としのりの「好奇心」
プルルルル……
「もしもーし、どこすみ?」
女の声だった
(えまって?いきなり住所とかきかれんの!?)
予想もしていない質問に彼はまたパニックになった。
そしてとっさに
「……え?えっと……お、大阪です…」「へぇそうなんだ、私静岡」「………あっ、そうですか」
「えっと、なんさい?」「17です」「え?じゃあ、高校生!?若いねーww」「そうですか?」「若いよー、私なんてもう25だからね、もうおばさんww」「そんなことないですよ」……
やたらと質問してくる人だった。
今何しているのか?彼女はいるのか?部活はなにをしているのか?好きな芸能人は?などなど……
としのりは質問に答えるだけだったが、人と話すことは嫌いじゃない。彼女にどんどん心を開いていった。
そしてしまいには、冗談を言って笑わせるほどになっていた。
しかし、楽しい時間はあっという間に過ぎる。
「あ、もうこんな時間!ごめん、このあとちょっと用事があるから。」「え?そうなん?」「うん、ごめんねー。じゃあ、またいつかつながったらよろしくね!」「うん、、、」「じゃあね!」
プチ、、ツーッツーッツーッ……
電話が切れたあと、彼はしばらくぼーっとしていた。
(なんかめっちゃええ人やったなぁ……)そして、
(「鈴木さん」ってこういう話し方するやんな、、なんか使い方わかったような気がする)
そして彼は毎日「鈴木さん」で誰かと話すようになった……