方をちらりと見た。
「どこに自首をしたらいいのか分からなくてね、ここで正解だったみたい。ありがとう。」
女性は相変わらずの笑顔だ。それからすぐにスーツを着た刑事が訪れて、その女性を連れて行った。女性はまるでゲームをする子供のようにずっとずっと笑顔でいた。警察官は冷たい汗を拭い、ふと机に目をやるとあの女性の残した空のペットボトルが視界に入った。それを睨み、乱暴に掴みゴミ箱へ捨てる。しばらくはこのメーカーのお茶は飲めないな、と思いながら乱暴に椅子に座った。