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カレーライスは一目惚れの味

「カレー?ですか?あ、このカリの粉ですか?これはお勧めですよ。この国の肉は私達には臭みがあるので、これを使うと和らぐんです」


俺は無茶苦茶興奮している。


「これ以外の新しい香辛料もありますか?作りたいものがあるんですが、香辛料の名前がわからないので、見るか匂いを嗅ぐしかなくて」


「ちょうど、お昼ご飯を作るのに香辛料をそのトレイに分けておいたので、見てみてください。。。あ、サリナがキッチンに持って行ったのかな?ジョナサン様。その扉の向こうがキッチンなので、サリナに見せて貰ってください」と店主が言う。


「おい。彼は大丈夫なのか?この国の食事に比べるとかなり変わってるぞ」とサリナの父親が言う。


「ジョナサン様はいつもイスタニアでよく使う香辛料を買っていかれるので、大丈夫だと思います。さあ、どうぞ。見てきてください」


俺がキッチンのドアを開けると、ブワッと香辛料の匂いが広がった。


サリナさんは俺を見るとちょっとびっくりしたようだが、またニコっと笑ってくれた。


そうか。。サリナさんは俺が前世で推してたアイドルに似ているんだ。


「すまない、驚かせるつもりはなかったんだ、店主に今回持ってきたスパイスを見せて欲しいと言ったら、サリナさんがキッチンで使っているので見にきて良いと言われて」


「大丈夫ですよ。。ジュ。。ジョナサン様、こちらへどうぞ」


「ジョナサンが言いにくいなら、ジュンって呼べば良い」と無意識で言ってしまった。


「ジュン様ですか?素敵な名前ですね。イスタニア語で水源っていう意味なんですよ」


なんだろう、サリナさんに前世の名前で呼ばれたら、ドキドキしてきた。


「えっと、香辛料ですね。今日はサンドリザードのスープを作るんです。ちょっとスパイシーです、ジュン様は匂いは大丈夫ですか?」


きっとこの国の食事を見て、俺もそれに慣れていると思っているのかな?


「すごく良い香りだね、何を使っているのかな?」


トレーにはインドのスパイストレーのようにさまざまな香辛料が入っていた。


さっき見たクミンの粉もある。


サリナさんは一つ一つ丁寧に香辛料の名前、どんな効用があるのか丁寧に教えてくれる。サリナさんはとても博識だ。。そして良い匂いがする。俺は香辛料の香りより、そっちの方が気になってしまった。


サリナさんは慣れた手つきで全ての香辛料を混ぜて、すりつぶし、脂と混ぜてペーストにする。


野菜と肉が入った鍋に水を入れ、沸騰したらそのペーストを入れる。するとあの。。。。。俺が求めていたあの匂いになった。


「そ。。それは。。スープなのか?」


「あ、言葉が分からなかったので、これはイスタニアの薄いパンにつけて食べるんです」


間違いない。。。あれは。


その時コンコンとキッチンのドアがノックされドアが開くと。


「すまない、ジョナサンはいるか?店主にここにいるって聞いたんだが」とカイルードが顔を覗かせた。


「あ!熊団長!」とサリナさんが言った。


イスタニア人にもカイルードは熊に見えるんだ。


「あ、サリナさん。お久しぶりです。無事に王都につかれたのですね。。。ん?この匂いは。カレーか!!」


「熊団長。。何ですかカレーって。あれ?私はなんでカレーを作ってるの?」


サリナさんの目が虚になって。頭を抱えている。


俺は慌てて、彼女を支えて、キッチンにあった椅子に座らせる。


「カイルード。。お前は前世を思い出させる機能でもついているのか?」


「前世ってなんですか、私は。。沙織?え、今はサリナ?」


「サリナさん落ち着いて、今は記憶がどんどん戻って頭痛がしていると思うから、ちょっと休んだ方がいい。俺も同じ事になったから」


「え?ジュン様も?」 


「きっと色々質問があると思うから、これからカイルードと俺の家に来ないか?カイルードの婚約者の女性もいるし、俺たちはみんな前世の記憶を持っているんだ」


サリナさんは無言で頷いた。


俺達は店主とサリナさんのお父さんにサリナさんをルルちゃんに紹介するついでに、王都の案内をすると言って、サリナさんと一緒に俺の家に行った。


家に入ると、まだ眠そうだったがルルちゃんが起きていた。


カイルードはサッとルルちゃんに駆け寄って、水を飲ませてる。


「熊団長の婚約者さん、ちっちゃくて可愛い」とサリナさんが呟いた。


「どちら様ですか?」とルルちゃんが俺とサリナさんを交互に見つめてニヤニヤしてる。


「あ、さっき市場で迷子になっている彼女とあったんだ。こちらはサリナさん。サリナさん、こちらがカイルードの婚約者のルルちゃん」


ルルちゃんは婚約者って言われて、なんかモジモジしてる。


「ルルさん。。可愛い。初めましてサリナです」


「ジョナサン様、何故サリナさんがここに?」


「とりあえず、座って話をしようか」と俺が言うと、またルルちゃんがモジモジしている。


するとカイルードが、

「どうしたルル。お腹が空いたのか?」と聞くと、顔を赤くしてうなづいた。


「そうだ、サリナさん。さっきのカレーを教えてくれないか?さっき使っていた香辛料は買ってきたし」と俺が聞くと。


「え?皆さんはあの料理は大丈夫なんですか?この国の料理とは全然違いますし」


「俺らは前世を思い出してからこの国の料理が食べられなくなったんだ。あれは絶対カレーと同じだ。どうしても食べたいんだ」と最後は懇願するようになって。


サリナさんは笑ってる。笑顔が本当に可愛いなサリナさん。


あれ?俺は何を考えているんだ?


サンドリザードの肉と豚肉もどきの肉はあるが、牛もどきはないな。


サリナさんは豚肉を選んだ。

「イスタニアでは豚は売ってないので食べたかったんです」

「サリナさんは。。宗教的に食べても良いんですか?」


「うちの祖父は元々この国の出身ですし。なんでも食べます。まあこの国の緑のストライプの肉は。。ちょっと」


「あれは俺も無理だった。。。。じゃあこの豚肉使おうか、カイルード、米ってまだあるよな」と俺は鍋を出しながらカイルードに聞く。


「ああ、右の戸棚にあるぞ、さっきの作るのか?」とワクワクした顔をしている。ルルちゃんはカイルードの膝に乗せられているが、料理が気になってそれどころじゃないようだ。


「米って言いました?米があるんですか?」とサリナさんが驚いている。


「ああ、きっとこれに合うから食べてみてくれ」


サリナさんが香辛料を混ぜて、ペーストを作り。野菜と肉を炒めた鍋に入れる。


あのカレーの匂いがした瞬間、カイルードもルルちゃんも鍋を覗きにきた。


「カレーですよ、カレー!」とルルちゃんは大はしゃぎ。


できたカレーを炊いたご飯にかけて。


テーブルに運ぶ。


「「「「いただきます!!」」」」


一口食べて、鼻の奥がつんとして涙が出そうになった。


俺がずっと食べたかったカレーライスがここにある。


サリナさんは俺の顔を見てちょっと心配そうにしてる。


「ジュン様、お口に合いました?」


俺は最後の一口を食べて。隣で食べているサリナさんの手を握って、美味しかったと言おうとした。でも口から出てきた言葉は。

「サリナさん、俺と結婚してくれないか?」


カレーを食べていた全員がスプーンを落とした。


その音で俺はハッと気がついた。俺。。何言ってるんだ。会ってからまだ数時間しか経ってない。


「い。。良いですよ」というか細い声が聞こえて、顔を上げると、顔を真っ赤にしたサリナが俺をみていた。


「え?自分でプロポーズしてなんだけど、もっとちゃんと考えてからの方がいいよ」

と俺が言うと。


「ジョナサン。。お前、何やってるんだ?プロポーズしておいて、もうちょっと考えろっておかしいぞ」とカイルードの呆れた声がした。


「わかってるよおかしいのは、でも俺はサリナに一目惚れしたんだ。すごく素敵だし、もうこんなに美味しいカレーを作って、一緒に楽しめる人なんてこの世の中に他にいない」と言うと、サリナは俺の手を握り返してくれた。


「私も同じですよ。この国に来て料理をみて、同じ味覚を持つ人じゃないと一緒にやっていけないなと思ってたんです。道に迷った時も、あのかっこいい人に聞こうと思って、ジュン様に近づいて行ったんです。ジュン様、私をあなたのお嫁さんにして頂けませんか?」



カレーの力は偉大です。そしてカレーは自分で作るより作ってもらったほうが材料が同じでも美味しく感じる。



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