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憑依 ~2.5次元の鏡移~  作者: 宇野沢 澪
5/5

4話 明かす勇気が出ない答え

出来ました~。

ちょっとまたまた次話までは

時間がかかりそうです

さっきは変な例えで誤魔化してしまった感が拭えなかったが、言い換えればそのくらいの例えしか浮かばないくらいにビックリしてしまったともいえる。

さすがに琉凪にもその発想は無かったらしく、隣を見ると思いっ切り硬直していた。

………しかし、本当なのだろうか………?

「本当だって疑ってるのかい? それは心外だな……でもさ、もし嘘だったとして、どうやってその「嘘」を証明するんだい?」

「あ………」

無い。確かに無い。QED不可能。

「でもあたしは嘘なんて付いてない……その証拠に様々な場所で見つかっている書物の中にあたしの名前ってのが載ってるんだからさ?」

「………えーっと、陽子、ってですか?」

琉凪の硬直が解けなさそうだったので俺が話を進める。

「いやいや……陽子ってのはここ日本で名乗ってる便宜上の名前さ……あたしの本当の名前は『ミカエラ』って言うんだけど……」

「ミカエラ………あ」

確かに聞き覚えがあった。たまにTVでやってる『歴史に隠されたミステリーを紐解く』みたいな番組で様々な時代、様々な場所で名前を目にする謎の人物………という形でよく特集が組まれていた筈だ。

まさか………それが彼女本人だと言うのだろうか?正直俺は「そんなのただ被っただけだろう」ぐらいにしか考えていなかった。けれど、もし今ここにいる彼女………陽子さん、本名ミカエラさん………がその張本人だとするならば。

俺は………今とんでもない人物と出逢っているんじゃあ………?

…………あれ?

「じゃ、じゃあなんで俺や琉凪に声を掛けてきたんですか?」

しかもこんな国家機密なんてゆうに超えた情報ももたらしてくれたし………

「あぁ、それは………さ、あたしがなんでこんな田舎とも都会ともとれない場所にいるのかっていうのと繋がるんだけど」

確かにそれも気になる。

「じゃあこの際全部教えて下さい」

……しっかりと心を込めたハズなのになんか文章にすると棒読みっぽく見える……

「………分かったよ……琉凪の硬直も解けたみたいだし、この際全部ぶちまけちゃうよ」

「お願いします!」

突然琉凪が乱入してきた。いや突然すぎるって。

しかし………琉凪が言うと生き生きとして見えるのになぁ……俺の言葉にはなにか足りないのかな……

「……まず。日本っていうのはさ、他の国とはまた違った独特の文化、ってのがあるけど、これってどうしてだか知ってるかい?」

「うーんと………日本が島国だったり、鎖国を行ったりしたからですか?」

琉凪が本調子に戻ったのでもう琉凪に任せる事にした。ここからは静観するとしよう。心の中でツッコミは入れつつ。

「それもまぁ、あるっちゃあるんだけど……一番はこの国、日本が魔力が溜まりやすく、魔力を持った人々が引き寄せられやすい『エアスポット』だという事なのさ」

そこまで言ったところで琉凪がはっとした表情をして陽子さん(……いやミカエラさん?もう陽子さんでいいや………)に聞いた。

「……! じゃあその『エアスポット』である日本の中でも特に様々なモノが集まっているのがこの水脈市なんですね!」

あぁ………そう考えれば陽子さんがどうしてここに来たのかの説明はつく。流石琉凪だな……

「流石は琉凪だね……琉凪の言った通りここ『水脈市』が、日本のエアスポットの中心地となっているんだ。

そもそもこの『エアスポット』っていうのは2次元から2.5次元に行く時に通る事になる場所なんだけど……エアスポットの力が強ければ強い程弱い魔力しか持たないモノでもここに来れるんだ。そして魔力を持つモノっていうのは………必ずしも良い存在だけとは言えない」

「……悪者、って事ですか?」

琉凪のざっくりとした質問に、陽子さんは肩を竦めながら答える。

「ああ………それが少数ならなんとかあたしと弟だけで食い止められるんだけど………最近大きいのが来ちゃってねぇ………」

…………『大きいの』。

陽子さんに弟がいるという言葉よりも、その言葉は心に引っかかった。

もしかして、陽子さんが俺や琉凪にこの話を持ち掛けた理由って………

「………誠。あんたはホント、勘が鋭いね……琉凪の勘の鋭さとは違う鋭さがあるよ………

………あぁ。この場所には今、『時界軍』って奴らが来てるんだよね……まぁ、普通の人間には見えないんだけどさ」

また読まれてるし。まぁいいかもう。

「………『時界軍』?」

これは勿論琉凪である。俺は静観したまんまだからな。

「時を操る時神クロノス率いる軍で、様々なモノをモチーフとして作られてるんだけど……時神クロノスの目的が危なくってね………その目的ってのが『時を消滅させる』ってのなんだけど」

「え? それじゃあそのクロノスさんの存在意義みたいなの、無くなるんじゃないですか?」

「それで良いんだよ……クロノスにとっては、さ………彼女はあたしよりもずっと長い間生きてきて、人生ってのに飽き飽きしてきたんだろうね……時神だからってどっかに留まってなきゃいけないとかそういうのは無いんだけどさ、なんせ時神だから……力もそこんじょそこらの神様とは違って『時』ってのがある場所の全ての情報が把握できちゃうんだよねぇ……」

「それって聞こえる音聞こえる音が全て音階付きで聞こえてくるような絶対音感持ちみたいな感じですか?」

なんだその例え。

「琉凪の例えってやつは斜め上を行くねぇ……それが琉凪らしさ、ってやつなんだろーけどさ? ……まぁそんなこんなで、彼女は疲れが溜まりまくったんだろうね……しかしエアスポットであるここに来て時界軍を野放しにして、『時間』ってのを認識してる存在……時間と共に姿が変わる存在だから全ての動植物になるんだけど……それらを全て根絶させて、『時間』っつー概念そのものをぶっ潰してしまわなきゃ死ねないんだな、彼女は」

「あれ? ここだけで良いんですか?」

それは俺も思った。心の中で同意しておこう。

「あぁ、ここは世界のエアスポットの中心地だし、何より魔力もあるからね…時界軍の燃料……ってか栄養源が魔力だからここで全ての準備を整えて、あとは邪魔者を追っ払って2次元からも魔力を吸い取って……最後にゃ地球をバーン、ってするんだろーね」

いや………バーン、って………シンプルに言うけどヤバいんじゃあ………

「………で、あたし達になんの力があるっていうんですか?」

一気に本題行ったぁぁぁ!!!!

流石!流石です琉凪さん!

「………そのことなんだけど、琉凪、最近身体……いや、頭に不調は無いかい?」

そう言われた琉凪は少しはっとした表情を見せた。………図星だったみたいだ………

「………はい。なんか最近、忘れたくとも忘れられない…というか、覚えなくてもいい事まで覚えてしますう、というか………『全てを覚えてしまう』んですよ……」

そういや言ってたな……「なんかさー、最近何でも覚えちゃうんだよねー……もうこの記憶力、一握りあんたにあげるわ」とか。一握りって多いのか少ないのかよく分からんなぁとか思ったような気がするんだけど……そんな重要な事だったのか?

「………更に最近頭痛も酷くなってきて……で、もしかしたら…って思うんです。もしかして、これって……

……記憶があたしの頭のキャパシティーを超えているんじゃないか、って」

キャパシティーって。許容範囲とか言えよ。シリアスっぽい雰囲気なのに吹きそうになっただろ。

「………キャパシティー……か。確かに琉凪のキャパシティーを記憶は超えてるんだろうね」

………ん?それって

「ヤバくないですか?」

………む。つい漏れてしまった。

琉凪までこっち見てるし。……ハズいなぁ。

「……ヤバいよ。まじヤバでチャケパない。」

どこの方言だよ………ってか方言どころじゃ無いだろソレ……

「本当にまじヤバでチャケパねぇですよ……」

琉凪、そんな返しじゃシリアスどころじゃなくなるぞ………むしろコメディ臭まで漂ってくる。

「………でもさ、琉凪……誠の近くにいると、あんまり痛くならない感じがしないかい?」

…………え?何じゃそりゃ………

俺は『そんな訳無かろう』と思っていたのだが……琉凪は少し考えてからハッとした表情を見せて言った。

「………あ。そういえば………誠の近くにいるとあまり痛む事が無いような気が…………

でも、この頭痛といい、誠の近くにいるとあまり痛まない事といい………その、時界軍?とかいうのを倒したりするのに関係あるんですか?」

…………そういえばそうだ。しかし……これってもしかして話が脱線していたのだろうか………?にしては陽子さんは本題に入るような言い方をしていたが………

そして更に言うなら。陽子さんは………

琉凪に起こっている『異変』のようなものを「知っている」ようだった。ならばこれは………本題に関係ある話なのだろう………でも………

「誠ー? 考えすぎると知恵熱出すから止めとけ」

陽子さん………ちょっと酷い………いくら俺でもこのぐらいで知恵熱なんか出ないよ………

「………陽子さん。もしかしてあたしのこの頭痛の正体、知ってるんですか?記憶がキャパシティーを超えた事についても………」

琉凪がそっと訊く。………もうシリアスに考えればいいのかコメディ的に考えていいのか分からなくなってきた………

「……………まぁね、大体は予想がついてる。でも…………その力は、良い方向に働くこともあれば、今の琉凪のように悪い方向に働くこともある。その「正体」についての対処法……と、いうよりは《共存法》については教えられるんだ。」

「え、これ………治らないんですか?」

……その、当然とも言える琉凪の問いに、陽子さんは………初めて困ったような、そんな表情を見せた。

この問いの答えは、出ているも当然だった。

「………じゃ、じゃあ……せめて、これが……この現象が、なんなのか………教えてください」

もやっとした雰囲気を察したのか、琉凪が質問を変えた。そして………この質問に。

陽子さんは。


「…憑依、さ。琉凪は《憑かれている》」


驚くほどのスピードで答えたのだった。

…………えっ?

「聞こえてるよ、誠」

………いや、でも、えっ?

閲覧ありがとうございました!

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