セラフィラムの声
「相変わらずトロいですねお姉さまは。モタモタしている間に
ゴースタムがケルベリオスを手に入れてしまったわ」
豪華な屋敷の階段の踊り場からゼレスに吐き捨てるように言う
「正規パイロットとして情けなくはないのですかお姉さま」
「うるさいわね!私は私でやることあるの!」
車椅子に乗った少女は続ける
「セラフィラムはこの世界にとって重要な存在
遊ばせているわけにはいかないのです」
「そんなことは分かってる!」
車椅子の少女は忌々しい顔をしながら言った
「あの事故さえなければ・・・私がセラフィラムのパイロットだったのに・・・!」
ゼレスに向き直りまた吐き捨てる
「お姉さまにはもっとしっかりしていただかないと!!セタコーポレーションの
名に恥じないように!!」
私は普通でいたかった。普通に友達と遊び
普通に結婚し、普通に老いていく
セタコーポレーションの社長令嬢として生まれてこなければ。
セタコーポレーション。表向きはゲーム会社だが
裏では軍事産業を世界的に展開している
セラフィラムはその中核を担う機体なのだそうだ
正規パイロットとして選ばれた妹は
起動実験の最中の事故で大けがを負った
代わりに選ばれたのが私だ
しかし適合率が高いわけではない
私はパイロットを断るつもりでいた
セラフィラムの「声」を聞くまでは
最初は空耳だと思っていた
しかし文章の意味が通っていたし
人の思惑もはっきり感じ取れた
「あなたなら世界を止めることが出来る」
セラフィラムはそう言った
「この世界の均衡はいずれ崩れるでしょう
崩壊を止めるためにはあなたが必要なのです」
生まれて初めて私を必要だと言われた
いつも必要とされていたのは妹だった
私はいつでも妹と比べられ
いつでも劣等生だった
「分かった。私あなたに乗るよ」
その声がはっきりと聞こえ、会話できまでになったとき
私のセラフィラムとの適合係数は大幅に跳ねあがった
「あなたはゴースタムのパイロットと会う必要があります」
ある日唐突に告げられた
「ゴースタム?」
「この私、セラフィラムと対になる存在ゴースタム。
あなたは選択しなくてはならない。倒すべきなのか共に歩むべきなのか」
「悪い奴なの?」
「決めるのはゼレス、あなたです」
そこから先の記憶は曖昧だった
そして私はゴースタムのパイロット「ポメ」と出会うことになる




