新たな出会い
昼夜逆転生活やめる
身体強化があることで少し勇気がわいた東は、力量を試してみようと思い、気づかれないように忍び足で、回り込み、機会をうかがった。
ゴブリンが背を向けた瞬間、槍を構えて一気に駆けた。
「ぐぁっ!!」
ゴブリンは振り向きわずかに身体を反らそうとしたが、驚いた事による一瞬の遅れで為す術無く胸を貫かれた。
煙となり消えていくと同時にコトンと煙の中から何かが落ちた。
近づき確認してみると
「・・・短剣?ドロップ品ってことか?」
ドロップする確率はどんなもんなんだろうか。いまのとこは、25%か
それよりもさっき倒した3体よりなぜか刃の通りが悪かったな・・・モンスターもレベルアップしてたのか?
周りに注意しながら様々な思考を巡らす。
「あ・・・食料」
本来の目的を空腹が気づかせてくれた。
家に帰ってきた。帰りも慎重に歩き、幸いにもモンスターには出くわさなかった。
「カップラーメンや野菜ジュース大量に持ってきたから当分は大丈夫だろう」
下宿男子大学生ここに極まれり。
しばらく経って落ち着いたのか、インターネットが使えるようになった。SNSで家族に連絡をいれ、情報収集にいそしんでいると大きく2つのことが分かった。
1つ、全世界に同時にモンスターが現れ、ダンジョンも各地にありいろいろな形態があること。
2つ、地上に現れたモンスターは、時間経過的に強くなっていき、現在は重火器も聞かないこと。そして、ドロップ品でのみ攻撃可能ということである。
東がゴブリンを倒す際に抱いた違和感は2つ目によるものであった。
あぶな、もう少し時間経ってたら倒せなかったぞ。でもドロップ品落ちて良かったな。槍の先端を短剣に替えるか。
この短剣だとどれくらい切れるんだろう?
東はそれを調査するため外に出ようと、ドアを開けた。青い物体がいた。
「・・・スラっ」ガチャン
開けたドアをすぐ閉め心臓の鼓動を元に戻すためしばらくかたまる。
びっっっくりしたぁ。スライムかー、でもモンスターに変わりないしな。
スライムか、どっちだろうな。やってみるか。
ドアをそーっと開け、青色が少し見えたところで、
核をひと突き。
パチンと水風船のようにはじけ煙となっていった。
よかった弱いタイプのスライムだ
今度こそドアから外に出て鍵をかけようとすると
「まじか」
ドアが酸によって傷んだような跡があった。
「運が良かっただけかもね、用心するに越したことはないか。ともかくモンスターに攻撃は通るね、スライムだったからだからかもしれないけど」
東はスライムの認識を少し変えた。
外ではもうほとんど人はいなく、災害のあとのような惨状とモンスターが跋扈しているのみである。
モンスターとなるべく戦闘をしないように遠回りをしてたどり着いたそこは、東のアパートから1キロほどにある山である。何をしに来たかというと、スキルの獲得である。
「997、998、999、1000」
某動画投稿サイトやいろいろなネットサーフィンを通じて素人ながらに覚え立ての方の練習をして、槍術を会得しようとしていた。
「この山なら小さい頃から来てて地形も分かるし、そんな大きくないから危険な動物もいなくて、人前で練習するのは恥ずかしいからちょうど良いんだよねー」
木々が乱立するこの場ではたとえ遠距離攻撃が可能なモンスターがいたとしても、木が遮るように生い茂っているので、有利に立てるだろうと考えての事であった。
一通り型などを覚え素振りを終え、休憩がてらに頂上へ向かう。
「身体強化もしてるけど、まわりにモンスターが出ないかどうか気にしながらやるのは疲れるな-」
袖で汗を拭いながらそんなことを独りごちながら歩いて、もうすぐ頂上が見えてくるところで、ぼやぁと黒い煙が頂上で上がっているのが見えた。
「ん?だれか戦ってたのか?」
こっそり少し離れたところから覗いてみると
「誰もいない・・・」
モンスターの自滅?いやそんなことは無いか。確実にだれかが戦ってたはずなんだけどな。
さらに近づいてみると
「ウルルルルゥ」
全長1メートルぐらいの灰色のドラゴンがこちらを睨みながら岩陰から唸っていた。
「・・・かわいいな、おまえ・・・怪我してるのか」
その小さいドラゴンは右後ろ脚から血が流れていた。羽も少し変な方向に曲がっていた。
その脚を庇うように引きずりながら後ずさりしていた。
子どものドラゴンかな、さっきの煙はこの子の親か、倒した相手か
まわりに他のモンスターはいないからこの子が倒したのかな
でも、親もいないとはどういうことだ、見えた煙は大きくてとてもこの子が倒せたとは思えないんだけどな。
ちょくちょく練習ついでに様子を見に来るか
東は幼いドラゴンを育てることにした。
次の日、練習を始める前に様子をうかがうと
「・・・クルゥ・・・」
あからさまに弱っていた。
ご飯あげようかな、あ、でもなんかあげちゃいけないものとかあるのかな、犬みたいに。
東は、手持ちのお弁当の具材を葉っぱの上に並べた。白飯、トマト、ブロッコリー、リンゴ、そして大本命の唐揚げ。だが、ドラゴンは警戒してか全然手をつけようとしない。
「ま、しばらく練習してからまた見に来るか」
4時間後
「あーしんどー・・・ステータス」
今日は練習の途中でウサギに角が生えたモンスターが数匹現れ、なんとか倒して、羊皮紙が一枚落ちた。スキルスクロールというヤツらしい。中身は分からん。そこで使ってみたので、確認しよう。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
・ヒューマン
・アズマ ツカサ lv3
HP117/117 MP13/13
力53 敏捷47
知能63 運10
・スキル
身体強化lv2 魔力感知lv3 魔力操作lv2
土魔法lv1
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
お、土魔法か水とか火の方が普段から使えそうだけどな、贅沢はいわんよ
時間も良い頃合いだし、あのドラゴンは飯食ったかな
「リンゴだったかー」
最後まで読んでくださりありがとうございます。
これからも頑張ります。