限界突破その4
~悦楽の草原~
ゲートをくぐり、草原へと移動する。
「う~ん!自然に囲まれていいねぇ~!」
堪能している梨。
「なぁ…なんで“悦楽の草原”なんだ?」
「あぁ、子供でも倒せるモンスター、広い草原、あまり出現しないモンスターってことで遊び場に適しているから悦楽の草原…だそうだ。ていうか、きたときHELPに追加されただろ。自分でよくみろよ。」
確かに、見渡してみるとモンスターはまだいないし、すごく広がっている。
ていうか、瞬が毒舌になってきた。いつからだ?…スキルの話からだ。
少し歩いて、ちょっと遠目のところへ来た。
「遠くにいるのセルじゃね?」
瞬が気づいて、みんなに知らせる。
「不意打ちかける?」
梨がにやっとしながら問いかける。
こいつのことがわからなくなってきた。
「よし、俺が近くに爆発物置いてくる。」
「わかった。じゃあ僕は、魔法で援護してるね。」
「俺は鎌で…」
「「見ていなさい」」
畜生…!何なんだこの扱い…
ボンッ!!!
爆発音が響き、セルがはじけ飛ぶ。心臓に悪いなぁ…
だが、しかしかなり威力は低い。やはりレベルが低いからだろうか…
「くくく。我の洗礼に耐え切れなかったようだ!」
成功した攻撃に喜ぶ瞬。あっ中二病スイッチ入ったな…
「次は僕の番ね?光魔法〝ライトカッター〟」
梨は静かに詠唱し、光の線がセルを襲う。
と同時に、セルは真っ二つに切れる。
「うん。」
満足したのか、梨はこっちに駆け寄ってくる。
「…俺の番は?」
「あぁ、ごめんごめん。素材は分けてあげるよ?」
「いらん。次は俺も参加するからな?」
「一回レベル上がったし、いいよ。ところで瞬は?」
「ん?さっきまでいたけど…」
当たりを見回してみる。
と、ゴブリンと戦っている瞬がいた。
「んな…!?あいつ!」
「助けに行くよ!」
ゴブリンは初心者用モンスターだが、まだレベル1だ。
レベル5ぐらいになってからのほうがいいだろう。
というわけで、レベル1ではきつい…とういう情報がある。
セルを倒して舞い上がったのだろうか…今はどうでもいい。助けに行かなければ。
「光魔法〝ライトカッター〟!!」
ゴブリンにあたるが、びくともしない。
さっきより威力が上がっているので、きっとスキルレベルが上がったのだろう。
ゴブリンはこちらに気付いたが、一瞬見ただけですぐ瞬に向き直る。
ゴブリンは手に持っている小斧を振りかぶり、瞬に当てる。
このゲームは多少の痛覚がある。だいぶきついだろう。
「がはっ…! 畜生…!爆発魔法〝ミニボム〟!!」
ゴブリンの腕が軽く爆発する。
それでも、ダメージは少ないようだ。
俺は、放るのスキルを使って、そこらへんにある石を投げるがたいしたダメージはない。
「爆発魔法〝ミニボム〟!!爆発魔法〝ミニボム〟!!爆発魔法〝ミニボム〟!!!」
何回も、何回も、使うがダメージを与えられていても、倒れる様子はない。
「いくよ!光魔法〝ライトカッター〟」
ゴブリンには、なかなかきかない。
なぜかは知らないが石を投げていたときのほうがダメージをあたえていたようだ。
ということは…
「梨!少し手伝え!この鎌を振るうぞ!」
「わかった…けどできるの!?」
タブン大丈夫だ。このゲームは武器などのアイテムを立体化してる間に、他人は武器に触ることはできる。
盗み防止のシステムで一定時間経ったら文字化して戻ってくる。
だから、できるとはおもうが…
「できるはずだ!言ってる暇はないぞ!初心者の鎌〝立体化〟!!」
ぼんっ
と音を立てて鎌が手に乗っかってくる。
相変わらず…重い。
「うぉぉ…早く!」
「おっけー。…うわっ、重い…」
「これをそのまま俺のスキルで投げるから手伝ってくれ。」
そして、運んでゴブリンの近くまで行った時…
「我はこの恨みを忘れはせんぞ…覚えていろ!忌々しき低俗め…!」
瞬が死に戻りしていた。
「「しゅん~~!」」
見た限りでは小斧を瞬の腹に投げていた。
投擲系のスキルがあるのか…
瞬は、体が爆発して塵となって消えた。死に戻りのエフェクトはスキルに関係している確立が高いな。
まぁ、いいや。
デスペナルティーは所持金5%ともちアイテムランダム消失、一時間のステータス大幅ダウンだった気がする。
それより、ゴブリン討伐が先だ!
「ふんっ…じゃぁ、投げるぞ!いち、にの…さんっ!!」
少し空中に浮き、そのままゴブリンの上に乗っかる。
これで一応攻撃判定になるはずだ。
「ごみゃ!?」
ゴブリンが真っ二つになって消える。
所持品のところに新しいアイテムが入る。
【ゴブリンの腕の肉】〔食用アイテム〕__________
ゴブリンの腕のお肉。味については触れないでおく。ごく稀に小斧スキル、投擲スキル、器用スキルを習得する確立がある。
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【ゴブリンの皮】〔素材アイテム〕______________
少し固めの皮。素材袋や小物入れなどに使用されることが多い。
用途が多いのが、すぐ手に入るので安い。
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ほぅ、なかなかいいのが手に入った。
これは…とりあいず、食べるしかない。
「うわぁ…ラッキー?なのかなぁ」
「まぁ、瞬はあとでいいだろ。とりあいず、食べる?」
「うん!料理スキルもちだったよね?楽しみ!」
「う、う~ん…機材がないから、少ししかできないけど…まぁ、いいか。初心者の鎌〝文字化〟
〝料理スキル発動〟ほんとに少ししかできねぇぜ?」
「いいよ!」
本当に少ししかできない。
さっき発動してみたが、小技しか、今の状況ではできない。
焼くのはできるが…火がない。
そのことを梨に伝えると…
「光なら…ずっと当てれば燃えるんじゃない?」
と返ってきた。
その発想はなかった。
ということでやってみたがかなりの時間がかかった。
光魔法〝ライト〟の最大火力でずっと浴びせている間に、セルが4対出てきた。
俺は影で石をなげて応援!梨は光魔法で戦っていた。
さっきは俺は戦いに参加しなかったから、アイテムが手に入らなかったらしい。
今回の四匹で手に入ったのはこれだ。
【セルの液体】〔食材アイテム〕×3___________________
セルの液体。飲み物として飲まれる。味はうすーいりんご味だ。
超ごく稀に、突進スキル、攻撃力アップスキルなど…が習得できる確立がある。
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【セルの目】〔食材アイテム〕
セルの目。こりこりしていて、食感だけならいける。ほとんど無味。
スキル、セルの目をごく稀に習得できる確立がある。
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【セルの皮】〔素材アイテム〕
ぶよぶよしている皮。
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【セルの耳】〔素材アイテム〕
セルの耳。赤くとんがっている。何に使うかはあなたしだい。
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なかなか、豊作だ。
スキルはすでに習得しているのだとレベルが結構上がるらしい。
ちなみに、選択肢が出てきて2個目の同じスキルを取ることもできるらしい。
でも、やはりこの程度のモンスターじゃ、これが限界だろう。
取れたモンスター食材は、24時間以内に食べないとスキルを取れる確立がなくなる。
そんなこんなで話していたら…
ぼぅ!
ちょっとした火が出てきた。梨が成功したらしい。
よし!良くやったぞ梨!