#6
38番ゲートの位置をマップで確認しながら歩き始めた。
ログインした世界は沢山の人で溢れかえっている。
まぁ、誰だかわからないから話す人もいないんだけどね・・・
38番ゲートに歩き始めてすぐに着いた。
ゲートと言えど、門のようなものじゃない。
大きなターミナル駅の改札口みたいな感じ。
まぁいい。待ち人を探そう。と思ったのだが、幸い一人しかいなかったからすぐにわかった。
「38番ゲートで待つって言われたものですけど・・・」
「おお、君がRe:A君で合ってるかい?」
声をかけた男性は優しそうな声で答えた。
お恥ずかしながらそうなんです。
「あっ、はい。合ってます。」
「君をここに呼び出したのは、この世界の常識などを教えるためだ。」
なるほど。ありがたい。
そんなこんなでこの世界の説明を受けることになった。
場所は変わり、会議室の様なところに来た。
「他に説明を受ける人はいないんですか?」
「一応もう一人いたんだがな・・・」
どうやらログインしていないようだった。
ちょっと切れぎみなのは気にしないでおこう。
「てなわけで、説明を始める。」
「よっ、よろしくお願いします。」
なんだか長くなりそうだ。
「まず、この世界では戦いが起こっている事はしっているな。」
うなずいておく。
「この世界、この仮想世界にいる人々はすべて影葉高校の生徒だ。」
「え、ええ!?」
思わず声が出てしまった。
「しかし、この世界では本名を聞くことはタブーだ。」
「じゃあ、基本リアルの話は・・・」
「もちろんタブーだ。」
まぁ、何となくわかってたけどさ。
「ここにいるやつの共通点はスマホを持ち、戦えるやつだと言うことだ。」
スマホ持っているかわかるんだ・・・
「戦う事に意味はあるんですか?」
さらに俺の素朴な疑問をぶつける。すると、少し間を開けて
「この戦いに参加しているやつらを全員倒したらこの学校を支配できる。」
えっ。なにその権利。
いらねぇよ、と不覚にも思ってしまった。
「少なからず君は現実に不満があるのだろう?」
いやぁ・・・なきにしもあらずだけどさ。
まぁ、従うしかないか。
「この権利を手にいれるために戦っているようなものさ」
「そうなんですね・・・」
戦っているようなものさと言うことは、全員がそうではないんだろう。
「君にはこの学校を支配したらしたいことはあるかい?」
と聞かれましても・・・・・。
「いや、無いですね。自分が支配しても今と何ら変わりはないと思いますよ」
意外だったんだろう。目を丸くしてこちらを見ている。
そうか・・・と小声で呟き、
「じゃあ、君に頼み事をしよう」
まじですかぁ・・・・。
「君にはこの戦いを終わらせて欲しい」
なんか凄い頼み事されたね。うん。
なに言ってんだこいつ。
「あっ、と、とりあえずできるだけ頑張ってみます」
そう言った。
「他に説明とかってありますか?」
「いいや、特に無い」
そう言ってお開きとなった。
まぁ軽くこの世界を知れたからよかったかな。
ただ、この戦いを終わらせて欲しいという希望に応えるにはどうすればいい。
今度考えよう。
そうして俺はスマホのログアウトボタンを押した。