逃亡
アイーラ 9歳 お転婆娘、動き回る割には現実的なタイプの人間。怒りがち。人間。
こうた 9歳 アイーラとは孤児院で一緒に遊んだ。泣き虫。すぐ転ぶ。人間。
孤児院 10歳までの子供を引き取ってくれる施設。人間が経営。
「ほらっ!アイーラ挨拶をしろ!」
と小さい部屋の中で知らない大きい顔が下に降りてくる。それと同時に見慣れた孤児院の先生に背中を押されたが何を言えばいいか全くわからず、
「....お父さんとお...母さん..?」
目の前のにある大きい顔二つの顔をうかがいながら恐る恐る聞いた。大きい顔二つはお互いを見つめ
「そうよ、今日からあなたは私たちの娘!よろしくね!」
と満面の笑みで言った、私は自分にもやっと家族というものができてすごく嬉しかった。
嬉しさのあまり二人に抱き着き幸せを噛みしめた。
はずだった。
最初はどんな話をしても笑顔でうなずいてくれた。
戦争ごっこで自分が強いこと、男の子を泣かせた話や泣かされてやり返した話し。どれも褒めてくれたし一緒に作った暖かいご飯もおいしくて幸せな家族を十分に楽しんでいた。
1っか月たったころ急に両親の態度が冷たくなり、また捨てられるのかと不安になり眠れない夜が続いた。
その日はたまたまお気に入りのぬいぐるみを別の部屋に置き忘れたことに気づいた。部屋には外から鍵がかけられていて出られない。当たり前だ。
一般的に鍵は外からつけられている。理由は鬼の好物が人間の子供だからだ。
密室状態の自分の部屋からの抜ける方法は既に見つけていて両親はそのことに気づいていないし私がそんなことをするような子だと思ってないだろう。
せっせと手慣れた手つきでに机に上り棚に乗り移り天井の穴によじに上る。
孤児院でも抜け道をつっくたりしていたのですいすい登れる。
アイーラは孤児院の壁にあいた穴から潜り込みよく敵対する悪ガキから陣地を奪っていた。
そのせいか、人の気づかれずにすり抜ける術を持っていた。
釣り木をきれいによけながら移動する。ふと光がついている部屋に近づくと
「あれのことなんだけど、、いつ業者に渡すのだったかしら」
とお母さんが言うのを聞いて両親の職業を必死に思い出していた。
「明後日だったかな、高い金額もらってるといえどまだ慣れないな。あれは黙っていれば可愛げがあって愛着もわいたんだがな」
お父さんが不満そうにボソッとつぶやく。
「何言ってるの!いくら可愛くたってどうもしないでしょ!鬼なんか敵に回したらいけないことぐらいわかるでしょ!」
誰の何よりも自分の耳を疑った。
鬼って自分の知っている鬼と同じ鬼なのか、なぜ私の話に鬼が出てくるのか。
頭が混乱して何も考えれねかったがこれだけはわかった。
両親は私を愛してなんかいないし、愛すつもりもなかったんだ。
アイーラは死にそうだった、死んでもいいとさえ思ってしまった。
一か月両親と信じていた人にアイーラは頑張ってついていったのだ。
孤児院では滅多にしなかった家事の手伝いも自分から進んで出た。
そんな頑張りは報われずに、二人の未来に自分がいなかったという疎外感はひどく胸に刺さった。
はっと我に返り自分の置かれている状況に背筋が凍る。
そうだ鬼が来るのだ。
急いで物音を立てないように部屋に戻り部屋着を脱ぎ捨て、適当な服を着る。
頑張って貯めた少しのお金とおやつをポケットにねじ込み落とさないように押し込めた。
幸い日が沈んでからそんなに立っていないから気づくまで多少の時間はあるはずだ。今しかない、今ここから出ないと、、、
無性に不安に襲われたアイーラは何も考えないようにして家を出るっ決意をした。
向かうは一つ、孤児院で一番仲の良かったこうたのところだ。
孤児院周辺の村の位置は何となく知っている。
地形からしてあっちだろうと足を動かす。
間違っているとは思わなかった。直観だ。足を夢中で動かす。
家の裏口から飛び出て草むらに飛び込む。
身長ほど背がある雑草は逃げるなと言わんばかりに行く手をふさぐ。
雑草の葉で切り傷ができ靴も泥だらけになるが恐怖で何も感じない。
信じたくないし、気持ちの整理はまだできていないが本能が逃げろと叫んでいる。
後ろを振り返るのがものすごく怖くてとにかく走った。
恐怖で足が重い。涙と鼻水で息がしにくいし視界がぼやける。暗くて何回か木にぶつかりそうになったが目は慣れてきた。
息は重く体中が重い。
ずいぶん走ると小さな明かりが見えてきた。思った以上に距離があり地図がこんなにもあいまいなものだと知り怖くなった。
アイーラが引き取られた家とに似ていて少しだけ怖くなった。