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「鈴木さん」の「世界」

「鈴木さん」には本当にいろいろな人がいた。


中学生高校生はもちろん、自分と同じ高三なのにもう働いている人、出勤前のキャバ嬢、なんだか冴えないおじさん、暇をもて余した主婦、でき婚して幸せそうに娘を自慢する同い年の男子、そして夜になれば自分の陰部をビデオ通話で見せつけてくる変態などなど……


そこにはずっと私立に通い世間知らずだったとしのりにとって、知らない世界が広がっていた。


世の中には様々な人がいて、毎日必死に生きている。


いい学校に入って、いい会社に就職して、いい給料をもらって、誰かいい家の人と結婚して、子供を育てて……

それが普通で自分もそうなるものだという風に教えられてきた彼には、「鈴木さん」での出会いはとても新鮮で、自分の生き方や考え方を見直すきっかけにもなっていた。


そして「鈴木さん」をしている人はほとんど、このアプリのコンセプト通り、一期一会の会話を楽しんでいる。

お互い名前も聞かないし、詳しい住所も聞かない。

たまにまた話したいと思う人ができると、フレンド機能を使ってその人とまた話せるようにすることもできた。


ほとんどの人が「鈴木さん」の中だけ、と割りきっている。


ごくたまに、連絡先を交換しようという人もいた。

しかし、日本中で普及している無料メッセージアプリのRINEには年齢制限が掛かっていて、まだ18未満のとしのりはIDを交換できない。

不安や心配もあったので、彼はこの事を理由に連絡先交換をいつも断っていた。


そして、一二週間ほど経ってとしのりは「鈴木さん」を使いこなすようになった。

話の始め方や進め方、相手にどんな質問をしたらいいのか、などを見極め、楽しく会話が出来るようになっていた。



ある日の日曜日、いつものように「鈴木さん」を起動し……


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