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甘酒は友人へのお祝いの味

ここからはジョナサン視点です。

俺は自分の家の前に立っている。


なんで自分の家に帰るのにこんなに遠慮しなきゃいけないんだ。


でももうお昼近くだし。。いくらなんでもな。もう大丈夫だよな。


意を決して中に入ろうとすると、何かいい匂いがする。


「ただいまー」


「お帰りなさい、ジョナサン様遅かったですね?実家の方々はどうでした?」


「みんな元気だったよ。ただ。。食事がね。おにぎりとかは持って行ったんだが」


「カイさんが、ジョナサン様はきっとお腹を空かせて帰ってくるって言って、朝からいっぱい作ってますよ」


キッチンからカイルードが顔を見せる。


「すぐ食べれるぞ、手を洗って来い」


すごく機嫌が良さそうだから、きっとうまく行ったんだろう。


手を洗って戻ってくると、テーブルには炊き込みご飯、鮭のムニエル、粕汁があった。

「すごいな、鮭尽くしだ」


「カイさんがいっぱい鮭を釣ってというか、仕留めてくれましたから」とルルちゃんが興奮気味にいう。


「ああ、あの熊の狩りみたいなやつ」


「えーー格好かったのに」とルルちゃんが言うと、カイルードは嬉しそうにルルちゃんの頭を撫でてる。


なるべく見ないように、ご飯を食べる。


「お!この炊き込みご飯うまいな、鮭も油が乗ってて良い。でも酒粕なんかどこで手に入れたんだ?」


「あの米が出来る実が完熟したのが売っていてな。料理用に酒が欲しかったから買ったら、皮にこれがこびりついたのが酒粕ぽくて使ってみたんだ」


「それは良い発見だな。粕漬け作ってみたいな。まだ残っているか?」


「ああ、たっぷりあるぞ。そこの瓶に入れてある」とカイルードが見せてくれた瓶はかなり大きかった。


あれも作れるな。


「で。。お前達は、うまくいったんだよな?その様子だと」と聞くと。


ルルちゃんの顔が真っ赤になった。


カイルードはルルちゃんの手を握って、

「ああ、お前が協力してくれたお陰だ、ありがとう」と言ってくれた。


「本当に何年お前の片想い話を聞いてきたと思ってるんだ。昨日だってひもじい思いをして、家を空けてやったんだし。これで上手く行かなかったら俺の苦労が台無しだ」と笑って言うと。


2人も大笑いしている。


「で、どうするんだ、これから」


「ルルが来月20歳になったら、結婚しようかと。教会で式だけする。俺達の披露宴の飯は誰も食わんだろうから、この3人でお祝いできれば良い」


俺はカイルードにとって今世の家族より近いんだなとちょっと感動した。


「そうだな、家はどうする?一緒に住んだ方が飯の心配もないだろう。ルルちゃんの家はどうだ?」


「そうなんですが、うちじゃ狭すぎるので、どうしようかなと」


「前も言ったが、うちは部屋も余ってるし、イチャイチャを部屋の中だけに留めてくれるなら大歓迎だぞ。カイルードが遠征に行っている間も心配要らないし」


「俺は盛大にイチャイチャするつもりだが」とカイルードが澄ました顔で言う。


「な!!何言ってるんですか!カイさん」

ルルちゃんは大慌てだ。


「あーーいいな、俺も嫁が欲しくなってきた」と言うと。


「私達の結婚式までに見つかったら、合同結婚式にしましょうね」とルルちゃんがニコニコしながら言うが。。無理だろう。


「それまでには家をどうするか、決めるよ。悪いないつまでもここにいて」とカイルードは言うが、この2人が居なくなって1人でご飯を食べるのは寂しそうだと思ってしまった。


そろそろ寒くなってくるしな。


「食後のお茶でも淹れましょうか?今日はちょっと肌寒いですよね」とルルちゃんが言うと、カイルードがなんか覆い被さってる。


そうじゃないってルルちゃんが逃れようとしてるが、ベアハグからは逃れられなさそうだ。


「お茶よりいいもの作ってあげるよ」と俺は酒粕の入った瓶をつかむ。


鍋に酒粕とお水、砂糖を入れて煮る。


トロリとした液体をカップに入れて2人に渡す。


「甘酒の出来上がり。米麹の甘酒じゃないから、多少はアルコールが入っているからルルちゃんはゆっくり飲んでね」


「わーい、甘酒好き」


「これは体が温まって良いな」


「2人の婚約のお祝いだよ。幸せになれよ」


3人で甘酒を飲んでほっこりしながらお祝い。。。のはずだった。


「おい、カイルード。ルルちゃんはお酒あまり飲めないって言ってたよな」


「ああ、エールも好きじゃないって」


「あまり飲めないんじゃなくて、全然飲めないも間違いだろう。粕汁ももしかしてダメだったのか?」


ルルちゃんは真っ赤な顔をして、カイルードに抱きついていると言うか、よじ登っている。


「私はーー、いつもメグの家に行くたびに、海斗さんを探してたんですよ。でも私の顔を見ると、ささーーーと部屋に入っちゃうし、意識もしてもらえてないって思うじゃないですか。それがずーっと片想いですって?態度に全然出してないし!」


カイルードは別の意味で真っ赤になって、ルルちゃんごめんねって謝ってるし。


俺は高校の時は彼女もいたけど、料理学校に入った時に彼女は大学に行って。そのまま自然消滅してしまったし。


料理学校の時は学校と海斗の話を聞くので忙しいすぎたし。唯一、地下アイドルグループの女の子にハマって、すごく推していたぐらいかな。


こっちの世界に来てからは。。。呑みにも食事にもいけないから、彼女どころか友達もカイルード以外いない。


いくら好きになっても、食事が一緒にできないのはどうにもならないしな。


俺。。結構詰んでないか?


なんか静かになったと思ってたら、ルルちゃんはカイルードの膝の上で丸くなって寝ている。


「猫みたいだな」と俺が言うと、


カイルードは優しく髪の毛を撫でていたが、「ちょっと寝かしてくるわ」とカイルードがルルちゃんをベットへ運んで行った。今日もお泊まりパターンかなこれは。


俺は荷物を片付けて、粕漬けに使えそうな野菜を買いに近所の店に行くことにした。


「お、そうだ。香辛料もストックが減っていたな。先にそっちに行くか」と俺は市場の奥の方にある香辛料屋に向かって行く。


「あの、すみません」と声をかけられて振り向くと、異国の服を着た女性がいた。黒髪に青い目に褐色の肌、東のイスタニア国から来たのか?


「香辛料を扱っているお店を探しているのですが、何処か教えて頂けませんか?」

少し訛りがあるが流暢にこの国の言葉を話す。

「私も今行くところでしたので、ご案内します」と言うと、彼女はにっこり笑った。俺は少しドキッとした。


「イスタニア国の方ですか?」


「ええ、そうです。実はその香辛料のお店は叔父がやっているので、イスタニアの香辛料を届けに来たんです。父と来たのですが、さっきはぐれてしまいまして」


そういえば、あの店の主人もイスタニア出身と言っていたな。


「私もあのお店にはよく行くんですよ、面白い香辛料が沢山あるので」


「そうなんですね。父と沢山新しい香辛料を持って来たんですよ、何か気にいる物があると良いんですが」


そんな話をしているとお店の前についた。


「ありがとうございます、えっと。。。」


「ジョナサンです」


「ジュ。。ジュナサン様ありがとうございます。私はサリナです」


ジョナサンの発音が難しいのか、ジュナサンって聞こえてドキッとした。潤さんってて呼ばれているようだ。


お店のドアを開けてあげると、サリナさんはぺこっと頭を下げてお店に入って行った。


中には店主とよく似た男性がいて、サリナさんをみて、興奮してイスタニア語を話している。


そして全員俺の方を見た。


店主が「ジョナサン様、サリナを連れて来てくださり、ありがとうございます。これから探しに行こうと思っていたんです。今日は何をお探しですか?」


俺とカイルードはここの常連なので、もちろん店主も俺の事を知っている。


「いつものと、何か新しい香辛料があれば見せてもらいたい」


店主はニヤッと笑って。


「兄が面白いものを持って来てくれたので、どうですか?」


俺はそのオレンジの粉の匂いを嗅いだ瞬間思わず言ってしまった。


「これでカレーが作れる」


カレーのルウって本当に人類最高の発明だと思う。

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