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憑依 ~2.5次元の鏡移~  作者: 宇野沢 澪
2/5

1話 日常がいつまでも日常だとは限らない

拙い文章ですが温かい目で見守って下さい。

此処は2.5次元───

とある研究者が遥か昔に廃れたという文明では表せないシロモノ────《魔法》を発見し、「人体に隠された《魔法》の素質とやらを開花させると《魔法》を操れるようになる」

という…………信じられないような話をし、更に実際に《魔法》を使ってみせたことから、一握りだが《魔法》を使える人間が『いる』と明らかになった世界である。

だからといって、人々が大混乱に陥っている、という訳ではなく……

ケータイを見つめて聞こえるか聞こえないかの声で唸っている少女にとっては………

そんな事よりも。

現在自分が突き当たっている問題の方がずっと大事なのだった……


「えーっと……琉凪(ルナ)、どうしたんだ?」

俺は隣で唸っている幼馴染に向かってそう言ったが……

「え?………あ、居たっけ山崎? ゴメンゴメン。

だってあんた、影薄いからさ?」

反応はだいたいこんな感じだ。

「あのさぁ………いっつもそんな事言われると……

流石に俺も傷つくよ……?」

「………そ。勝手に傷ついとけ」

酷い。いくら幼馴染とはいえ酷すぎる。

でもまぁ、俺だって琉凪の幼馴染だ。大体何があったのかは分かる。…………多分。

真次(シンジ)に電話してるのか?」

唸り声が一瞬止まった。そしてジト目で俺を睨む。

(図星だったんだな……)

こういう所だけは分かりやすい奴だ。

そして、暫く沈黙が流れた後…

「…………神尾の奴、電話切りやがった」

ムスッとしながら琉凪が言った。

「まぁまぁ、真次はいっつも起きるの遅いし、さ?

しかも今日休みだし……どーせ3時ぐらいまで起きてたんじゃないか?」

俺はそうやってなだめようとしたが……

琉凪はムスッとした表情のまま、歩き出してしまった。

「ちょ、え、琉凪~!? どこ行くんだよ!?」

「山崎には関係ないから言わない」

「いやいやいや関係あるだろ!?」

「…………あたし知ーらないっ」

どうしても言いたくないらしいので訊くのはそこで止め、俺は琉凪の後ろを付いていった。


因みに俺と琉凪が今居るのは近辺でも最大の市(……と言っても人口は5万人弱)の水脈(みお)市の中の南西にある瑠璃町の丁度真ん中に位置する「ポッポ広場」だ。

このポッポというのは電車ではなく鳩で、広場の中央にある噴水の上に鳩のオブジェが付いているからとも、鳩が年がら年中エサを求めにやってくるからとも言われている。


まぁ、そんなこんなで俺と琉凪はポッポ広場から東に進んでいた。

「あのさ、琉凪」

「ん?」

真次の事は諦めたらしく機嫌も元どおりになった琉凪に俺は話を切り出した。

「今、何処に向かってるんだろーね俺達?」

もうそろそろ教えてくれるだろうと思い聞いt

「さぁ? よくあるじゃん、心の赴くままにぶらり町中散歩……みたいなの。あれみたいな感じ」

「いやいやいやいや!!」

めっさ否定こそしたが、実際はなんか想像が付いていた。というのも……

琉凪がケータイを見ながらトボトボ歩いてる時は大体『ぶらり町中散歩』なのだから。

これもまぁ……幼馴染の性である。

と……琉凪の足が止まった。

「……ん?どうした?」

そう問いかけると、彼女は俺の顔をじっと見て……

「………」

見て……

「………………」

見て…………

「…………………………」

見……

「………赤い」

「そりゃそーだ!!」

いくら幼馴染といえんなずっと見つめられたらそりゃあ顔ぐらい赤くなる……

こいつ分かってな……

な…………

「あっ」

「………何?見つめられすぎてゲシュタルトでも起こした?」

「いや…………」

「じゃあ何?」

「………赤い」

そう言った途端、琉凪の顔が茹で上がった。

弱いなぁ、相手にやっといて……

こーゆーのを『ウブ』って言うんだろーけど。


そいでまた暫くの沈黙の後……

「……ナジャって知ってる?」

いつも会話が唐突すぎる。

色んな意味で自由だよなぁ………こいつ。

「あぁ、まぁ……アレだよねアレ……」

「アレって?」

イヤラシイ笑みを浮かべながら訊いてくる。

何だこいつ。

「そう、あの……ロボット? みたいなのが歌うんだよね?あの…………」

肝心な部分が出てこず悩む俺を見て……

琉凪は…………

「………シングロイド………でしょ?」

………と、言った。

満面の笑みで………

もう一回言わせてもらう。

………何だこいつ。




《此処………は………》

《何も……見え……………?》

《………これは………》

《…………店…………》

《………青空、通り……商店街?》

ぼんやりとした景色が。

だんだんと見慣れた景色に変わり……

《………………?》

それはどうやら最近オープンしたカフェの近くのようだ。どうして分かるのか、といえば。

その店は。

俺の幼馴染………琉凪と誠に連れられて、1週間前に行ったばかりの店で。

そしてどうやらそのカフェの前に誰かが居るようで…よくよくその存在を確認しようとして………


「……………ぅ」

目が覚めた。覚めてしまった。

…後味悪いなぁ………ん?

そういや………


………なんか歌が聞こえた気がしたが……

その中身はおぼろげで。

でも何故か、懐かしい歌声だったような。


「………何だったんだ?」



「でさ、最近曲作り始めたんだけど」

「何でもやるな、琉凪……」

正直引くわ。それで成績落ちてないんだから尚更…

「まぁね。 好奇心だけは人一倍あるし」

「記憶力もだろ? 半分分けろよ」

「嫌だ変態!」

叫ばれた。なにも叫ばなくても良いじゃないか。周りの目線が痛いから。……すげぇ刺さる。

しかしそんな俺の気持ちをよそに琉凪はしめたような表情で

「まぁ……この神から与えられたともいえる記憶力、誰だって欲しくなるよねぇ~?」

…………何なんだよだから。


と、いつもと変わらぬ会話をしていた時。

ふと、俺は気付いた。

しめた表情の後に一瞬だけ見せた、

苦しげな表情に。

しかし、その表情に対する俺の疑問は

「ぅおわぁぁぁ!? でぇっ!?」

という琉凪の奇声、そして時間を置かず飛んできたビンタにより抹殺された。

「どっ………どーしたんだ……よっ……」

と、頬を抑えながらしゃがむ俺に、琉凪は……


「ナジャが……いる………いるの」


と、好奇心に目をぎらつかせながら言ったのだった。

閲覧ありがとうございます。

下書きしてから移すので更新遅くなりがちです。

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