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屋台飯は初デートの予感の味

「そう、この世界での初の味噌だよ」とジョナサン様は自慢気に言う。


「そしてこれを応用してできたのが、溜まり醤油」とこちらもやや赤っぽい液体が入った瓶を出してきた。舐めさせてもらったら、確かに醤油だった。


「これが出来たからこそ、あのルルちゃんが前世を思い出したきっかけの生姜焼きになったんだよ」


うわーーお味噌があったら、お味噌汁だって作れちゃうし、醤油とお酒があったら食の幅が広がる。


「大豆と米って日本食にはなくてはならないものなんですね」と私が呟くと、ジョナサン様はにっこり笑った。


「本当だよ、これがなかったら、もうどうしようもなかったね。洋食でもどうにかなるけど、やっぱり米とお味噌汁は格別だよね」


「そう言えば。。あのバスに乗ってた私たち3人がここにいるって事は、バスの運転手さんと後もう1人後ろに座っていた女性もここにいるんですかね?」と私が聞くと、


「バスの運転手は恐らくそうだろうね、でもあの後ろの女性はどうだったのかな?場所によって助かる事もあるだろうし」


私達はバスの下の段に横に並んで座っていた。


「そう言えば、カイルード様は私を庇おうとしてくれたんですよね。あの時から騎士道精神が備わっていたんですかね?」


「役には立たなかったけどね。。残念ながら」と恥ずかしそうに言う。


「私はここでまた会えたのが凄く嬉しいです」


海斗さんは私の憧れの人だったから、友達のメグの家に行く時はいつもドキドキしていた。


「俺も早く会いたかったから、本当に会えて良かった」


「俺の家なのに、俺は邪魔そうだな?」とジョナサン様はニヤニヤしているので、私達は赤くなってしまった。


「ル。。ルルちゃん、そろそろ送っていくよ。だいぶ遅くなっちゃったし」とカイルード様が慌てて言う。


「あ、でもお片付けの手伝いを。私はご馳走様になっただけで、何もしてないですし」


「3人分も2人分も大した変わりはないよ、ちゃんとカイルードに送ってもらいなよ」とジョナサン様が言いつつ、私達は家の外に追い出された。


「大丈夫なんでしょうか?」


「まあ、あいつはできない事は言わないから。じゃあ行こうか。家はどっち?」


「あ、こっちです。そんなに遠くないんですよ」


歩き出そうとすると、手を出された。


「エスコートさせて頂けますか?」とかしこまった表情で言われた。


「ふふふ、流石ですね。こちらのマナーもバッチリで」


私が手を出すとしっかり握って、カイルード様の腕に手をかけてくれた。


「女性をちゃんとエスコートするのは、数えるほどしかないよ。俺はゲテモノ喰いの熊団長だから」


「本当は飯ウマの完璧男子なのにね」


「そうルルちゃんが思ってくれるなら、他の誰かが何を言っても別にどうでもいい。そうだ、明日は買い出しに行かないか?第二騎士団は王都を中心に活動するが、来週は少し離れた所に行くからお弁当も作れないし。ランチに使えそうな材料を教えておきたいんだ」


「それは助かります。本当にカイルード様にまた会えて良かった」


そうこうしているうちに家に着いた。

名残惜しいけど、明日も会えるし。


「カイルード様、ありがとうございます」と玄関のドアを開けて振り向いたら、思ったよりカイルード様の顔が近かった。


「ねえ、ルルちゃん、俺の事はカイって呼んでくれない?前世の名前でも呼ばれたいんだ」


「え!はい。それでよろしければ」


「ルルちゃんにだけはそう呼んでもらいたいんだ」そう言いながら、カイルード様は私のおでこにキスをして、耳元でおやすみって小さな声で言って帰っていた。


私はドアを閉めた瞬間、ヘナヘナと床に座り込んでしまった。


次の日の朝、カイさんが迎えにきてくれた。

「制服じゃない、ルルちゃんもかわいいね」と笑顔で言う。


「は。。はい、ありがとうございます」


昨日の事が思い出されて、顔が赤くなりそうだ。でもおでこにキスなんて、こっちじゃ親が子供にするようなものだし。


「じゃあ、行こうか」カイさんは右手に買い物籠、左手は私の右手を自然に握った。


え?て??


カイさんを見上げると、耳がちょっと赤い気がする。色白だからわかりやすい。。。


「ごめん、聞かないで手を繋いじゃった。今日は混んでるし、はぐれるといけないから、こうしてても良い?」


「勿論です!お気遣いありがとうございます!」


ちょっと力が入った返事になっちゃった。


家の近くのお店で野菜を買ってしまうと重くなるので、1番の奥のほうから見て、戻りつつ買い物をする事にした。


初めは調味料から。

塩、砂糖、胡椒などは同じなのでわかりやすい。

カイさんは色々な香辛料の匂いを嗅いでる。

「何を探しているんですか?」

「カレーが作りたくてね。でもクミンとカルダモンが見つからないんだよ」


「カレー。。。食べたい。。。」


「だよねえ、この国にはないのかな?輸入品とかのお店を探した方がいいのかな?」


「またなんかの木の実とかから見つかりそうですよね」


次はお肉屋さんへ。


私が初日に見て泣きそうになった緑のストライプの肉があり、ビクッとしてしまった。

「あーーあのストライプボアの肉は人気だよねこっちで。豚肉に近いのかと思ったけど、どんなに頑張ってもあの匂いが消えないんだ。豚肉に近いのはこっち。ちょっと白っぽいお肉、これもボアなんだけど、毛が針みたいで大きなハリネズミみたいなんだ」


「こっちの赤身の肉は牛肉に似てるんだが野生味があるから、シチューとかこれこそカレーに入れたいんだが」

私は豚肉と鶏肉っぽいサンドリザードのお肉を買った。


「お魚屋さんはないんですね?」


「魚は港に行くか、自分で釣るしかないんだ。魚も食べたいよね」


その後は野菜と果物を買いに行く。


私はあのレモネードになるきゅうりを買えて嬉しい。


「とりあえず家に荷物を置きに帰ろうか。お昼は屋台で買って行こう。その後夕ご飯はうちにおいで」


「え??屋台のご飯ですか?」


また初日の悪夢が思い出される。


「良いのがあるんだよ、疲れててご飯作るのが嫌な時におすすめ」


そう言って連れてやって来たのはいつもの屋台だった。


「え。。ここは」


「お、ルルちゃんお久しぶり。最近来なかったね。おや?カイルード団長と一緒なのか?今日はデートなのかい?」と屋台のおじさんが私たちの顔を交互にみる」


「え?デート、ちが。。」


「今日はルルちゃんのお買い物の手伝いですよ。デートは今度ちゃんと誘います」


屋台のおじさんはニコニコしてる。


え?デートに誘ってくれるの??


私がワタワタしている間に、カイさんは何かを頼みお会計をしていた。


「そう言えば、ルルちゃんはこれ食べた事なかったね。ちょっと癖があるけど大丈夫かい?いつものスープもどう?」とピンクスープを指さすが。


「だ。。大丈夫です。今日は他に買い物もして来ましたし」


「そう?カイルード団長の料理は変わっていると聞いたから。大丈夫なら良いんだ」


え。。屋台のおじさんまでそんな噂を知っているの?


「お邪魔します」カイさんが私の部屋にいると、私の部屋が余計に小さく見える。


「お肉は保冷箱に入れて良いかな?野菜は。。あ?レモネード作る?」


「あ、作ります。自分でも作ってみたくて」


レモネードもカイさんと一緒に作り。いよいよ屋台飯だ。


蓋を開けると。。。


「これは麺ですか?あれこの匂い。。。焼きそば!!!」


「そうなんだよ、スイカみたいな実の中が麺みたいになっているんだ。しかもすでにほんのりソース味。あのオヤジさんの故郷の味らしいぞ。この地域では出回ってないから、自分の家の庭で育ててるらしい」


「スイカを割って中身が焼きそばって、夏祭りが変に混ざったみたいですね。あ、そう言えば私がメグと夏祭りに行った時に、海斗さん達に会いましたね」


「ああ、2人とも浴衣を着てて可愛かったが、足が痛いって半泣きだったね」


そう、慣れない草履で足が痛くなってしまって、歩けないって困っている時に、海斗さんが近くの100均まで行ってくれて、サンダルを買って来てくれたんだ。あの時、ますます海斗さんが好きになった。


「サンダルを買ってくれた上に、綿菓子までご馳走になって」


「男が可愛い女の子に優しくする時は下心がある時だからね。本当はあの後デートに誘いたかったんだ。。でも2人とも受験生だったし、受験が終わるまで待っていたんだ。でも。。。あのバスの事故でそれも叶わなかった。だから、今誘っても良い?来週はほぼ王都にはいないけど、帰って来たら一緒に馬でピクニックデートに行かないか?」とカイさんには珍しい真剣な顔で言われた。


「はい!楽しみにしてます」と食いつき気味に言うと。カイさんの顔が緩んで、


「じゃあ、初デートだね。ランチ楽しみにしててね」



次の話に行くタイミングを逃して、長くなってしまいました。

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