3話 嘘と異端と読心とあとなんか
完成済みです。
終わる気配どこいった
「どっちつかずの、まやかしなのさ」
「…………え?」
『どっちつかず』は置いといて……『まやかし』?
……………
「………痛いですよ?」
「無言でほっぺたつねらないで……あとまやかしってそういうものじゃないから………そんでそれ、琉凪と全く同じ反応だから……」
「そうなんですか!?」
「無言でつねったところまで一緒だった時はビックリしたよ……」
「ですよね………」
俺もビックリしたもん。
「………で、『まやかし』ってどういう事なんですか?」
「そうだね………説明すると長くなるけどいいかい?」
「あ、はい、もちろん」
「まず………この世界。 ここは世間一般的には『三次元』だよね?」
「………そうじゃないんですか? あ………実は二次元でしたー、とか異次元でしたー、ってなオチですか?」
俺の予想に苦笑いの陽子さん。
……でもこれ以外思いつかないしなぁ……?
「まぁ、普通の人間にはその位しか思い付かないだろうね………でも最初に二次元が出るとこ、流石琉凪の従者さね」
「そうですか………って従者!? 俺琉凪とそんな関係に見られてたんですか!?」
「じゃねぇの?」
「んなわけ無いじゃないですか!! 幼馴染ですよ!!」
「ふぅん……幼馴染、ねぇ……」
すごい変な視線が注がれてる気がする……
「……で、結局この世界って何なんですか?」
俺は陽子さんの視線から逃げるようにして話を本筋に戻した。
「ん? あぁ、ここは2.5次元さ」
「…………何ですかその中途半端な時間」
「中途半端………仮にも自分の住む世界に対して随分な言いようだね?」
「えー………だって………いやー………なんか……まだ実感湧かないっていうか………」
凄みのある睨みを効かせる陽子さんの目をなるべく見ないようにしながら言葉を探す。
と……
……トントン 「!?」
突然肩を叩かれて振り向くとそこには
「(近い近い……!)」
至近距離でこちらにヒソヒソ話を持ち掛けようとしている琉凪の姿があった。
「(近い? そんなの気にしない気にしない! あ、でさ? あたしも思ったから!)」
「(………え?何が?)」
唐突すぎる。自覚しろよ。
「(だーかーらー! いきなりこの世界が2.5次元だとかまやかしだとか言われて! 『全く実感湧かねえ(鼻ほじ)』って思ったんだって! あたしも!)」
「(いや(鼻ほじ)は余計だろ)」
「……何やってるんだい?」
……忘れてた。すっかり忘れてた。
一瞬のうちに忘れてた……陽子さんの存在を。
しかもさっきより変な……というより熱い視線が送られてる気がする………
「…………えーと、すいません」
謝るのは癖なんだ……もう仕方がない。
「まぁーた謝って………あっはは、でも青春っていいねぇ」
「どうしてそこに飛ぶんですか!?」
「さっきのヒソヒソ話、聞いてたけど………あの会話、少女漫画とかでよくある幼馴染同士の会話そのものだったからさ?」
「聞いてたんですか!?」
「ヒソヒソ話の意味無いじゃないですか!?」
ちなみに俺の言った台詞は最初だけだ。後のは乱入した琉凪の台詞だ。
………本当に乱入って感じだな。
「あたし、地獄耳だってよく言われるのさ」
………あれ!?脱線しないって決めたのにまた脱線してる……!?なんだろうこれ……陽子さんの力なのかな………怖っ……
「じゃ、本題に戻ろうか?」
しかもまた心読まれてる!?
嘘だ………嘘だぁ………!!!!
「ほらほら、心の中でバカデカいリアクション取ってないで……とっとと話すからさ」
「は、はい……」
「元々この世界は3次元だって思われてたんだけど、ある研究者さんが『この世界には魔力が眠っている!!』……なーんて、普通の人が聞いたら馬鹿げているとしか思えないような発言をしたわけだ」
……色々あって、今俺はやっとこさ『この世界の本当の姿』について聞いている訳だが……
「そしたらさ、なんか『3次元』っつーのは別に存在して、あたしらのいるこの世界はその『本物の3次元』を丸ごとパクった世界だっていうのが分かったのさ」
「え、じゃあ3次元は別に存在するんですか?」
因みに質問しているのは俺の方だ。
「ああ…そりゃあ、ね? そして驚いたのが、この世界…3次元のあれこれをまるごとパクっているみたいなんだよねぇ…」
「………パクってる?」
「そう、大陸や海の比率、形。そこに住まう動植物の進化の過程………動植物なんて1個体1個体そっくりそのままパクってるって言うんだからね」
「………えーっと、じゃあ本当の3次元に俺達もいるって事ですか?」
「まぁね。大体の人間は3次元にいるよ……あくまで『大体』だけど」
「『大体』………?
じゃあ、ここ……2.5次元にいて、3次元にいない人もいるんですか?」
「そうさね……そういうのは『例外』に入るほど少ないけどさ」
「………もしかして、その『例外』ってやつが陽子さんですか?」
そう質問した途端、陽子さんがこっちを睨んだ。
………やっぱすげぇ迫力………
「………どうしてそう思うんだい?」
「え、だって……俺の心を読んできますし、そんな国家機密みたいな情報とか知ってますし、なにより………陽子さん、他の人にはない……何だろう、威厳?違うな………独特な………オーラ?みたいなの放ってますし………」
「………誠」
「は、はひっ!?」
突然名前で呼ばれて裏返った。なんだこの漫画とかでよくあるやつ。
で……肝心の陽子さんはそんな俺の事なんてほっぽって話を進める。
「あんた………なかなかのモノを持っているみたいさね……」
陽子さんはそこまでいうと、もう聞いた話だからなのか隣で頬杖をつきながら俺との話を聞いていた琉凪の方を向いて………
「琉凪、ここからはあんたにも話してない話だからさ、よく聞いときな?」
………と言った。
琉凪が頬杖をついた状態から一瞬で背を伸ばす位には凄みのある声と視線で。
そして………陽子さんは、にわかには信じられない……それこそ「この世界が2.5次元だった」なんて話よりもずっと………ずっと信じられないような事を、さらりと言ってのけた。
「あたしは誠がさっき言った通り、『例外』……2.5次元には存在して3次元には存在しない存在さ。……まぁ、2.5次元があって、そこで魔力が『証明』されたって事は2次元もあるんだけど……ここまでは琉凪にも話したし、誠も大体は予想してた筈だから飛ばすよ。あたしはそんな2次元から生まれた存在で、元々3次元には存在し得なかった存在なんだけど……もう一つ、3次元には存在し得ない理由があるんだよね。
それがさ……」
誤解を招かないように一つ注訳を入れるが、ここの文章ではこう分かりやすいように分けている。しかし、俺らが聞いた時はさらっと……そう、あまりにさらっと言われてしまった為、聞き逃さなかったのが奇跡のようなのだ。そう、それはまるで……
「10万年生きてる、って事なんだけど」
………自分の年を言ってビックリされるのが生きがいとなっている美魔女のようだった。
………例えが思い浮かばなかったな……
ごめんなさい長くて……