としのりの「ドキドキ」
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としのりは「鈴木さん」を起動した。
「なんやこれ?……」
起動してみたものの、使い方がよくわからない。
(この「鈴木さんと話す」ってとこ押すんかな?)
ポチッ、、、、、プルルルル……
(うわ!かかった!!)
「もしもし?」
男の声だった
としのりはとっさに電話を切った。
(え?ちょっとまって、なんなん??どうしたらええねん、そんな急に知らん人としゃべられへんやん、、)
軽くパニックになっていた。彼はもともと人見知りなのだ。いきなりどこのだれかもわからない人と話せと言われても、無理に決まっている。
だがしかし、暇をもて余している彼にとってちょうどいい刺激となって、彼の心をつかんだ。
「あー怖かった、なんやねんこれ、ぜんぜんおもんないやん」と、口に出しながらドキドキと興奮はおさまっていなかった。
(もっかいしてみよかな?めっちゃなんかドキドキする……)
「これ別に電話したからって身元わかるわけじゃないし、安全やんな」「個人情報教えんかったらええねんやろ?余裕やん」
言い訳を口にしながら、心はこのスリルを、背徳感をもっと味わいたい気持ちでいっぱいだった。
それに、「鈴木さん」をしている人がどんな人なのかというのも気になりだした。
そして、としのりはあのスリル、背徳感、そして好奇心に突き動かされもう一度「鈴木さんと話す」をタップした……